【出題時のコメント】
今回はまず気の重いお知らせから。
詰将棋パラダイス12月号に掲載された「第18回神無一族の氾濫」の第5番、神無七郎作に早詰がありました。作意の手数は81手ですが、早詰は最短で27手。大幅な早詰です。もちろん、この作の検討にはfmを使ったのですが、そのfmにグラスホッパー王に関する読み抜けがあることが最近判明し、修正後再調査したところ、今回の早詰が見つかったのです。実に情けない話で、機械検討に頼りきっている弊害が露呈してしまった形になってしまいました。現在このHPで公開しているfmにもグラスホッパー王に関する読み抜けがありますので、ご注意ください。そのうち修正版をアップロードします。
ところで今回の早詰ですが、修正は容易ではないので、残念ながら作品自体を放棄するしかありません。解答は作意と同じかそれ以下の手数で詰ませてあればOKですので、とりあえず、詰む手順を書いて解答を出していただけるようお願いします。
さて、気を取り直して今回の出題に行きましょう。今回の出題は本ページにもよく解答を寄せて下さっている、須藤さんの作品です。須藤さんはご存知「毎日詰将棋を作る男」ですが、普通詰将棋だけでなくフェアリーまで手掛けるそのバイタリティには脱帽です。ルールは背面ばか詰で、最近では第63回出題がこのルールでした。他にもこのページにいろいろ参考になる作品がありますので、そういった作品も適宜参照して解答をお寄せ下さい。
【ルール説明】
【詰手順】
24歩 22玉 23歩生 24桂 11歩生 23玉 22歩生 まで 7手
【解説】
初手24歩は絶対ですが、これに対する応手が問題。25角と受けたくなりますが、この後13歩成でも33歩成でもうまくいきません。平凡に22玉とするのが好手で、それに対して23歩不成で行くのが後の展開を見据えた巧い手順です。ここでも24角として12銀を取りに行く手順はだめで、24桂として11歩不成!(背面ルールでは1段目の歩は反則ではないのです!)と活用するのが背面ルールを生かした好手順です。さらにとどめが、23玉に対する22歩不成の不成3連発。詰上り還元玉となるおまけまで付いて、好形好作の見本となるような作品でした。
なお、初形で12の駒を「と金」にすると、9手詰で4連続歩不成が出てきます。こちらも興味深いので、ぜひ考えてみてください。
【正解者及びコメント】 (正解者7名:解答到着順)
筒井浩実さん
12銀は質駒だと思っていました。
6手かけて邪魔桂を発生させた構成になっていますね。
作者から先日いただいたメールによると、
最近ちょいちょいと背面ばか詰を作っています。
とのことなので、後続作に期待したいです。
☆ おぉ、他にも作品があるのですか!
ちょうどフェアリーランドも「全ルール解禁」になったことですし、フェアリーランドで、須藤氏の名前を見ることができるのも、そう遠い日のことではなさそうですね。
若林さん
これは手も狭いし、最初に読んだ手で詰んだので簡単でした。
☆ 若林さんは上記の短評のほかに、12が他の駒だった場合の考察もしてくれました。
解説で紹介した「12と」案も、その中で見つかったものです。
大阪市の住人さん
不成の歩に (背面ならではの) 好手あり。
反則っぽい(?)5手目の歩生。
☆ 連続歩不成での追撃は、いかにも背面らしい展開ですね。これが対面ルールだと、こううまくはいきません。単なる「対面の逆」ではないので、こういう作ならフェアリーランドでも採用して貰えそうです。
もずさん
銀を取る手順を考えていて苦労しました。
11に生で飛べるのは気づきにくいですね。
☆ 本作は「12角」の配置でも同じ手順になりますが、「12銀」の方が質駒に見え易いのではないかということで、作者は「12銀」を選択しています。もずさんや筒井さんの短評を見るとこの狙いは成功しているようですね。
大串さん
頭2手が、作品に深みを与えていると思います。
24桂の多義性(王手回避、攻めの継続、退路封鎖)が面白いです。
☆ 本作の頭2手は私も良い導入だと思います。背面や対面では駒を打ち合う激しい展開になりやすいので、このように凡手であることが、却って非凡なんですね。24桂の味わい深さについても同感です。
北村 太路さん
三連続歩不成が簡潔に表現されていて
創作の上手さはさすがだと感心いたします。
還元玉と不成を強調するので5手詰より
7手詰の方が上質なんでしょうね。
(9手以上は冗長なだけだし)
