【出題時のコメント】
日本の代表的な遊びのひとつに「しりとり」があります。ルールは簡単ながら、注意力(「ん」で終わる言葉を言わない)、記憶力(一度出た言葉を言わない)、語彙力(たくさん言葉を知っている方が有利)を要求されるので、子供への教育的効果が高い遊びだと思います。
大人になるとこの遊びをすることもなくなるのですが、ひとつ考えたことがあります。使用できる言葉を共有すれば、しりとりも立派な戦略ゲームになるのではないか…と。例えば、あらかじめ充分な数の使用可能な単語を設定し、2人でその単語のみを使ったしりとりを行い、勝敗を競うのです。用意する単語は、「他のどの単語へも続けられない」「他のどの単語からも続かない」ものを除いても、充分に有効な数が揃っているものとし、ゲームがつまらなくなるほどの偏り(特定の文字で終わるものばかりとか、特定の文字で始まるものばかりとか)も避けられているものとします。
こうした競技としての「しりとり」が、もし「将棋」のように普及していたらどうなっていたでしょう。「しりとり」でタイトル戦が行われていたり、「詰しりとり」にマニアックな人々が興じていたりしたのでしょうか? 有効な戦略プランが見つかって「○○定跡」とか「○○システム」などと呼ばれたりしたのでしょうか? …… もっとも、今自分がそんな世界に住んでいたとしても、きっと超マイナーな「変則詰しりとり」なんかをやっていそうな気がしますけど。さて、今回の出題は第111回のぞろ目ということで、「1」にちなんだ作品です。最近ではアンチキルケに慣れてしまって、途惑う人もいるでしょうが、キルケの感覚を取り戻す例題に向いているかもしれません。
【ルール説明】
【詰手順】
48角 同玉/88角 66角 57飛 同角/82飛 同玉/88角 79角 68飛 同角 48玉
38飛 まで 11手
→動く盤面で鑑賞する(JavaScript/CSS使用,IE専用)
【解説】
今回の作品、手順には特に説明するところがありません。飛を入手して8段目に打てば、受方はその飛を取れないので、それを狙いに手順を進めれば自然に詰みます。
狙いは初形と手数にあって、初形「1」、手数11手で、合わせて「111」になるので、今回の出題回数にこじつけたわけです。ちなみに元ネタは下の5手詰。左右対称形を目標に調整を重ねた結果が今回の出題図でした。(易しいので解答は省略します。)
【正解者及びコメント】 (正解8名:解答到着順)
北村太路さん
アラビア数字「1」から漢数字「一」に!
8二飛?サイコロの1かな?
☆ 解説にも書きましたが、「作意」は初形と手数で111というものでした。
そういえば、詰上りをサイコロの目に見立てた曲詰というのは、見たことがない気がします。
誰か1〜6の数をサイコロの目で表した連作曲詰「サイコロ図式」を作ってください。
小峰耕希さん
キルケ初体験なので解けるか不安でしたが、突っついてる間にふと連続飛合から38飛迄の詰上りが見えました。
どうやらアンチキルケでさんざん遊んで来た経験が生きたようです。
象形については、初形が「1」、更に詰上りで「一」が2つ隠れていると
こじつければ見えなくもないので、「111」回にふさわしい(のかなぁ)。
「fmの虎の穴」タイトルも中身も楽しかったです。第2弾も期待してます。
☆ 「fmの虎の穴」、楽しんで戴けたようで何よりです。
作品の出題もそうですが、こういった文章なども、読者からの反応があると書いていて張り合いがあるものです。ご期待に沿えるよう、執筆を続けたいと思います。
橘圭吾さん
初形から想像される通りの手順ですが一見では解けませんでした(最初、逆に角を引いていたのが原因ですが・・・)。
手順の方は限定復活かと思ったのですが普通に飛合で少し物りない印象ですが、全体的に綺麗な作品だと思います。
☆ 本作唯一の紛れが初手68角と逆に引く手です。
これだと復活した角と玉の位置が近すぎるので、うまく合駒を稼げないというわけです。
平凡ですが、こういう「左右対称形から左右対称でない手順」が出ると、いかにもキルケをやっている気分になりますね。
若林さん
久しぶりのキルケ。綺麗な初形。先手視点で手数勘定をすると初手、
2回合駒をさせて取るのに4手、入手した駒を打つのに1手。
余裕手がないので初手48角からすんなりと。
キルケの性格上82飛は残りますが、「1」→「一」みたいな綺麗な形もあって、やさしい短編の好作だと思います。
☆ 「アンチキルケ作品展」では皆勤賞を果たした若林さん。キルケは「久しぶり」と言いながら、余裕の解答ですね。
前回のキルケの出題(第106回)の時も真っ先に解答を送って戴きましたし、どんなルールでも対応できるという点では、本ページの解答陣の中でもトップを争う存在ではないでしょうか。
たくぼんさん
合駒の位置が5筋なので、合駒を取ろうとすると飛車しか11手以内で納まらないのですね。
角2枚の1の字という美しい初形。詰上がりも飛角図式と様式美を感じさせる小品です。
是非4の字も創ってくださいませ m(_ _)m
☆ 私も生まれは愛媛県なので、詰四会には縁があります。というわけで、4にちなんだ作を一作送らせて戴きました。
この後「4」の字などが出来たら、追加で送りますね。
ぽこさん
キルケは初めてでしたが、手数と見た目で解いて見る気になりましたが・・・ルールを勘違いして、かなり苦戦しました(苦笑)。
結構特殊なルールなので、説明だけだとちょっと分かりにくかったです。
問題の方は、駒を入手する方法も限られていたので解くのには時間がかかりませんでしたが、詰将棋というよりもむしろパズルを解いている感じで、個人的にはかなり好きな作品でした。
☆ ぽこさんは第85回以来の解答です。これを機会に引き続き解答をお願いします。
本ページのルール説明は結構手抜きがありまして、キルケルールなどの説明も誤解を招き易いところが、いっぱいあります。本来なら例題なども交えて、ちゃんとしたルール説明を書き下ろすべきなのでしょうが、なかなかそこまで手が回りません。
もし本ページの出題で、ルール上の疑問がありましたら、お手数ですが私にメールして戴くか、過去問などを参照してください。「検索室」などのページも活用もお勧めします。
