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6月号 結果

第19回

神無一族の氾濫
担当 神無七郎

@神無太郎

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49金、68玉、59金、67玉、69香、68飛、同金、66玉、65飛、56玉、57金迄 11手。

井上道宣―飛を入手して、57金でピタッと着地成功。

佐藤宣多―最後に隠れていた香が力を発揮。

汗里蒔里―9手目飛限定打が好手。

☆ 詰上りの鮮やかさは短編ばか詰の命。左右対称のきれいな初形も解図欲をそそります。ばか詰特集のオープニングにふさわしい作品です。

作者―フェアリー詰将棋と普通の詰将棋の相互作用作戦のフェアリー側の橋頭堡。

☆ この作品と同じ詰上りを、普通の詰将棋でやってみたのが、パラ7月号短大3の酒井氏の作品です。両者を比較鑑賞すると、個性の違いが楽しめるでしょう。

A神無太郎

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23桂、同銀、12歩、同玉、24桂、13玉、12桂成、14玉、13成桂、24玉、
23成桂、同玉、32銀、12玉、21銀生、11玉、12銀打迄17手。

作者―開発コードネーム「裏切りの銀二」。

名越健将―出題図と詰上図で銀が逆さとなるのに笑う。

弘光弘―銀2枚が詰方へ寝返っての詰上りがおもしろい。

☆ ずばり初形と詰上りの対比が主題のユーモア作品。解答者の皆様にもその意図はしっかり伝わったようです。

天津包子―詰上りが面白い。前半の絶連は目をつむります。

☆ このような作品は易しい方が良い、というのが作者の考えです。

B神無三郎・七郎

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14桂、同歩、34桂、12玉、22桂成、13玉、23成桂、同玉、24歩、22玉、
23歩生、12玉、22歩成、13玉、12と、23玉、13と、24玉、14と、同と、
25歩、23玉、24歩、22玉、23歩生、12玉、22歩成、13玉、12と、23玉、
13と、24玉、14と、同香、25歩、23玉、24歩、22玉、23歩生、12玉、
22歩成、13玉、12と、23玉、13と、24玉、14と、同玉、16香、15金、
同香、24玉、14金迄53手。

☆ 三郎氏の実戦型ばか詰を七郎が趣向作にアレンジした作品。易しい指の運動です。

北村太路―実戦形から生じる繰り返し手順の楽しさ。

山口勇―1本道でスラスラ解けました。

石川博樹―実戦形から歩の不成が入った趣向手順が飛び出し感動! しかも、実は普通詰棋も含めて50手台の作品が初めて解けてダブルで感動!!

☆ 多くの方に楽しんで戴けたようで作者冥利に尽きます。

C神無三郎「螢狩」

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69と、同玉、68と、同玉、86角、79玉、
「97角、88歩、同角、68玉、79角、77玉、68角、66玉、77角、75玉、
86角、66玉、75角、77玉、66角、87玉、88歩、97玉、75角、86歩、
同角、88玉、89歩、79玉」×4(但し4回目は最後の2手を省略)
97角、77玉、86角、66玉、77角、75玉、66角、85玉、86歩、94玉、
95歩、同玉、84角、96玉、97歩、87玉、79桂、88玉、66角、97玉、
88角、96玉、97歩、95玉、96歩、84玉、85歩、75玉、97角、86歩、
同角、66玉、77角、75玉、87桂、85玉、86歩、84玉、66角、94玉、
95歩迄141手。

螢狩うしろの闇へ寄りかかり(正木ゆう子)

☆ 右の句は作者がこの作品に託したイメージ。青く凝縮して輝く螢火の幻…。

☆ 長編ばか詰の技法のひとつに「角追い」があります。角が中段や下段の成れない領域で玉を追い回し、はがしや持駒変換等と絡めて長手数を構成するのです。本作では「角追い」に「持駒増幅」を組合せ、必要なだけの歩を稼いで収束する構成がとられています。

市村道生―題名に相応しい情緒豊かな作品。

宮谷保可楽―歩の入手法がわかったものの、収束がうまくいかず最後まで悩み続けた。85歩〜97角を発見してやっとこさゴールイン。詰上りは、もともと考えていたのとは全く違っていた。

☆ ロマンチックな題名とはうらはらに、手順はかなり難解です。「持駒増幅」の仕組みが分かっても、それを何回繰り返せばよいのか、また角桂歩だけでどうやって詰形を作るのか。暗闇の中で多くの解答者が行き詰まり、繊細で巧妙な手順を味わってもらえなかったのが残念です。

D神無三郎「霧姫」

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69歩、同玉、58角、78玉、69角、89玉、78角、98玉、87角、89玉、
98角、78玉、89角、69玉、78角、58玉、69角、49玉、58角、39玉、
28角、38玉、49角、48玉、39角、59玉、48角、69玉、58角、78玉、
「69角、89玉、78角、98玉、87角、89玉、98角、79玉、57角、68歩、
同角、69玉、87角、78歩、同角、58玉、69角、48玉、57角、38玉、
47角、49玉、38角、59玉、48角、69玉、47角、58歩」(=「A」)、
同角、78玉、、同角、79玉、57角、68歩、同角、88玉、89歩、87玉、
69角、78歩、88歩、同玉、79角、同歩成、
「89歩、98玉、87角、89玉、98角、78玉、89角、69玉、78角、58玉、
69角、49玉、58角、38玉、39歩、29玉、47角、38角、同角、39玉、
28角、48玉、39角、59玉」(=「B」)、
48角、68玉、57角、59玉、68角、同玉、69歩、同玉、47角、58角、
同角、78玉、69角、88玉、89歩、同と、99角、同と、、48角、69玉、
47角、58歩、同角、78玉、69角、89玉、78角、98玉、87角、89玉、
98角、79玉、57角、68歩、同角、同玉、69歩、同玉、87角、78角、
同角、58玉、69角、同玉、47角、58角、同角、78玉、69角、89玉、
78角、88玉、89歩、98玉、87角打迄205手。