☆ このページでは初登場とはいえ、須藤さんは作り慣れている感じがしますね。
特に7手で切ったのは作者の見識。極端な例を言えば、28玉配置にして17手詰にすることもできますが、これでは解答者に呆れられてしまうでしょう。
泉 真理さん
王様を詰ますのには駒が二枚必要という先入観?があったら絶対に7手では詰まないですね。こういう問題を考えていると普通の詰め将棋&指し将棋が弱くなりそうです。
☆ 普通詰将棋では攻駒1枚で詰める作品を「スーパー詰将棋」と呼ぶことがあります。まあ、それだけ攻駒1枚での詰上りというのが珍しいからなのですが、対面や背面だと攻駒1枚の詰上りも結構目にする機会があります。流石に「攻駒0枚」の詰上りはお目にかかったことはないですが、誰かがとんでもないルールを考えて、そういう詰上りの作を発表しそうで怖いです。
☆ 2002年度最後の出題は解答者の皆さんにも好評だったようで、選題した私も一安心です。今年もできるだけ楽しめる作品を出題したいと思いますので、皆さん解答・投稿をよろしくお願いします。
(2003.1.6 七郎)
【出題時のコメント】
今回は恒例となった「神無一族の氾濫」の予習問題です。登場する駒はチェスのフェアリーでは非常にポピュラーなグラスホッパー(以下「G」と表記)です。次回の「氾濫」では、Gを使った長編ばか詰を出題するので、まずはこの問題でGに慣れていただこうという趣旨です。
このGという駒、動きを説明すると「Qの線上で、ある駒(敵の駒でも味方の駒でも良い)を1つ飛び越したその直後の地点に着地する。そこに敵の駒があれば取れる」というものです。Qとはチェスのクィーンのこと。クィーンは飛と角の両方の動きを合わせ持った強力な駒なので、Qの線上に動くGも強力な駒に見えますが、実際にやってみると案外弱い駒だという感じを私は受けています。特に、Gを詰めるような作品を作った場合、ジャンプ台となる駒がないと動くことができないので、すぐに詰んでしまいます。逆にジャンプ台が多いと、Gは強力な駒に早変わりし、うまく活用すると従来の駒にはない変わった味わいの作品を作ることができます。いくつかG絡みの作品を作ってみると、フェアリーチェスプロブレムでGが人気が高いこともうなずけます。
今回の出題はG入門編。先手玉がG、後手玉が普通の玉という設定です。Gの研究成果については第6回神無一族の氾濫の第7番や資料集の駒詰の項の「剣の舞」「祝砲の挽歌」がありますので、この機会に是非ご覧になるようお勧めします。
【ルール説明】
【詰手順】
48銀 58金 47銀 49玉 58銀 59玉 69金 まで 7手
【解説】
初手は銀を打つよりありませんが、銀で直接王手をするのではなく、48銀と打つのがGの独特の利きを生かした王手です。これに対し受方は合駒をしますが、これは金が正解。銀でその金を取って、69金と打てば詰上りです。一見、49金と逆から打ちたくなりますが、Gが利いている場所は48なので、69金と打つのが正解です。
残念ながらこの作にはGのジャンプが出てこないので、手順自体は地味ですが、Gの利きを確認することはできる作ではないかと思います。
【正解者及びコメント】 (正解者7名:解答到着順)
若林さん
前回同様に詰む形を考えて逆算しました。
玉もGなら銀を29,39,49のどこかに打って一手詰ですか。
盤際では特に弱い駒ですね。
☆ Gと玉が逆なら確かに1手詰ですね。
両方Gだと銀を打ったとき、Gのジャンプ場所ができてしまうので、今度は詰みません。まったくGというのは強いのか弱いのか分からない妙な駒です。
筒井浩実さん
異王の理由は、78Gが普通のGだったら2手目68金でも詰むということでしょうか。
1筋方面に追うことを考えたので、ちょっと苦労しました。
☆ うっ、痛い所を突かれました。
実は78Gが王である理由はありません。普通のGでも完全作になります。
もともとfmに異王が実装されたのを機会に、試作品のつもりで作ったのを、そのまま出したのがまずかったようです。普通のGなら78でなく68にでも置いて、詰上り角砂糖型などと主張することもできたんですが…。
もずさん
駒数が少ないうちは考えやすいですけれど、48にGの利きがあるのが意表をついていますね。
☆ 一見48に逃げられそうな詰上りがセールスポイントの作なので、この短評は作者にとっては嬉しいですね。尤も慣れてしまえば、この詰上りもなんでもないんでしょうけど。