隅の老人Bさん
この初形から、2度の飛合が飛び出す、ビックり。
飛角図式での終局も、素晴らしい。
☆ 最終図飛角図式というのも本作の隠れた狙いのひとつ。でも、初形角2枚で飛の入手が目的なら、当たり前と言われそうなので黙っていました(言っちゃった)。
伊達 悠さん
金曜日にお送りするはずだったのですが、(ブログにもあるとおり)気胸を起こしてしまったのでお送りできませんでした。
作品について。「最近ではアンチキルケに慣れてしまって、途惑う人もいるでしょうが」とありましたが、キルケのために最も途惑ったのは多分僕です(笑)。
どうしても取ったほうの駒を復活させてしまって困りました。
第110回に続いて大駒の合駒が出てきましたが、飛角図式が最初のほうでなく詰め上がりにあるのがユーモラスでした。
☆ 気胸ですか…。詰将棋は主に頭を使う趣味ですが、体の方も大事です。健康にはくれぐれも気をつけてください。若いからといって過信は禁物ですよ。
ルールの混同には、私もよく悩まされました。「安南」を解いていると途中から「対面」になったりとか…。特にキルケとアンチキルケは、細かい点で結構違っていたりするので危ないですね。この点でも「ルール説明」を充実させなくてはと思います。
☆ 今回の解答締切は「氾濫25」の解答締切と近かったので、締切付近でメールをたくさん戴きました。しかも「氾濫25」のメール解答は9通(今回出題の解答より多い!)で、「氾濫」史上最多でした。最終的な解答者数はパラから解答の束が来ないと分からないですが、現時点で9通の解答は確保できているわけですから、担当としては嬉しい限りです。メール解答を送って戴いた9名の解答者の皆様、ありがとうございました!
なお、次回出題は7月9日の予定ですが、ひょっとすると翌日にずれこむことがあるかもしれません。そのときは掲示板でお知らせします。
(2006.7.2 七郎)
【出題時のコメント】
今回も前回に引続きfmノウハウ集ネタです。ただし、次からはちゃんと「fmノウハウ集」を独立したコーナーとして立ち上げるつもりなので、出題時のコメントでこの話題を取り上げるのはこれで最後になります。
で、今回のネタは
基本技#02 「途中経過は B で観察」
fmに問題を解析させている最中に、今何を読んでいるか知りたいときには、“B”のボタンを押してください。画面に2つの盤が出現し、現時点での読みの内容が表示されます。途中経過は数秒ごとに更新されるので、その変化を見ることによって「fmが解けそうかどうか」とか「どのくらい時間が掛かりそうか」などを使用者が判断することができます。
表示される2つの盤のうち、特に重要なのは左側の方で、ここには「最終分岐点」が表示されます。これは何かと言うと、「前回表示したとき読んでいた手順」と「現在読んでいる手順」が最初に分岐する局面で、これにより「fmが今どこで悩んでいるか」を知ることができるのです。右側の盤は「最終検索局面」。現在どの深さまで読んでいるかが分かります。指定した手数に比べてこれが余りに浅いと、図の誤りやfmの能力の限界を越えている可能性を疑った方が良いということになります。最初のうちは目がチラチラするだけで、表示の意味が読み取れないかもしれませんが、慣れてくると重要な情報源になるでしょう。
この「最終分岐点」の表示機能は、できれば市販の詰将棋解図ソフトにも欲しい機能のひとつです。例えば柿木将棋には、読んでいる手順の冒頭数手を表示する機能がありますが、長編の時にはあまり役に立ちません。「最終分岐点」であれば、手数の長さに関係なく、進行状況を使用者が判断するのに役立ちます。さて、今回の出題は途中経過を観察するまでもなくfmで簡単に解けてしまう問題です。PWCとステイルメイトという何だかとっつきにくそうなルールの組み合わせですが、狙いは明快なので、これらのルールに慣れていない人でも結構解けるのではないかと思います。慣れた人なら一目かも。
【ルール説明】
【詰手順】
57香 56角 同香/57角 55角 54香 53飛 同香生/54飛 52飛 まで 8手
→動く盤面で鑑賞する(JavaScript/CSS使用,IE専用)
【解説】
本作の狙いは最終形を見れば一目瞭然。5筋に少し寸足らずの駒柱(最下段まで届かないのが残念ですが)を出現させるのが主題です。似たようなことはキルケばか自殺ステイルメイトでもできますが、双裸玉で何の仕掛けもなくこれが実現できるのは、PWCならではと言えるでしょう。
【正解者及びコメント】 (正解10名:解答到着順)
若林さん
歩香のピンが簡単なのでPWCとステイルメイトの相性は非常に良いと思います。
この作では綺麗な柱が出来ましたね。ルールにマドラシを追加して持駒香3、#10
なら作品価値はともかく駒柱になりそうですね(未検討)。
☆ 駒柱の空中発生はPWCで実現し易い狙いで、私自身もPWC小作例集の作例11で駒柱の空中発生にトライしています。このときは、手順の途中で駒柱を発生させることには成功したのですが、裸玉にはできませんでした。今回は双裸玉にはできましたが、駒柱が短くなりました。なかなかうまくいかないものです。
北村太路さん
香打−大駒合−同香−大駒合の繰り返しになっていてリズミカルです。
☆ この趣向性も狙いのひとつです。ですが、これは狙いの性質上必然的にそうなるので、私がそう作ったというより、このルールに最初から備わっていた性質と言う方が正しいでしょう。
kzさん
またおじゃまします。
角の効きを確かめるのが暗算だと大変でした。
☆ 今回の出題はkzさんまでのお三方が、出題翌日の解答でした。パッと見で狙いが推測できれば、後は確認作業だけですので、普通の双裸玉作品に比べると煩わしさはなかったのではないでしょうか。
橘圭吾さん
PWC系自殺ステイルメイトで同一作品を過去に創作したことがあったので一瞬で解けました。
この形はPWCの味が非常に出ていて面白く、飛角の遠隔によって縛る手順に調和が加わって美しい作品だと思います。
双玉裸系ではこれを超える作品は流石にないかと思うんですがどうなんでしょうか。
☆ おお、橘さんも同じ作を作られていたのですか!
