【出題時のコメント】
今回はキルケルール誕生についてのお話。第73回のコメントで、キルケルールがおおいずみ氏によって提唱されたこと、「詰将棋に左右非対称性を導入する」意図があったことを紹介しましたが、その続きです。
a.b.c.
おおいずみ氏が提唱した時に出題した例題がa図です。記念すべき日本式キルケ第1号局ですが、「左右非対称性」を提唱した本人の作だけあって、ちゃんと左右逆だと詰まないようにできています。
この翌日、私はb図を作って発表しています(反応が「翌月」でなく「翌日」なのはパソコン通信らしい所ですね)。この作は「キングキルケとの違い」「突歩詰と打歩詰の違い」について、自分の理解がおおいずみ氏と合っているかどうかを確かめる意図がありましたが、趣向作の原理図も兼ねています。実際これが第3回神無一族の氾濫の6番に繋がっていきます。また、この時に「キルケで煙詰を作ることが可能か?」という話題も出ています(もし作れる人がいたら凄いと思います)。
さらに翌日には神無太郎氏によって「キルケばか詰」が誕生しています(c図)。実はb図も「キルケばか詰」と言えなくもないのですが、本当に「ばか詰」特有の手順を実現したのはこれが最初です。この作は「復活できない場合は取った方の持駒になる」というルールの確認のために作られた作ですが、同時に「駒の復活位置を利用した限定打」の構想作で、かつ「左右対称に見える図面で左右非対称の手順を実現」した作でもあります。ですから、本作はキルケ草創期の古典のひとつとして語り継がれるべき作品だと思います。
むかし、全国大会で若島正氏とキルケルールについてお話したときに、氏は「チェスプロブレムで持駒の代用として考え出されたもの」と語り、あまり興味を示しませんでした。これは「持駒のある日本の詰将棋ではキルケは無意味」と言っているようなものですが、私を含めた神無一族の面々はキルケルールに単なる持駒ルールの代用以上の魅力を感じていました。振り返ってみると、このルール導入提唱直後の3作品は、すでに「持駒の代用」とは違った狙いを志向していたように思います。
さて、前置きが長くなりましたが(最近、どんどん長くなっているような気がする)、今回の出題です。今回の出題は上で紹介した神無太郎氏の作品と同様、「左右対称に見える図面で左右非対称の手順」が出てくる作品です。手数はちょっと長めですが、やりたいのは最終手だけ、という話もあります。(じゃあ残りの13手はいったい何なんだ!?)
【ルール説明】
【詰手順】
58歩 66玉 69香 68飛 同香/82飛 67飛 同香 56玉 52飛 同飛/28飛
26飛 67玉/99香 27飛 58飛成/57歩 まで 14手
【解説】
キルケの花形手筋のひとつに「魔女返し」があります。飛び道具の王手に自分の駒を合駒するのではなく、相手の駒を復活して合駒代わりに使う手筋です。これは、日本のキルケに特有の手筋ではありませんが、往々にして直感的に浮かびにくいため、妙手感の強い手筋です。
「魔女返し」は飛や角でやると特に派手なので、好んで作られますが、本作はその「魔女返し」を、もっとも地味な駒である「歩」で行うことを主眼とした作品です。つまり狙いは最終手だけ。27飛の王手に対し、それを無視するかのような、58飛成で歩が57歩として復活し、合駒の代わりを果たしています。「歩の魔女返し」は地味なはずですが、そのために飛が大きく動くので、意外と印象は派手かもしれません。
最終手までの13手は舞台作りです。攻方飛を横から打つ手を限定打にするために駒を配置するのではなく、飛を取らせて復活させることにより、非限定を消すテクニックは前回の出題でも使ったもの。また、左右対称風の初形は本当は多少横にずらしても成立するのを、わざと中央に持ってきたものです。左右逆の手順を踏むと、香が邪魔になって13手目が成立しないのが幸運な発見でした。こうしてみると、かなり自分でもキルケを作り慣れたかな、という気がします。
【正解者及びコメント】 (正解者5名:解答到着順)
若林さん
なるほど、確かに最終手一発ですね。
ヒントがなければ苦戦していたと思います。