なお今回、若林さん、筒井さん、もずさんは即日解答でした。
北村 太路さん
銀とグラスホッパーが互いの弱点をお互いにうまく補って詰めていくのがいい感じです。
最後4九じゃなく凝るような6九から金を打つのも面白いと思います。
☆ 確かに横型の構図の場合はGと銀の相性は良いような気がします。前回出題した10リーパーとの組合せなら、斜めの構図で面白い作ができるかも知れません。
ぽこさん
詰め上がり図をずっと考えていたのですが・・・最初は銀一枚で詰まそうとしていたのですがどうやっても詰まないことに気が付いて一歩前進。駒を手に入れ方法で中合に気づいて二歩前進。今回は特殊駒の動きに見事に翻弄されました。
☆ ぽこさんは前回に引き続いての解答。今回のフェアリー駒にはちょっと苦労されたようですが、解けてみると面白いものでしょ、ね(なんか無理やり同意を求めているような…)。
でもGは前の10リーパーに比べると、性能の把握が難しい駒だというのは確かなようです。現に解答者数も減ってしまいました。
大串さん
最初、49銀、28玉、38銀、48金、同G、19玉、29金とやってしまった。
原理的に”同G”は無いわけですね。
☆ 大串さんも連続2回の解答。最初は合駒を「同G」と取ってしまったそうですが、私の知人も同じような間違いをしていました。どうもGがジャンプ台の手前で止まれないというのを、頭では理解していても、感覚的に納得しにくいようです。次のでこぽんさんも同じようなコメントしてますしね。
でこぽんさん
Gで合駒をぱくれないのに気付くのにちょっと時間がかかりました。(なんでやねん
Gがただの駒でなくて攻方王なのはなぜなのでしょう。
2手目58飛合の防ぎかとも思ったんですが違うっぽいし。。。
☆ 筒井さんへのコメントでも触れた通り、Gがただの駒でも完全作です。悩ませてしまったようで申し訳ありません。
現在このHPで公開しているfmでは、フェアリー駒を王でない普通の攻駒として扱うことはできないのですが、未公開の最新版では逆王手を無視させることによって、攻方王を擬似的に普通の攻駒として使うことが可能になっています。これもそのうち公開することになると思いますので、お待ちください。
あっ、そういえばでこぽんさんは初解答ですね。今後もよろしく。
☆ 前回に引続いての特殊駒の出題だったのですが、前回以上に見慣れない駒のせいか、若干解答数は減りました。今月の詰パラの「第18回神無一族の氾濫」に出ているグラスホッパー王ばか詰は、本作よりはるかに難しいのですが、皆さんの果敢な挑戦をお待ちしています。
次回は普通の駒での出題。このページの解答でも活躍されている方からの投稿作品です。お楽しみに。
(2002.12.09 七郎)
【出題時のコメント】
最近fmに重要な機能追加がありました。駒詰で、xyリーパーとxyライダー(0≦x,y≦4)が扱えるようになったことです。この用語を説明しておくと、xyリーパーと言うのは、チェスのナイトのように八方に跳ねることのできる駒のことで、跳ねるベクトルをxyで表します。例えば、ナイトは21リーパー、ゼブラは32リーパー、キャメルは31リーパーといった具合です。ライダーは更に、リーパーの方向に連続跳びができる駒のことで、例えばナイトライダーは21ライダーということになります。漢字表記についてですが、fmではリーパーを「跳」、ライダーを「駆」で表すので、当ホームページでもその表記を採用したいと思います。また、今回のfmの駒詰にはもうひとつ、「攻方と受方の玉に違う駒を指定できる」という拡張機能も追加されました。このため、駒詰で扱えるルールの範囲が飛躍的に拡がりました。駒の組合せを考えると、そのバリエーションは事実上無限と言って良いくらいです。この最新版fmについては、いずれこのホームページで公開しますので、楽しみにお待ちください。
さて、今回はこのfmの機能追加を記念して、リーパー問題の出題です。今回登場してもらうのは10リーパーです。10リーパーは前後左右に1マスだけ動ける駒のことで、あまりリーパーという感じはしません。むしろ斜めに動けない金と思えば良いでしょう。この駒、チェスの世界ではちゃんと名前が付いていて、Wazir あるいは Visir(Vizir)と言います。これはイスラム教国の高官・大臣のことで、地味な駒の割には偉そうな名前ですね。なお日本語ではこれを「正将」と言うそうです。
