神無一族の氾濫 [問題][前回][次回][目次]/[トップページ]

6月号 結果
第5回
神無一族の氾濫
担当 神無七郎

☆駱駝に乗って旅立った者達は誰も帰ってこなかった… 5番、正解者ゼロ。


@ 神無太郎 作
gif/hr0501.gif gif/hr05r01.gif
95飛、85飛、同飛、75角、65飛、55角、同飛、45香、48角、同角成 まで 10手

☆10手で玉方の合駒が4回。ば自の双裸玉では最多記録です。

大和敏雄 ― 95〜44。様式美を感じる。難易度については素人にはこれくらいがよい。

喜多眞一 ― 見事な限定合の出現は流石!

久保貴史 ― こういう美しい形が残されていたことが不思議。

☆この図で持駒飛飛角6手としてみましょう。詰上りはこの作品と同様ですが、飛の打ち場所が非限定になります。この非限定を消すにはどうするか。

☆私もこの命題をクリアできなかった作家の一人。ですから、太郎氏のこの明快な解答を目の当たりにして、ただ感心するばかりです。


A 神無三郎 作 『謎姫』
gif/hr0502.gif gif/hr05r02.gif
87角、76歩、69香、68飛、同香、67金、15飛、25角、同飛、35銀、32角、43香、45飛、55桂 まで 14手

弘光 弘 ― 使用駒を見てもしやと思ったが、見事な手順。

舉みつき ― 7種合最短手数。見事。

☆これ以上は短くならない、究極の七種合の誕生です。

☆昨年6月の「白雪姫」で33手という最短の7種合を見せたくれた作者ですが、今度はまさかの14手! 玉が全く不動で7種合を出してしまうのは正に驚きです。

久保貴史 ― 7種合の趣向が見えず5日悩み、寝ながらヒラメイタ。

☆ミステリ好きの作者ですが本作では過剰過ぎるほど「謎」を解くカギが転がっています。作者名、駒配置、手数、そして題名の「謎」という言葉が暗示する数。

パブ犬田 ― 歩合がなかなか新鮮。

☆初手の角は香の打場を作るため。歩合は他の合駒を残す意味付けです。

☆すべての駒に合駒制限以外の意味があります。技巧的にも優れた作品です。


B 神無金四郎 作
gif/hr0503.gif gif/hr05r03.gif
72金、91麒、82金、93麒、83金、91麒、92金、71麒、82金、73麒、83金、62麒、73金、64麒、74金、53麒、64金、55麒、65金、44麒、55金、46麒、56金、35麒、46金、37麒、47金、26麒、37金、28麒、38金、17麒、28金、19麒、29金、17麒、28金、19麒、29金打 まで 39手

【麒麟】 一間跳び前後左右と 斜めに利く駒(6月号参照)

☆8手で方向転換する序奏から単純明快な趣向が始まります。今回の氾濫で最も易しい作でした。

秋元節三 ― 麒が逃げられるように金を動かしていたら金鋸になっていた。

久保貴史 ― こういう特殊な駒はまだまだ開拓の余地がある。


C 森 茂 作
gif/hr0504.gif
48角、28玉、29銀、19玉、28銀、18玉、19銀、29玉、18銀、38玉、29銀、49玉、38銀、58玉、49銀、68玉、79銀、69玉、78銀、68玉、69銀、79玉、68銀、69玉、58銀、78玉、69銀、88玉、79銀、99玉、88銀、98玉、99銀、89玉、78銀、79玉、88銀、68玉、59角、58玉、69銀、49玉、58銀、38玉、49銀、29玉、38銀、39玉 まで 48手

【ばか千日手】 先後協力して最短手数で最初の局面に戻す。

☆今回特別にゲスト出演して戴いた森茂氏の作品です。期待に違わぬ好作で、正解者から好評が寄せられています。

秋元節三 ― 森さんのばか千は格調があるので大好きです。

☆私もです。本作は森茂氏としては小品ですが、棋形の美しさとパズル性が見事な調和を見せています。

☆解図のポイントは右の銀の動きです。収束からの逆算で考えると、右の銀を一旦左に持っていかないと、うまく手が続かないことがわかります。とはいえ銀は2枚もあるので、うまく銀を操らないと左辺でターンすることができません。

☆では、解答者を代表して、本作を解いた感動をこの方に語って戴きましょう。

蟹江義長 ― ばか千日手というより私は一見将棋パズルとして解答してみました。案の定僅か4枚の駒数で2×9の枠内で実に簡単なルールでこれだけ素晴らしい作品は生涯で初めて遭遇しました。最高級の名作と思いました。さすがこの人の作品は見逃せない。

D 神無七郎/金四郎 作
gif/hr0505.gif gif/hr05r05.gif
78金、86駱、77金、55駱、66金、68駱、67金、75駱、66金、44駱、55金、57駱、56金、64駱、55金、95駱、96歩、66駱、56金、35駱、46金、64駱、55金、33駱、34歩、46駱、45金、53駱、44金、22駱、33歩成、35駱、45金、64駱、55金、57駱、56金、44駱、34と、13駱、24と、44駱、55金、15駱、25と、46駱、56金、75駱、66金、44駱、35と、57駱、67金、86駱、77金、57駱、58歩、26駱、36と、55駱、46と、68駱、78金、37駱、47と、66駱、57と、97駱、88金、68駱、67と、55駱、66と、86駱、76と、79駱、78金 まで 77手

【駱駝】 1対3の方向に跳ぶ8方大桂馬(6月号参照)