壷の国信濃を霧のあふれ出ず(平畑静塔)

☆ 今回の最難解作にして極めて高度なパズル。歴代のばか詰の中でも最上位に位置付けられるべき傑作です。

☆ 技法的には入玉形での「2枚角追い」。詰上りの予想が難しい上に、歩の枚数の制約が手順を変則的で極めて難解なものにしています。

市村道生―立体の図形パズルを解く感じの、本格的な推理作品。高級で知性に溢れた傑作。特に、難解な手順はないし、手数もそんなに長くないのに、大変苦労した作品です。3つの部分(79歩成まで、99とまで、詰みまで)の中で、夫々、取る歩の枚数と、そのための最短手順の検討が本局の課題と思いますが、(8枚、1枚、0枚)で早詰があると錯覚したり、(7、1、1)(5、2、2)など紆余曲折、悪戦苦闘でした。その原因の一つとして、「多くの駒を早く取る」という原則に反する所が、第1部分の手順に2箇所、最終部分に1箇所あり、軌道の修正が心理的に困難であった事も挙げられます。最終的に(7、0、2)で作意手順に収斂した時の感激は、解図者だけが体験できる醍醐味。

☆ 長文ですが本作の本質を的確に捉えた評なので全文引用させて戴きました。本作の正解者3名には心から拍手を贈りたいと思います。

補足(2003.10.13)

この作品は上田吉一氏が「極光II」に収録を予定していたばか詰(作意107手)に触発されて創作された作品です。(上田氏のその作品は残念ながら早詰で、結局「極光II」には収録されませんでした。)
三郎氏の「霧姫」は2枚角追いの技法を使っている点で、この上田氏の作品をベースにしているわけですが、独自の収束形や不規則性を含んだ手順構成等により、オリジナル作品としての存在感を確立しています。
なお、「正解者3名」は駒井信久、市村道生、kzの3氏です。

 

E神無七郎

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59歩、同玉、48銀、58玉、59銀、49玉、58銀、39玉、28銀、38玉、
「39銀、29玉、38銀、28玉、37銀、38玉、49銀、39玉、48銀上、38玉、
39銀、49玉、38銀、58玉、49銀、59玉、28銀、48歩、同銀、58玉、
59銀、49玉、58銀、38玉、」×11
39銀、29玉、38銀、28玉、37銀、38玉、49銀、39玉、28銀、同成香、
48銀、38玉、39銀、29玉、38銀、18玉、29銀、19玉、28銀、18玉、
19銀、29玉、18銀、38玉、29銀、49玉、38銀、58玉、49銀、69玉、
58銀、79玉、88銀、同玉、89香、97玉、98歩、96玉、97歩、95玉、
96歩、94玉、93金、同玉、94金、同玉、95歩、93玉、94歩、83玉、
93歩成、73玉、83と、74玉、73と、同玉、74歩、…(中略)…97玉、
98歩、同馬、96と、同玉、97歩、…(中略)…73と、同玉、
74歩、…(中略)…96玉、97歩、同馬、95と、同玉、
96歩、…(中略)…73と、同玉、74歩、…(中略)…95玉、
96歩、同馬、94と、同玉、95歩、…(中略)…73と、同玉、
74歩、同馬、65桂、83玉、73桂成、93玉、…(中略)…88成桂、79玉、
78成桂、同玉、77金、68玉、69銀、57玉、49桂迄437手。

☆ 24手サイクルの持駒増幅と、馬の送り趣向を組合わせた2幕物。非限定のないばか詰の最長手数作品です。

市村道生―26角が絶好の配置で、駒取りと馬送り趣向の裏方として貢献する。楽しく鑑賞できる秀作。

宮谷保可楽―2枚の銀を巧みに操って歩を徹底的に入手する第1ステージと、と金送りによる馬を移動させる第2ステージの2部構成。解図のポイントになったのが78成桂と18成香。最後は57桂まで捌いてしまうとはねぇ。

☆ 今回は総評等は省略します。


【全題正解】 駒井信久、市村道生
【5題】 kz、高橋耕之助、宮谷保可楽
【3題】 天津包子、森美憲、汗里蒔里、磯田征一、西村龍志、北村太路、山口勇、秋元節三、石川博樹、伊東史郎、井上道宣、今川健一、太田啓好、弘光弘、Sub、佐々木寛次郎、坂本竜雄、佐藤善起、滝本幹夫、天六辰年、永遠旅人、佐藤宣多、中出慶一、名越健将、林八江子、半裸一族、戸井田洋太
【2題】 佐藤司、マーブルス、千葉肇、市川樹生、上田安夫、坂野孔一
【1題】 桑田倫彦、石川歩、片桐正二、中村増一、原岡望

 (太字5名当選)

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Copyright© 2003 KAMINA Family


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