今回出題した作は10リーパー王の裸玉を調査した中の1局で、あまり難しくありません。実力者にはやや物足りないかもしれませんが、まあフェアリー駒入門編ということでご容赦ください。
【ルール説明】
【詰手順】
53歩 42跳 43歩 32跳 33歩 31跳 32歩生 41跳 52歩成 まで 9手
【解説】
10跳は前後左右にしか動けない駒。これを詰ます最も簡単な方法は、隅に追い詰めることです。例えば、11跳に22との詰上りが一番簡単ですが、これに到達するには11手掛かってしまい、手数オーバーになります。幸い持駒は歩3枚、すなわち11で詰ます場合に比べ一枚余分に歩があるので、この1枚を使って、「壁」を作ることにします。その手順が5手目の33歩から32歩生です。これでちょうど3筋が壁になり、52歩成で詰ますことができました。7手目の歩生がちょっとしたポイントですね。
なお、持駒の歩1枚を54歩と配置すれば、初手にも歩生が入ります。裸玉とどっちを採るかは難しい所ですが、やはり54歩を置くのはちょっとわざとらしい、ということで発見した当初の配置でそのまま出題しました。
【正解者及びコメント】 (正解者11名:解答到着順)
もずさん
慣れないとどうしても斜めに動かしたくなりますね。
玉方は4手しか動かないので、41で詰むはずと考えました。
☆ 今回は易しかったせいか、即日解答者が3名も。
その中でもダントツに早かったのがもずさんで、出題当日の1時40分でした。
この問題、もずさんには易し過ぎたかもしれません。
筒井浩実さん
コメントどおり易しかったです。
今後も易しい作品のときは解答したいと思います。
☆ おおっ、前フェアリーランド担当者の筒井さんから解答が!
今後も易しめの出題が続く予定ですので、ぜひ解答してください。
ついでに難しい問題のときも解答してくれると、もっと嬉しいです。
若林さん
詰む形から逆算したらすぐに解けました。
問題としては無価値ですが、歩2枚でも11手限定ですね。
※更に意味はないけれど、3〜8段目にいる10リーパは歩1枚で限定。
☆ 若林さんの仰る通り、10跳王は3段目から8段目のどこにあっても歩1枚で詰み、なおかつその手順は限定、すなわち完全作になります。そのうち、10跳王や11跳王などについて体系的に調べた結果をまとめて公表したいと思います。(都合により、ちょっと先の話になるかもしれません)
須藤さん
こんなので詰むわけないよな、と右にずらして歩生まで読むと詰んでました。
玉の特性を掴んだ詰上りになっていて好感が持てます。
おっしゃる通りの入門編でした。
☆ 須藤さんも忙しい中、毎回解答して戴いてありがとうございます。詰パラのホームページの Try Everyday は私のお気に入りのコンテンツ。これからも続けられることを希望しています。
ぽこさん
最初は特殊駒なので解く気力はあまりなかったのですが、「斜めに動けない金」という表記を見たら解けるような気がしました。(笑)
問題の方も、ななめにきかないことを利用したシンプルな作品ですね。個人的にはかなり好みの作品でした・・・そういえば前回もシンプルな作品を解いた気がします。
☆ ぽこさんは第56回の出題のときに解答をいただきましたね。ぜひ解答常連として定着してください。
次回も特殊駒が出てきますが、果敢なチャレンジをお待ちしています。
HUBさん
はじめまして。HUBと申します。
半年ほど前にフェアリー詰め将棋なるものを知り、興味を持ちました。
今回はじめて解けた(と思います)ので応募してみます。
この問題は先に最終形を考えて解きました。
ばか詰では特に有効な解き方になりそうだと感じました。
今後ともよろしくお願いいたします。
☆ HUBさんは初解答。こちらこそよろしくお願いします。
HUBさんの仰る通り、ばか詰では詰上りの想定が解図の早さを決める重要な要素です。特に短編ばか詰ではそうですね。フェアリーはいろいろなルールがあって慣れるのも大変でしょうが、面白い作品もいっぱいできるので、今後もフェアリーを楽しんでください。
泉真理さん
今回はたぶん一番最後の解答にになりますね。
特殊駒がある問題は解答を考えるよりも解答を作る方がたいへんです。
☆ 残念ながら(?)一番最後の解答にはなりませんでした。
いぬたさんみたいに狙って解答を出さないと一番最後になるのも難しいようです。
大阪市の住人さん
左右対称、中央に手あり。 5三の歩に負けはなし?