☆四角いはずの盤面も駱駝にとっては複雑な迷路。まずは大まかに解図の要件を列挙しましょう。

☆駱駝はその利きの性質上、市松上の空間しか動けない。攻方の歩で97と59の歩は1度だけ動ける。46歩を取ればと金を作れる。詰形を金とと金と歩で作るならば、詰め位置は19か79(配置や出題者の好みから79にヤマを張れる)…等々。

☆もしこれが普通詰棋なら、ここまでのストーリー作りは既存の知識を利用して行うことができるでしょう。しかし、駱駝に初めて挑む解答者はすべてを自力で行わねばなりません。

☆手順に戻りましょう。46歩を入手してと金を作る所までは(自明ではありませんが)ほぼ必然。ここから左下に金とと金を運んで詰み、というのなら何も難しい事はありません。

☆ところが40手目は13駱! 左に行きたいと金を右に動かし、6段目に引いた金を5段目に戻してしまうのです。おそらく解答者のほとんどは、この最大の難所で諦めたか、19の詰上りを目指して手数オーバーになったのでしょう。

某氏(107手解) ― この問題のおかげで詰将棋創作はぜんぜんできなかった。でも、又こういった問題を待っています。

☆このファイティング・スピリットに共感を覚えます。現在は「難問」が敬遠される時代ですが、「明るいからといって、街灯の下だけで捜し物をする」のでは、詰将棋の世界の一部しか見たことにならいような気がします。


E 小林/花沢/橋本 作(早詰)
gif/hr0506.gif gif/hr05r06.gif
(作意)
33角生、62玉、51角生、52玉、62角成、42玉、52馬、33玉、42馬、44玉、33馬、54玉、44馬、65玉、66馬、74玉、75歩、84玉、74歩、85玉、84馬、76玉、78飛、65玉、75馬、54玉、65馬、44玉、66馬、35玉、36歩、25玉、75飛、35歩、37桂、34玉、56馬、44玉、45飛、33玉、55馬、34玉、44飛、33玉、24飛、44歩、34飛、42玉、33飛成、52玉、32龍、42金、41龍、43玉、52龍、33玉、45桂、34玉、43龍、24玉、33龍、14玉、34龍、24歩、25龍、23玉、14龍、32玉、65馬、43金、23龍、41玉、33桂生、52玉、32龍、51玉、41桂成 まで 77手

【取禁】 攻方・玉方共に駒を取れない。

☆作意は右の通りですが、早詰がありました。しかも、ルールの説明が悪かったせいで、数人の誤解を出してしまいました。「取禁」での詰上りは普通の詰みであって、駒を取れないことを前提とした詰みではありません。手順中で駒を取れないというだけなのです。

☆さて、取禁で還元玉という条件の付いたこの問題。詰上りは両王手ではないかと反射的に思ってしまいますが、この路線を放棄して初めて70手台の解答ができることになります。

gif/hr05r06b.gif

☆正解された方は2名。大和氏と須藤氏です。どちらも作意とは別手順でした。須藤氏は作意と同じ77手解ですが、大和氏は次の71手解。出題者の完敗です。

33角生、62玉、51角生、52玉、62角成、42玉、52馬、33玉、42馬、44玉、33馬、35玉、24馬、45玉、46歩、44玉、45歩、55玉、33馬、44歩、56歩、54玉、55歩、65玉、43馬、74玉、65馬、84玉、66馬、74玉、84馬、65玉、77桂、56玉、58飛、46玉、56飛、35玉、36飛、24玉、57馬、35歩、26飛、15玉、16飛、25玉、47馬、34玉、14飛、33玉、34飛、43玉、65馬、54歩、32飛成、53玉、75馬、64歩、33龍、52玉、32龍、42金、74馬、53玉、33龍、43金、65桂、62玉、32龍、51玉、41馬 まで 71手

☆今回は最後の作で不手際を見せてしまい、申し訳ありませんでした。次回は未定ですが、気を引き締めて取り組みたいと思います。


(2003.12.23追記)
当時のマシン性能では検討不可能だった本作ですが、現在ではfmでこの作品を解くことが充分可能になり、以下の67手の順が見つかりました。空き王手で桂を33に送り込むという、かなり突飛な手順であり、当時これが見つからなかったのもある意味仕方ないかもしれません。

33角生 62玉 51角生 52玉 62角成 42玉 52馬 33玉 42馬 44玉
33馬 35玉 36歩 45玉 37桂 54玉 44馬 65玉 66馬 74玉
75歩 84玉 74歩 85玉 84馬 76玉 94馬 75玉 78飛 65玉
75飛 54玉 76馬 44玉 54馬 33玉 55馬 44歩 45桂 24玉
46馬 15玉 37馬 25玉 33桂生 14玉 15飛 24玉 46馬 35歩
25飛 34玉 56馬 45歩 24飛 43玉 65馬 54歩 44飛 53玉
64馬 62玉 42飛生 52金左 53馬 51玉 41桂成 まで 67手


【4題正解者】
久保貴史、喜多眞一、駒井信久、パブ犬田
【3題】
大和敏雄、舉みつき、秋元節三、中島和男、赤木誉幸、宮谷保可楽
【2題】
須藤大輔、弘光 弘、桝田隆行、小畑 勉
【1題】
石山知人、蟹江義長、武内洋介、佐藤 司、神谷 薫

太字当選(誌代一ヶ月分入帖)

[*]

Copyright(c) 2000 KAMINA Family


神無一族の氾濫 [問題][前回][次回][目次]/[トップページ]