新興ルールでアイデア一発型の作品を作ると「衝突」することが多いのですが、これもそのひとつだったと…。
PWC作品の発表の場としては、たくぼんさんの「PWCばか詰作品展」があるわけですが、ここで自殺系の作品も扱っていれば、橘さんが先に発表できていたかもしれませんね。
吉川慎耶さん
なんという贅沢な手順なんだ!と、解けてスッキリ爽快。
☆ こういう一発芸・瞬間芸的な作品には、こういう感想が嬉しいですね。
解くほうも作るほうもアイデア一発でスッキリ、というのがこの種の作品のキモです。
小峰耕希さん
前回・前々回と長編作品相手に連続でトップ解答でしたが、今回は正直言ってその2作よりもずっと悩んでしまいました。実はおぼろげな記憶に頼っていたために、今朝(25日)まで6手だと勘違いしてました。但し手数を勘違いしたお陰(?)で、どのような形に持って行けばステイルメイト出来そうか予習していたので、手数を正しく認識してからはそれこそ“瞬間芸的”に解けました。
狙いは最終形で中央に出現するタワーですね?
ただルールに慣れていないと敬遠されそうなので、僕の予想では解答者数2桁は厳しいと思います。といっても僕が解図意欲が湧く作品は一般世間では不人気な事が多いので、その逆である今回、この予想は外れるかも知れません。
そうそう、前回の結果発表に図だけ載せてあった「銀閣寺77」も解いてみました。
「銀閣寺」を自力で解いていたせいもありますが、最終手が突歩ではないのが盲点だった以外はほぼノンストップで解図終了。僕も63手ヴァージョンの方がいろいろな意味で優れているように感じました。
☆ 解答者は何とか2桁に乗りました。バンザイ\(^o^)/
小峰さんは「氾濫」の過去問にもチャレンジされているようですし、この熱心さがあれば、解答・創作共にすぐに上達されることは間違いありません。「氾濫25」への挑戦も期待しています。
伊達悠さん
受け方の合駒が全て大駒で統一されて、しかも詰上がりの時にできる駒柱。
芸術性も高く、名作です。
素晴らしいものですね、本当に。
これからも(もしもできたら)ジャンジャン解答して参りたいと思います。よろしくお願いします。
☆ アンチキルケで打歩ルールを絡めた作品で活躍中の伊達さんから初解答がありました。奇しくも今回はKKDトリオ(吉川さん、小峰さん、伊達さん)の揃い踏みで、これからのフェアリー界を大いに盛り上げてくれそうです。
隅の老人Bさん
綺麗な包囲陣に感心です。
よくまぁ、こんな手順が創れるものですね。
解くのは半月ほどでしたが、創った時間はいかほど?