「跳」だけではどの「跳」か分からないので、「正」で表記しました。
別名「四方歩」とか....
☆ いつも格言風の短評をくれる大阪市の住人さん。「左右対称、中央に手あり」は碁の格言でしたっけ?
本ページでは左右対称形の作品は結構出題機会が多いので、「使える短評集」なんかがあれば、その上位に来ること間違いなしです。
なお、表記については「跳」でも「玉」でも「正」でも、分かればOKということにしています。fmでは解答手順にはルール名も一緒に出力されるので、単に「跳」だけでも何の「跳」かは分かるようになっています。
大串さん
パラ誌上でもfairlyが解けたのは通算5題以下なのに、解けちゃって大喜びです。「跳」は特殊駒性が薄いのと、管理人さんの言うように入門だったのが幸いしたようです。
不成りが入って、詰め将棋らしいと感じましたがこれは伝統ルールのセンスでしょうか?
もう解答を出せることはないかもしれませんが、時々CHECKしているので、これからも充実のHOMEPAGEを期待しております。
☆ 大串さんも初解答。本ホームページがフェアリーの裾野を広げることに貢献できることを感じられて、管理人としてとても嬉しいです。
なお、「不成」はフェアリーでも妙手です。なぜなら、詰ませるのに強い駒ではなくわざと弱い駒にするからです。もちろん、普通詰将棋の不成と比べるとフェアリーの不成は希少性が少ないですが、それでも作品の味わいを増すことは確かです。
北村 太路さん
最後に王手する駒にひもをつけとかないといけないなあ、と思ってやっていたのですが
ふと気づくとひもをつけずに詰んでいました。。。
10リーパーってなんだかとても弱そうですね。
最初HP見たとき「ten-leaper!?」と思ったのですが、ten-leaper王は残念ながらあの位置から動けませんでした。
☆ ten-leaper!?(驚愕)
5リーパーでさえ盤が狭く感じるのに、tenリーパーとなると動ける場所がほとんどないので、まともな作品を作るのは難しいでしょうねぇ。
なお、新しいfmには00リーパー、すなわち「不動王」もサポートされました。誰かこれで面白い作品を作ってください。(双玉なんかで余詰消しには使えそうだ、という感じはありますが)
いぬたさん
インベーダーゲームみたい。
☆ インベーダーゲームとはまた懐かしい。10跳がぞろぞろと大群で迫ってくる情景が、一瞬頭をよぎりました。あのインベーダーの場合は左右に動きながら迫ってくるのですが、このインベーダーは左右に動いて歩に追いやられる情けないインベーダーですね。
☆ 今回は初解答3名を含む、解答者11名とまずまずの盛況でした。特殊駒なので、それだけで敬遠した方もいたかと思いますが、駒の動きさえ把握すれば、そんなに飛躍した手も無いので、難しい問題ではなかったと思います。
これに味をしめて(?)次回もフェアリー駒入門編の予定です。
(2002.11.11 七郎)
【出題時のコメント】
以前にの欄で、私がWindows附属のPinballというゲームにはまっていることを報告しましたが、この前、ついに目標であった1億点を突破することができました。記念に画像をとったので、ここに置いておきます。
このゲームをやっていて、1億点を越えそうだと思ったときは、1億点を越えると何か隠しアイテムか何か出てくるのかと期待していたのですが、実際には何も変わったことは起こらず、少しがっかりしました。また、レベルの方も少佐→中佐→大佐→…と順調に昇進し、最後に元帥となってしまってからは、もう何も起こらず、ただひたすら点数を稼ぐだけになってしまい、こちらも残念だったです。もっとも、単なるおまけソフトに多くを期待するほうが間違っているのでしょうが。