初形も主眼手もシンプルなこの作品の場合、最終手までの手順が平易なのが逆に良い印象でした。
魔女返し入門、といったところでしょうか。
☆ またまた今回も最初の解答者は若林さんでした。解答数が減少した今回の出題で、「最終手までの手順が平易」と言ってのけるあたり、実力解答者の余裕を感じます。
清一さん
この手数では右辺を埋めることが出来そうもないので、作意の順に至るのはすぐでした。
左右非対称手順というテーマもさることながら、二度の飛車合からの二枚飛車の攻防、キルケ特有の最終手まで、すっきりまとまった素晴らしい作品ですね。
☆ 清一さんは本ページでは初解答ながら、堂々の即日解答。とても新人とは思えませんが、どなたかのHNでしょうか。これからの常連化を期待します。
もずさん
最終手の歩による魔女返しが目新しいですね。
飛車筋がクロスする一瞬の切れ味がたまりません。
これをこの初形まで逆算できたのは価値があると思います。
☆ 私もこの初形まで逆算できるとは当初は思っていませんでした。歩1枚くらいは置かないといけないかな、と思っていたのですが、それでは大幅に作品価値が下落してしまいます。双裸玉になるまで粘った甲斐がありました。
mirさん
これは凄い。
合駒を飛車2枚に決め打ちして7手目までを確定。8手目は王に近いところというカン。
どうせもう1回ぐらいキルケるだろうと9手目10手目を確定。あと4手。
最終手を閃く。58歩が復活して攻方王手をピン!
すごい構想としか言いようがない。
☆ キルケる!
駒が復活することを「キルケる」と表現する言い回し、すごく良いですねぇ。これから流行らないですかね、これ。三郎さんの「魔女返し」よりセンスがあると個人的には思うのですが。
鳥本敦史さん
左右非対称ということで玉がどちらへ逃げるか随分考えました。
連続飛合で飛を二枚発生させたところで88飛成→58龍か52飛→58飛成だと予感したのですが実現がなかなか難しい。
52飛打しか道はないと延々と考えていたら「衝撃の詰上がり」が見えました。
こりゃ、すごい!
一応a〜cも解いたので解答と感想。
a. 34龍、26玉/29桂、25龍! まで3手詰
「キルケばか詰」なら初手45龍〜25龍でも可能ですね。
(感想)キルケルールの1号局だけあって左右非対称、取った駒の復活という特徴がふんだんに盛り込まれていますね。b. 16歩、25玉、26歩、(中略)、95玉、96歩 まで17手詰
(感想)4段目の歩は玉で取れないという特徴を活かした楽しい趣向。
これをもっと早く知っていれば前回のトップページ問題の「34歩」が取れないのもわかってもう少しすんなり解けていたかも。c. 92飛、82飛、同飛成、61玉、71飛 まで5手詰
(感想)今度は「この場合は復活できない(持駒になる)」というキルケルールの説明に使えそうな作品。
キルケを活かして限定になっているのも素晴らしいです。
最近フェアリーに凝ってきました。
ついに大したものではないですが「ばか詰」まで作ってしまいました。
このページに影響されたからだと思います。
「81回」の出題おめでとうございます。
今後は100回と言わず200回、300回(!)と続けてフェアリー愛好者を増やして欲しいです。
☆ 鳥本さんはコメントで紹介した作品の解答と感想も送ってくれました。実は解答発表の時にこれらの作品の解答も付けようかと思っていたので、手間が省けて助かりました。鳥本さんは創作の方にも進出されたようで期待大です。「81回の出題おめでとうございます」が何の意味を持つか最初は気付かなかったのですが、盤の目の数なわけですね。今後もこのページの運営は可能な限り続けていきますので、よろしくお付き合いください。
☆ 今回は手数が長かったせいか、解答者数が減少しました。
次回は七郎の出題ではなく、本ページ常連解答者の方の投稿作品(無理やりぶんどってきたとも言う)です。ご期待を。
(2004.3.8 七郎)
【出題時のコメント】