☆ 創作に要した時間は1日ほどです。ネタを思いつくところから完成までは一瞬ですが、もっと改良できないかとか、発展性やバリエーションはないかとか、いろいろ考えるので、それも含めて1日くらいです。本当ならもっと時間を掛けなければいけないのですが、この作に関してはこの形を得て満足してしまいました。
もずさん
個人的には玉を71に置いて遠打から始める方が好みですが、
7枚の駒が縦に並ぶというのも面白いと思います。
☆ 実は同様の感想(質問)を神無太郎さんからも貰いました。この作では、香を1枚にしたり、初手最遠打を作意にした方がパズル性が増しますが、難解性が目的の作ではないので、駒柱(短いですが)の生じる方を採りました。
たくぼんさん
それにしてもこんなユニークな手順が双裸玉の中に眠っているとは、これからが楽しみです。
PWCの特性を上手く利用した限定に感心しました。
☆ たくぼんさんは解答送り忘れで、ラストの解答者になりました(6月1日受信)。ここの出題は月単位でなく4週サイクルなので、妙な時期に解答締切が来てしまいます。みなさんも締切にはご注意ください。
☆ 今回は念願の正解者2桁を達成しました。初解答の方もあり、嬉しい限りです。次回の出題は何にするか現時点では未定。「氾濫25」と重なる(しかも森茂氏の大作がある)ので、難度控え目で行こうとは思っていますが…。
(2006.6.4 七郎)
【出題時のコメント】
このページの開設当初から計画していながら、未だに実現していない企画があります。そのひとつがfmの使用法や裏技についての記事を載せるページの設置です。筆不精と言ってしまえばそれまでですが、思いついたときにネタを書き溜めていないのが、この企画が実現していない原因のひとつではないかと思います。
そこで、fmノウハウ集のネタ第一弾を(忘れないうちに)お届けします。今回は一番初めと言うことで、基本中の基本の紹介です。基本技#01 「難しい問題は /M9 を使え」
例えば今回出題の作品、そのままfmで解いたのでは待てど暮らせど答えが出てきません。ところが、“/M9”と入力してから問題を解かせると一瞬で解答が得られます。私の持っているマシンだとこんな感じです。
解析時間:0秒 解析局面数:14543 検出解数:1 全検完了
/M9というのが何かの解説はここではしませんが、皆さんもドキュメントを読んで実験し、効果を確かめてください。/M10とか/M11とかの使い分けなどができるようになれば、貴方もfm上級者の仲間入りです。
さて、今回の出題は神無三郎氏の「銀閣寺」。詰パラ2月号に掲載された「金閣寺」の弟分と言ったところでしょうか。上の文では便宜上「難しい問題」と言っていますが、難解作ではありませんので、どしどし解答をお寄せください。
【ルール説明】
【詰手順】
39角 29玉 38銀 18玉 29銀 19玉 28銀 18玉 19銀 29玉
18銀 38玉 29銀 37玉 28角 48玉 37角 49玉 38銀 39玉
48角 28玉 29銀 19玉 37角 28歩 同銀 18玉 19銀 29玉
18銀 39玉 48角 28玉 29銀 19玉 37角 28歩 同銀 18玉
19銀 29玉 18銀 39玉 48角 28玉 29銀 19玉 28銀 18玉
19銀 同玉 37角 28銀 同角 同玉 29歩 38玉 39歩 48玉
49銀 37玉 38歩 まで 63手
→動く盤面で鑑賞する(JavaScript/CSS使用,IE専用)
【解説】
本作は、角と銀を利用して持駒の歩を増やす「持駒増幅」の機構を中心に組み立てられた作品です。序盤は銀を巧妙に操って邪魔な29桂や37歩を消去する手順が入っていますし、終盤には銀を一旦捨てて49に打ち直すという一種のフェニックステーマも組み込まれています。「持駒増幅」はわずか2回ですが、この巧妙な序と収束が付いているおかげで、物足らない印象はありません。むしろ緩むところのない、充実した手順を楽しめる作品となっていると思います。
なお、作者は「持駒増幅」を3回にしたバージョンも作っています。解答は省略しますので、こちらも宜しければ解いてみてください。個人的には、原作の方が配置も手順も締まっていて、この図より作品価値は上だと思います。
【正解者及びコメント】 (正解8名:解答到着順)
小峰耕希さん
出題図を見たのが17日朝6時台で、午後2時頃には解けました。
僕がそれ位で解けたのですから、「難解作ではありません」に偽り無しですね。
最初はどう進めて良いかわからず、ぼーっと図を眺めていたのですが、
29桂の存在理由を考える内に37に抜け道があることに気付く。
更にその37の穴を利用して歩を稼げる事もわかり、先が見えたつもりに。
しかしその時点ではどう詰めるかも見当がついていない上に、
肝心の歩の入手法にも無駄があった。この辺りまでが午前中の話。
昼食後に歩のより効率的な入手法に気付き、それで手数計算をしてみると、
どうやら歩は2枚まで入手出来そう。ではというので2枚歩を使う
詰上り図を探してみると、37玉型で49銀+38歩+29歩が良い感じ。
逆算を試みると29歩、39歩、49銀と打っていく順しかないようだ。
その形を作るためには、まず19で銀を取らせて、37角と王手して、
28銀合をさせて、角で取って、同玉で…ドッキング成功! 解けた♪
というような解図過程でした。他の方々はどうなのでしょうね?