で、次の目標となると当然10億点となるでしょう。10億点になるとすれば、表示桁数が足りなくなるので、どいうことが起こるか楽しみです。が、ここで重大な問題がひとつ。それはプレイに要する時間の問題です。1億点を取ったときは、2時間半も時間が掛かっています。持点が多いと、その後獲得できる点数が多くなる傾向があることを考慮しても、10億点を取るには10時間以上プレイすることが必要だと予想されます。まさに「時間のムダ」という言葉がピッタリくる行為で、こんなことに血道を上げていては、「ダメ社会人」の烙印を押されるのは間違いないところでしょう。
さて、「時間のムダ」と言えば、我が詰将棋も一般人の目から見れば立派な「時間のムダ」になるのでしょうが、こちらの方はいくら時間を費やしても気にならないから不思議です。それは詰将棋が私の生きがいであるからなのですが、あるいは私が既に「ダメ社会人」になっているからかもしれません。
ところで、今回の出題は第24回以来の出題になる「背面ばか詰」です。「背面」は「対面」の反対で、背中合わせになった敵駒と利きが入れ替わるルールですが、単なる「対面の反対」という以上の独特の魅力を持ったルールで、このルールがフェアリーランドで採用されないのは不思議です。
【お詫び】最初に出題した図面は過去に同一作があったため、急遽予備作に差し替えました。
【ルール説明】
【詰手順】
12歩 22玉 23歩 21玉 11歩成 12銀 22と まで 7手
【解説】
11に置いた裸玉に対して、持駒が歩2枚という実に簡素な初形。同一作の心配が多少あったのですが、私の調べた範囲では既発表作との衝突は免れているようです。
本作のポイントは、ずばり6手目の12銀。ここは一見すると角でも良いように思えますが、角だと最終手に対して、23角とする受けがあります。また、最終手22歩成とするのも、23桂または23角で逃れています。
なお、持駒の歩2枚のうち1枚を13歩と配置しておけば初手12歩不成が入りますが、やや配置がわざとらしいのと、裸玉でなくなるので本図としました。はたして、この選択はどうだったでしょうか? また配置も端ではなく、中央の51玉とする手もあります。単純な作ながら(単純な作だけに?)いろいろなバリーエーションが考えられる作品でもあります。
【正解者及びコメント】 (正解者8名:解答到着順)
若林広さん
これは簡単でしたが、背面の入門として楽しめました。
ルール上当然ですが、12角では駄目なのがアクセントになっていますね。
☆ 若林さんは第29回出題以来の解答。
新しい方からの解答も嬉しいですが、こうして古参解答者が復活するのも嬉しいことです。
また、第17回氾濫の感想もいただきましたので、各参加者に回しておきました。
いぬたさん
シンプルでありながら、なかなか味わい深い。
☆ シンプルすぎるので予備作となっていた本作ですが、意外と好評でした。
解答者も増えたし、怪我の功名かな?
keimapyonpyonさん
王手をされた瞬間に、その駒の後ろに何か駒を打つという発想がなかなか思いつかずに歩2枚だけで詰まそうとしていました。無理に決まってますよね(笑)。
6手目、最初は角だと思ったのですがそうすると最後で23角と取る手が生じるわけですね。
☆ 普通のばか詰のルールで詰まそうとすると、歩2枚では13手掛かってしまいますね。
本作では背面ルールの効果が現れるのは6手目ですが、今度はもっと早く背面らしい手が出るような作も出題したいと思います。
須藤さん
久しぶりな上に、間違っている可能性濃厚ですが……。
12歩、21玉、22歩、23角、11歩成、32玉、31歩生まで7手。
最後に33玉と逃げると、31歩の行き所がなくなる=33玉は禁手?
そんなルールでいいのかなぁ……。
あっ。ここまで書いて正解を見つけました(^^;
12歩、22玉、23歩、21玉、11歩成、12銀、22とまで7手。
6手目非限定かと思いきや、角対だと8手目23角で逃れるわけですね。
☆ 須藤さんは正解の他に誤答例も書いてくれました。
もちろん誤答例の「31歩の行き所がなくなる」は禁手ではなく、1段目の歩は背面ではOKです。
これは、復活の可能性があれば一時的に利きが無くなっても構わない、という考え方で、フェアリーの変身物では一般的になっている方式です。
もちろん利きがなくなったらその時点でダメというルールもあるのですが、ややこしくなるので最近では作例を見かけません。尤も、そのルールでもこの誤答例は成立しませんが(攻方の禁手で受方が制約を受けることはないので)。
もずさん
最初は12角と考えていました。
23角で王手を解消されてしまうのですね。
ピンボールで10億点を達成した人がいるのではないかと思って
googleで探索したのですが、さすがに見つかりませんでした。
もし達成できれば、「『パックマン』でパーフェクトゲーム達成」
http://www.hotwired.co.jp/news/news/Culture/story/2713.html
に匹敵する偉業といえるのではないでしょうか。
☆ おお、google検索という手がありましたか! もしかして10億点達成したら私も有名人!?
でも、ネット上には出ていなくても、世界は広いので、どこかに10億点を達成した人が隠れているかもしれないですね。
泉真理さん
6手目12角だと最終手23角で逃れ、最終手22歩成だと23桂で逃れなので結構難しい問題ですね。
☆ 泉さんはいつも通りkifファイルでの解答。
kifuwや柿木将棋で再現するとルールチェックの警告が出るのですが、それでもこの手順を再現することは可能です。よくできた柔軟性のあるソフトだなぁ、と感心してしまいます。
大阪市の住人さん
トーフの並べ方 「と金はナナメに使え」
☆ うーむ、何やら格言めいた短評ですね。
北村 太路さん
1二に打つ駒が銀じゃないといけないのが面白いですね。
☆ 今回の解答のトリは前回出題の北村太路さん。
前回解答者が少なかったのを気にされていましたが、これは私も覚悟の上だったので、その必要はありません。これからもどんどん作って、気が向いたら本HPにも投稿してくださいね。
☆ 今回は過去に同一作がある図面を出題するという失敗をしてしまいましたが、神無太郎氏のすばやい通報のおかげで、すぐに図面を差し替えることができました。
解答者に与える混乱も特には無かったようで、ほっと胸をなでおろしています。
今度は無用なトラブルを生じないよう、気を引き締めて臨みます。
(2002.10.14 七郎)
【出題時のコメント】
もうかなり昔のことになりますが、「ボビー・フィッシャーを探して」という映画を見たことがあります。内容を端的に言えば、チェスの天才少年の成長物語となるでしょうが、単にチェスが強くなっていくというだけではなく、人間的にも成長していく姿が描かれていて、とても爽やかな印象を持った作品でした。そして、このような映画が将棋でもあったら、将棋の普及に役に立つのではないかと思いました。当時の将棋関係の映画や漫画などは、「王将」の焼き直しだったり、やたら強い主人公が出てきて強力なライバルと戦って行く、といったものしかなくて、こういう爽やかな作品が出てきたチェスの世界をうらやましく思ったものです。(残念なことに、この作品は一般向けにビデオ販売されていないので、見たいと思ったら、レンタルビデオ屋さんに行くしかないようです。)
この映画、チェスだけでなく人間的にも成長する少年の姿を描いていると言いましたが、当然登場人物の中には逆にチェスは強いけれども、人間的には未熟というか歪んでいるというか、そういう人間も登場します。こういう人物を見ると、詰将棋界にも詰将棋の才能はありながら、他人に迷惑を与えるような人物がいることを思い出さずにはいられません。―― 私自身はそういう人間にならないように気をつけてきたつもりですが、果たして「ボビー・フィッシャーを探して」に出てきたあの少年のように、健全に生きているでしょうか?まあ、映画の人物像はひとつの象徴であって、実際の人間は常に品行方正な行動ばかり取れるわけではないですから、時にはマズイ行動もしているでしょう。ですから、私の行動や言動で不快な思いをしている人がもしいたら、なるべく大目に見てやってくださいね。