僕が初めて解けた100手越の作品は、全ルール通じて「金閣寺」で、
更にその兄弟分の作品が割合楽に解けて最高の気分です。
ここで今回も毎度お馴染みの長い余談を。
fmのノウハウ集は僕も是非設置して欲しいと思っていました。
先日の(ば自系STMに効果覿面の)/ETMPの一件がありますからね、
七郎さんにノウハウ集を設置する気があるとわかったので、
これからもfmについてどんどん質問させて頂きます。
☆ 今回も最速解答は小峰さん。解図の過程が良く分かる長評も読んでいて楽しいです。
fmについての質問は小峰さんに限らず、皆さんもどんどんお寄せください。fmの使い方については、意外と基本的なことが知られていなかったりするので、ノウハウ集を作るときには大いに参考になります。
瘋癲老人さん
詰め上がりはこの形しかないので2歩入手して捨てた銀を回収すればよい。
あとは手順を整理するだけで軽く楽しめる作品です。
これも解答者10名越えてもおかしくない作品と思いますが・・
☆ 出題してから3日で5通の解答が来たので、前回に続いての解答者2桁を期待したのですが、その後が伸び悩み、残念ながら最終的には解答者は8名でした。
適度な難度で楽しめる作品だっただけに、もう少し多くの方に解いて貰いたかったです。
kzさん
お久しぶりです。何とか暗算で解けました。
たしか「氾濫」2度目の挑戦で、「霧姫」に悪戦苦闘したのを懐かしく思い出しました。
もう3年前にもなるのですね。
☆ kzさんは約半年ぶりの解答ですね。来月は「神無一族の氾濫」があるので、その前に解答強豪が復活されたのは心強いです。次回の「神無一族の氾濫」は大作が待ち構えているので、ぜひそちらもよろしくお願いします。
若林さん
収束への入り方にちょっと迷いましたが、まさしく銀閣寺。
長編としては確かに破調も誘い手もなく気楽な部類でした。
☆ 主役だった銀を捨てる収束は本作のハイライト。若林さんを迷わせたのですから、充分効果があったと思って良いでしょう。難しすぎず、簡単すぎず、適度に解き応えのある良問だったのではないでしょうか。
たくぼんさん
銀を一度渡すのが唯一の考えどころ。実に綺麗な手順です。
こういう作品が新しい解答者を増やすのに有効なのでしょうねFMの使用法や裏技のページを是非お願いします。
「/Mって何?」と言う感じの未だFM初心者の私には待ち遠しいです。
☆ fm使用法は、基本技の紹介を中心に記事を書き溜めて行きたいと思います。基本的な技でもいざ説明しようとすると、結構図や例題が要るので、執筆は亀の歩みのようになると思いますが…。
吉川慎耶さん
角を取らすのが意外だったので収束に時間がかかりました。
☆ 「角を取らすのが意外」というコメントは意外だったのですが、詰型を先に想定せず、順算式で解こうとすると、主力駒に見える角を捨てるのは確かに勇気が要るでしょう。慣れてくると、順算と逆算のドッキング解法で、こういう作品も楽に解けるようになると思います。
もずさん
密室ものが苦手なのですが、この作品は意外に早く解けました。
突き歩しか詰み形がないのと、歩の入手法がシンプルだからでしょうか。
序奏の入れ方がさすがだと思います。
☆ 序奏の巧さもこの作品を引き立てる重要な要素ですね。邪魔な歩と桂の消去という簡単な理由で、20手もの駒繰りが実現されていますし、収束で銀が49に復活することを見越して、初形に49銀を配置する心配りも行き届いています。
隅の老人Bさん
必要にして充分、こんな言葉を思い出す。
欲張って苦労。銀捨て発見も嬉しい一手でした。
金閣寺、銀閣寺、次は南禅寺かな。。
☆ 金閣寺は金と角、銀閣寺は銀と角。では南禅寺は…何千手もの作品!?
でも、三郎さんが本気を出せば、そんな超長編が出来てもおかしくはないですね。
☆ 今回は正解者2桁は残念ながら逃しましたが、解答者の方々には楽しんで戴けたようです。
次回は「瞬間芸」的な作品で、再び正解者2桁を目指します。
(2006.5.7 七郎)
【出題時のコメント】
このところ、Fairy TopIX、JEWEL BOXと注目すべき活動を展開している妖精都市ですが、ここで進行しているもうひとつの重要な事業が「Fairy database」です。これはフェアリー詰将棋のデータベースを作る事業で、有志の協力者により入力作業が進められています。私も1981年,1988年,1989年の詰パラのデータ入力を行いましたが、自分が本格的に活動する以前の作品や、社会人になったばかりで詰将棋をあまりやれなかった頃のフェアリー作品を入力したため、そのころのフェアリー界を振り返る貴重な機会になりました。また、この作業中に新しい作品のネタを思いつくこともあり、「実益」にも恵まれました。皆さんもこの事業に参加してはどうでしょう? 多少の時間は取られますが、多くの刺激を受けるのは間違いないと思います。
ところで、データベースの入力作業で「やる気」に水を差す物があります――それは、不完全作。ただの余詰とかならまだ良いですが、意味付けが全然成立していなくて論理的に破綻しているものは、図面の入力さえ面倒になることがあります。そして、不完全作の中でも最悪中の最悪は、自分自身の不完全作。もう、これが出てくるといけません。忘却の海に沈んだはずの忌まわしい記憶が甦ってきるようで、手を付けるのが億劫になります。本当に、本当に、不完全作なんて出すもんじゃないですね。さて、今回の出題はその「Fairy database」のとりまとめである神無太郎さんの単玉ステイルメイト作品。JEWEL BOX #01 の解図で疲れた頭をちょっと休めて、軽いウィットをお楽しみください。
【ルール説明】
【詰手順】
52歩 同玉 53歩 同玉 54歩 同玉 55歩 同玉 56歩 同玉
57歩 同玉 58歩 同玉 59歩 同玉 19歩 48玉 49歩 同玉
19歩 38玉 39歩 同玉 19歩 28玉 29歩 同玉 19歩 38玉
39歩 同玉 19歩 48玉 49歩 同玉 19歩 58玉 59歩 同玉
19歩 68玉 69歩 同玉 19歩 78玉 79歩 同玉 19歩 88玉
89歩 同玉 19歩 98玉 99歩 同玉 まで 56手
→動く盤面で鑑賞する(JavaScript/CSS使用,IE専用)
【解説】
盤面4枚の簡素形に持駒歩18枚と、いかにも解図欲をそそる初形。これを見ただけで、易しい好作を予感させるものがありますね。
手順は要するに攻駒を全部捨ててしまえばよく、ほぼ一本道なのですが、一ヶ所だけ大きな分岐点があります。それは18手目。ここを48玉とするか68玉とするかで、成功と失敗に分かれてしまいます。どちらも、4手一組で横に玉が移動できるので、それを利用して28香と98香を消せそうに見えますが、正解はもちろんひとつだけです。それぞれの場合で、8段目の玉の経路を辿っていくと、48玉の場合:
48→38→28→38→48→58→68→78→88→9868玉の場合:
68→78→88→98→88→78→68→58→48→38→28となり、68玉とすると1ステップ余計に必要なことが分かります(当然手数も歩の数も足りなくなります)。
後から考えれば、どうせ折り返して戻らないといけないので、先に近い方に向かった方が重複分が少なくて済むという理屈だと分かりますが、理論的に答えを導いた人より、とりあえず両方やってみた人の方が多いのではないでしょうか?
易しいながら、手順にきちんと見所を用意し、盤面配置や使用駒にも気配りの利いた好作だと思います。
【正解者及びコメント】 (正解12名:解答到着順)
小峰耕希さん
今回は太郎さんのお陰で翌日(実質的には当日)解答達成(^^)
唯一無二の紛れは香を取る順ですが、これも2択なので、
左から行って1歩足りなければ、右から行けば良いとすぐわかる。
フェアリー版くるくるのお手本作でした。
僕もフェアリーDBの入力作業に参加していますが、
2006年担当なので、月5題前後を入力するだけですし、
不完全作もPC普及のお陰で多くはありませんから、
七郎さん、太郎さん、たくぼんさんに比べればずっと楽だと思います。
☆ 今回の最速解答は小峰さん。フェアリーデータベースの入力作業にも携わっています。この熱心さがあれば、解図や作図の実力もどんどん上がっていくのではないかと思います。特に過去のフェアリー作品の生データに触れることができるのは、若い人にとっては貴重なことで、フェアリーデータベースの事業に参加する大きなメリットと言えるのではないでしょうか。
ピッコロさん
先に9筋の方へ行くと歩が足らなくなるのですね!!
☆ ピッコロさんは初解答。JEWEL BOX #01 の衝立詰がとても面白かったので、他のルールでの活躍も期待したいと思います。本ページの解答もよろしくお願いします。
若林さん
久しぶりにさっくり解ける肩の力の抜けた作品ですね。
強いて考える箇所と言っても9枚目の歩を打った後の対応だけ。
ぴったり18枚なのが楽しいです。
☆ 今回は解答一番乗りを逸した若林さんですが、肩の力を抜ける作品なので、解答の方もゆっくりしたということでしょう。このページの出題も、適度に易しい作品を混ぜていきたいと思っています。
北村太路さん
最初に思わず9八香から取りにいって自分はセンスがないと思いましたが、他にも9八から取りにいった方がいたようで安心しました(謎)。
持駒も歩18にしてるし、盤面もこれしかないという配置ですし、作図センスのよさが感じられます。
凄く簡単とは言え、久々にOsFMの問題が解けて良かったです。
☆ 実は私も98の方から取りに行きました。狭い方を避けたいとか、遠くのものを先に処理したいという心理が働くのでしょうか?
マーフィーの法則の一種に「配線が2通り考えられる場合、ヒューズを飛ばすのは最初に実行する方法である(バッティンソンの電気回路の法則)」というのがありますが、これに当てはまった人が多かったようです。
スピカさん
持駒が歩だけで対面なのに香を動かそうとしてしまいました・・・
☆ スピカさんからは第85回以来の解答を戴きました。こうして解答を戴くと、普段はサイレントでも、ずっと継続して読んで戴いている方が居ることを実感できて励みになります。
たくぼんさん
簡単ながらちゃんと考えるところがあるのはさすが太郎さん。ちゃんと主張があります。
18手目の分岐点!私の第1感は68玉でした。何だか負けた気分。チクショ〜
☆ 「詰将棋には良い手が一手あれば良い」というような言葉がありますが、この太郎さんの作品も、それを地で行っていますね。自然な形と手順の流れによって、18手目がより強く印象付けられています。
隅の老人Bさん
先ず9段目までは正解と信じて、そこから考えました。
右に左にと歩を使い切る。
どうして、こんなに上手に創図で出来るのかな。
着想は別にして、創作時間は、いかほどですか?
☆ おっと、これを作者に聞くのを忘れてました。創作時間はどのくらいだったのか、差し支えなければ掲示板などで教えてください。>太郎さん
川並洋太さん
おひさしぶりです。
9路盤だから歩の数がぴったりになるみたいですね。
昔似たような事を安南でやろうとして挫折したような気がします。
☆ 本作では受方の飛の頭に歩を打って王手を掛けていくのですが、安南でこれをやろうとすれば、攻方の飛の頭に歩を打っていくような筋になるのでしょうか。歩18枚にするにはかなりの作図技術が要りそうですね。
瘋癲老人さん
簡単なようだが二本道の枝分かれ。
しっかり違う方へ行ってしまいました。
遠くの香から消したくなるのが普通の人間心理というものでしょうか。
ともあれ解答者は激増と思います。どこまで伸びるか。
☆ 解答数は12で、何とか目標の2桁を越えました。でも、前回と比べれば3倍増なので、激増と言ってもあながちハズレではない気もします。ルールがステイルメイトでなければもっと解答は増えたかもしれません。
吉川慎耶さん
対面ルールが付いているのでやだな〜と思いつつも解図。
これは易しく楽しい。歩の数がピッタリなのは好印象。
☆ 対面や安南と言った性能変化系のルールは、それに特有な手筋を憶えないと苦戦することが多いので、慣れていない人からは避けられてしまうことも多いようです。特に対面は利きの変化が激しいので、解答力を高めるためには、鑑賞・解図・創作の経験を重ねて、地道に手筋を習得するしかありません。
本作に限って言えば、難しい手筋が出てくるわけではないので、そんな煩わしさはありません。対面アレルギーを緩和する役に立つ作品かも。
もずさん
対面を利用して横に走る歩が面白いと思います。
香への距離で左右が限定されること、
それによって歩がちょうど18枚にできたことがうまいですね。
☆ 本作は当初 JEWEL BOX #01 向けの中編を目指して作り始めたものだそうです。手数オーバーでこちらに回ってきたのですが、手数を合わせるため歩の枚数を減らさなかったのは賢明な判断だったと思います。
小五郎さん
単玉ステイルメイトの意味がわからずとまどいました。
(自玉の脱落かと思いました)
とりあえず王手で進めていくと18手目で左右への分岐点。
方向音痴の私は道に迷った時いつも最初に選ぶのは反対方向、本作も然り。
長い道のり、ちゃんと目的地に辿りついたことになっているでしょうか。
☆ 大丈夫大丈夫。短評を読む限り、皆ちゃんと最初は反対方向を選んでますから!