さて、今回の出題は本ページの解答常連の一人である北村太路さんです。ちょっと手数が長いですが、趣向的な味わいのある手順ですので、きっと面白いと思います。ぜひ解答をお寄せください。
(2002.9.1の追加コメント)
北村さんから問題提供を戴いた第62回の出題ですが、管理人の手違いで出題にミスがありました。どういうミスかと言いますと、ルールを「マドラシ」としていたのですが、このページでは単に「マドラシ」と言った場合、それは「Kマドラシ」(玉同士が互いの利きに入った場合互いの利きが消えるタイプのマドラシ)を意味することにしていました。ところが実際の作品はいわゆる「nonKマドラシ」(玉だけは互いの利きに入れないマドラシ)ですので、出題時にルール名称の付け方を間違ってしまったことになります。
ということで、異例の措置ですが、解答期間を2週間延長して再度解答を求めたいと思います。作者の北村様、解答者の皆様にご迷惑を掛けたことをお詫びします。
また、このミスに気付かせてくれた、本HP常連のいぬた氏に感謝します。
なお今後の「マドラシ」の取り扱いですが、今までの呼称では詰パラのフェアリーランドと食い違いがあり、紛らわしいので、今後はこのページでも呼称をフェアリーランドに合わせ、単に「マドラシ」といえば「nonKマドラシ」を指し、「Kマドラシ」のときはそのように呼ぶことにします。
ちなみに本ページで配布しているfmは、すでに上記のようにルール名が変更されており、「%m」で「(nonK)マドラシ」を「%k-madrasi」で「Kマドラシ」を指定するようになっています。
というわけで、混乱をさせて申し訳ありませんが、解答者の皆様には改めて解答を送って戴きますようお願い致します。
【ルール説明】
【詰手順】
73飛生 38玉 33飛生 47玉 37飛生 58玉 77飛 68玉 73飛成 77玉
72金 87玉 77龍 同桂生 まで 14手
【解説】
初形で攻方46角の利きの位置に受方玉がいますが、この角の利きは受方82角によって消されているので、初手はその82角の利きを遮る73飛と分かります。ただし飛を成ってしまうと、71龍の利きと相殺されて動けなくなってしまうので、不成で行きます。こうして初手はすぐに分かるのですが、問題はその後の手順。ばか自殺詰を解く場合は大まかに言って、「合駒によって攻方玉を詰める駒を発生させる」か「盤上の駒を攻方玉に近づけて詰める」という2つの方針があるのですが、本局の場合はいかにも「攻方玉を詰めるために置いている」かのような75桂の配置に気付けば、後者の方針で詰める手段を見つければ良いことが分かります。
さて、この方針を頭に入れて作意手順を見ましょう。初手に不成で動かした飛を活用して、受方玉を追いまわします。しかし、これは単調な追い回しではなく、途中攻方金の復活による王手が含まれていたり、再度の73飛のとき今度は「成」で王手するところなど、細かい味のある手が入っています。収束は、72金で73龍を復活させて、予定通り77同桂生での詰上り。飛車の大活躍が特に印象に残る作品ではないでしょうか。
【正解者及びコメント】 (正解者2名:解答到着順)
いぬたさん
飛が大活躍ですね。
玉が7筋を渡るところもちょっと面白い。
☆いぬたさんは最初Kマドラシで解答。このおかげでルール名の間違いに気付きました。
事情をメールで説明した所、すぐにnonKマドラシでの解答を送ってくれました。
感謝、感謝です。
たくぼんさん
初手が絶対で、何となく手順が想像できたので、意外と解きやすかったです。
でも、見事な内容で生で1周して成りで収束の対比は見事な傑作と思います。
☆このところたくぼんさんから解答が来ないと思っていたら、なんと入院されていたとのこと。
お互い体には気をつけましょう。
幸い回復されたとのことですので、今後もまたよろしくご解答ください。
☆今回は手数も長くやや難解だったため、解答者は2名に止まりました。
しかし、手順をご覧になっていただければ、趣向的な飛の活躍が楽しい作品だったと思います。
北村氏の作家としての今後の活躍が楽しみです。
(2002.9.16 七郎)