単玉ステイルメイトはまだ馴染みのない出題形式なので、出題時にちゃんと説明すればよかったですね。そういえば第66回出題解答の泉氏に対するコメントの中で『流石に「攻駒0枚」の詰上りはお目にかかったことはない』などと書いたことがありますが、この単玉ステイルメイトの最終形は「攻駒0枚」です。正確には「詰上り」ではないわけですが、むかしでは全然考えられなかったことが、いつの間にか当たり前になっているのがフェアリーの恐ろしさです。
☆ 正解者が久々に二桁を突破。易しくてウィットの利いた作品を投稿してくれた太郎さんに感謝です。
次回は神無三郎さんの長編ばか詰の予定。ご期待を!
(2006.4.9 七郎)
【出題時のコメント】
先日(2月15日)に、第1回のFairy TopIX(妖精都市参照)の投票が終わりました(もちろん私も投票しました)。ネット界では初めての試みなので、3月の初めの結果発表が今から楽しみです。どの作品が入賞するかということにも興味はありますが、どんな作がどんな理由で推薦されているかということの方に私はより興味を持っています。要するに得点や順位より、コメントの方を楽しみにしているのです。誌面の制約のないネット表彰だからこそできる、投票者の全コメント掲載に期待します。
ところで、Fairy TopIXの"TopIX"は"Top9"の意味だそうですが、これで思い出したのが、スタージョンの法則です。“あらゆるものの90%はクズである”
これは逆に言えば、残りの1割はクズでない可能性があるわけで、結構甘めの見積りのような気もします。ただ、ある人にとっては大したことがないように見える作品でも、別の誰かが見れば価値ある作品だったり、新しいインスピレーションの源となったりする可能性もあるので、Fairy TopIXのような賞では、特定の作に票が集中するより、多数の候補作がノミネートされるのが望ましいと私は思います。今年の投票者は9人だったそうですが、来年はもっと増えると良いですね。
さて、今回の出題はまたもや長編。でも、これにもスタージョンの法則を適用して、「意味のある手はせいぜい11手くらい」と思えば、少しはやる気になるのではないでしょうか?
なお前回同様、本作にも受方の持駒制限があるので注意してください。
【ルール説明】
【詰手順】
17桂 28玉 29飛 38玉 39飛 48玉 38飛 59玉/48桂 39飛 69玉/59歩
58歩 68玉 69飛 78玉 68飛 89玉 88飛 79玉/89桂 78飛 69玉
79飛 58玉/69歩 78飛 59玉 58飛 49玉 59飛 48玉/49桂 58飛 39玉
38飛 49玉/39桂 48飛 59玉 49飛 69玉/59歩 58歩 78玉 79飛 68玉
78飛 59玉 79飛 48玉 49飛 38玉 48飛 29玉 28飛 39玉/29桂
38飛 49玉 39飛 48玉 49飛 58玉/48歩 59飛 68玉 69飛 58玉
68飛 49玉 69飛 38玉 39飛 48玉/38歩 49飛 58玉 59飛 48玉
58飛 39玉 59飛 29玉/39桂 27桂 38玉/29歩 39飛 27玉/38桂 28歩 18玉
19飛 28玉 18飛 39玉 19飛 38玉/39桂 18飛 49玉 48飛 39玉/49桂
38飛 29玉 39飛 18玉 38飛 28歩 同飛/38歩 19玉 18飛 29玉
28飛 39玉 29飛 49玉/39桂 27桂 39歩成 同飛/29と 48玉 49飛 38玉
39飛 28玉 38飛 19玉 18飛 まで 115手
→動く盤面で鑑賞する(JavaScript/CSS使用,IE専用)
【解説】
「二歩禁を利用して歩を入手する」のが主題だった第105回出題の作の後、私は「二歩禁を利用して歩を渡す」主題を持った中編を作りました(JEWEL BOX #01に投稿しました)。また、これとは別に桂だけを横滑りさせる軽趣向も作っており、この両者をかなり強引に合体させたのが本作です。本来ならば、歩と桂がセットで移動する趣向作になるはずだったのですが、これを3サイクル以上やろうとすると、歩だけあるいは桂だけをまとめて移動させる余詰が生じてうまくいきません。これを防ぐうまい方法も思いつかなかったため、趣向部は2サイクルで終わってしまいました。収束も当初は「攻方29飛、受方18と19玉」の型をめざしていたのですが、非限定が消せず「攻方18飛、受方29と19玉」に乗り換えることになりました。こちらの方は幸運にも、27桂の2段活用が出てきたので、結果的に良い方に転んだと思います。
何だか解説というより創作時の苦心談になってしまいましたが、苦労がそのまま手順に反映してしまった作品なので、どうかご容赦をお願いします。
【正解者及びコメント】 (正解4名、感想1名:解答到着順)
若林さん
図面を見て18飛 同角成/45飛を想像するが、王が空き王手できないので不可。持ち駒なしならすかし詰……は少なくとも一枚受方の駒が玉の回りにないと駄目だ。……とすると69歩が1筋で取られる、と。
そんなことできるんかいな、と思いつつ手詰まりにならないように進めると意外にするすると歩が進む。ついでに59桂もついてくる。歩の入手後の収束が結構難しかった。収束が見えるとつい36桂と空き王手したくなるが、それでは詰まない。27桂と一度空き王手した桂がふたたび37に戻ってもう一度跳ねるのが嬉しい。
余談:
スタージョンの法則を作品内に適用するのは珍しい例ですね。好意的に「あらゆるものに10%は良いところがある」という解釈をすると全く別の法則になります。
まあ、現実的には「あらゆるものの90%以上はクズである」のでしょうけれど。WEBサイト一般など、対象によっては割合を99%に引き上げられたりしているのが現実ですね。
☆ 若林さんは例によって出題翌日の最速解答でした。いつも出題者を安心させてくれて、ありがとうございます。
ところでWEBサイトって、本当にどのくらいの情報量があるのでしょう? 私も詰将棋関係のサイトでさえ、10%も見ている自信はありません。「おもちゃ箱」の詰将棋サイト一覧を見ると、いつも頭がクラクラしてきます。
瘋癲老人さん
27に桂を待避させておけば詰む仕組みがあるのはすぐに分りましたが
6手短縮するのに1週間もかかってしまいました。
途中で歩を寄せて2手稼ぐとこなど手数表示がなければ絶対に見落していると思います。
☆ この収束は結構難しいと思います。作者はfmに掛けて余詰がなければそれで満足してしまうため、紛れをあまり読むことがありません。きっと時間を置いて、自作を解きなおしてみたら答えが分からず、苦吟することになると思います。
たくぼんさん
規則正しいようで全然規則正しくない。簡単のようで簡単でない。桂跳ねのアクセントはさすが。
PWCは頭の中で5手も進められないので一度解けてもすぐに手順が分からなくなるし苦戦しました。
しかし何だかばか自殺詰のような感覚の作品ですね。やっぱりPWCには趣向作が一番合いますね。
☆ 解説にも書きましたが、この作は作者の混乱がそのまま手順に反映してしまった作品で、不規則趣向を狙ったというより、そうならざるを得なかったと言う方が実態に合っていると思います。
PWCは私も趣向作向きのルールかと思っているのですが、アンチキルケ作品展などでの北村さんの作品などを見ると、意外と構想作もいけるかもしれません。今後の発展を期待したいと思います。
隅の老人Bさん
このような問題の創作は、詰上がりから、順次に手を延ばして行くのでしょうか?
私の解法はある程度の最終図?を想定して、
やみくもに駒を動かす、暇と根気の非能率な手段。
今回の問題は、運良く、その網に引っかかった解答です。
☆ この種の作品の創作では、真ん中の趣向部を先に作って、次に収束、最後に序を付けるというのが定番の方法です。ここで一番苦労するのが収束を付けるところで、ここは(たまたまうまくいく場合を除いて)根性で何とかするしかありません。解答だけでなく、創作も最後には時間と労力が物を言うと思います。
小峰耕希さん(感想)
結果論としては、そもそも主に読んでいた順が的外れだったようです。
最も時間を掛けて読んだ順は、58玉・48桂・28飛の形にして、
そこから36桂と開き王手をする順。
これが最も桂馬を早くどかせるので良さそうかと思ったのですが…。
本手順で言えば、22手目の58玉/69歩が盲点。
歩を一刻も早く1筋方面に持っていくことしか頭になかったので、
一時的に遠回りするとは予想外でした。
残念ながら無解に終わりましたが、それなりに楽しむ事は出来ました。
なので、努力したという証拠を残すためにコメントを書きました。
解答編を楽しみにしています。
ついでに余談を。
出題のコメントにもあったTopIXの第1回投票で、僕は大量投票で参加しましたが、そのコメントを楽しんで貰えたでしょうか?
北村さんには少々迷惑を掛けてしまったようですが。
次回は解答番付で順位を上げられると良いなぁ。
でも一番は、解けても解けなくても楽しめる作品を期待しています。
☆ 小峰さんはfmで答えを見て感想を送ってくれました。このように解けなかった場合でも、fmを使った旨を明示して感想を送って戴ければ、解答番付には加算せずコメントのみ掲載します。また、これからは解答発表から一週間(次の出題まで)の間も感想を受け付けようと思います。ホームページ更新の都合で、すぐに反映できないこともあるかと思いますが、ここで公開することを前提に感想を送ってきて戴ければ、結果稿に追記します。
第1回のFairy TopIXは、期待通り多くの作品が推薦されていて、私はとても良かったと思います。小峰さん以外でもそうですが、予想外の作品が推薦されていたり、独自の視点からの推薦理由が書いてあったりすると、とても読むのが楽しいものです。フェアリーではルールの違うものを同時に扱うのですから、比較して上下を決めるのは無理がありますし、特に短編は人によって好みがはっきり分かれてしまうので、気に入った作は全部推薦しちゃえ、というくらいの気持ちで投票して良いと思います。(集計する神無太郎さんは大変かもしれませんが。)
☆ 今回は正解者倍増! …とは言っても2名増えただけですが。
次回は神無太郎さんのユーモア作で、正解者数2桁を狙います。
(2006.3.12 七郎)