現在オンエアされている深夜アニメのひとつに「GUNSLINGER GIRL」という作品があります。この作品のエンディングテーマにフォーレの「夢のあとに」という曲が使われています。これはフォーレの代表的な歌曲ですが、さまざまな編曲で器楽曲としてもよく演奏されています。その美しく物悲しい旋律は、このアニメの不遇な少女達の物語と良くマッチしており、なかなか巧い選曲だと初めは思っていました。ところがある日、エンディングのスタッフロールを見て唖然としました。この曲が「作曲:佐橋俊彦」と表記されていたのです。フォーレの名前はどこにもありません。確かに曲は多少アレンジされていますが、内容的には「編曲」に過ぎませんし、原曲の作曲者の名前が出てこないのも戴けません。ネットで“作曲”者の佐橋俊彦という人物の紹介ページを見たのですが、多くのドラマやアニメなどの音楽を担当している実力者のようです。このような実績のある人が、こんなあからさまな剽窃行為をするというのは理解に苦しみますが、もしかしたらそれが音楽業界の体質なのかもしれません。そのページの末尾にはご丁寧にも「所属団体 日本著作権協会会員」と書いてあり、性質の悪い冗談のように思えます。
ひるがえって、我が詰将棋界でも「盗作」の事例は皆無ではありません。ただ、例外的なケースを除いて、それが深刻な問題になったことはありません。詰将棋は狭い世界なので盗作してもばれ易いですし、金銭的な見返りが少ないので、危険を冒す価値が低いせいでしょう。
もっと頻繁に発生し対策が待たれるのは、盗作よりもむしろ悪意のない「偶然の一致」や「類作」の問題です。何も知らない新人が過去の作品と同一作を出してしまい、盗作呼ばわりされて傷ついた、という話もよく聞きます。本来であれば「詰将棋データベース」が、その問題解決の切り札になるはずだったのですが、残念ながら価格が高すぎるせいか、普及していません。何とか市販ソフト並みに価格を抑えるか、機能を類似作検索のみに限定して一般利用を可能にするとかの対策が望まれます。例えば、「柿木将棋」のような優れた詰将棋検討・棋譜管理機能を持つ市販ソフトと「詰将棋データベース」が融合すれば、価格も低く、機能的にも充実した「総合詰将棋作成支援ツール」が誕生すると思いますが、全詰連とソフトメーカのタイアップで何とか実現できないものでしょうか。
さて、前回同様前置きが長くなりましたが、今回の作品は年賀詰「1」の予備作です。手数も短いですし、そんなに凝った構想でもないので、易しいと思います。
【ルール説明】
【詰手順】
41飛 同玉/28飛 48飛 44銀 同飛/31銀 42角 まで 6手
【解説】
本作は最終手の42角を中心に構成した作品です。もちろんこれを取ってしまうと、22に角が復活し攻方王を取ってしまうので、結局取れません。初手の飛打もキルケらしいところ。一見捨駒のようですが、すぐに28地点に復活するので、改めて活用することができます。創作面から言うと、飛の打ち場所が限定できないときに、この「復活」を利用して非限定を消すのが、キルケ独特の創作テクニックのひとつなのです。皆さんもキルケの創作をしていて飛角の非限定にぶつかったら、「復活」という手段によってそれが解消できないか考えてみてください。
また、34歩は攻方の駒でも同じなのですが、よりキルケらしく、ということで取れそうで取れない受方の歩としています。短手数ですが、「1」の字でもあり、キルケらしさがいろいろ出せたので、割と気に入っている作品です。
【正解者及びコメント】 (正解者11名:解答到着順)
若林さん
双方にキルケが適用される展開で流れるように解決。
コンパクトにまとまっていて、気持ちのいい作品です。
☆ 今回も最初の解答者は若林さんでした。私の場合、短手数だとルールの特徴をうまく活かせない場合が多いのですが、今回は攻方・受方双方にキルケらしい手が出て、かなり満足しています。
筒井浩実さん
41飛、同玉/28飛、48飛、44角迄という筋があまりにおいしそうで
なかなか捨て切れないでいたのですが、24が埋まらない。
44銀の意味付けがダブったような感じがするのはちょっと味が悪い。
前回の作品は34飛、37飛、35角までは見えていたのですが、
そのあとの44銀からの展開は全然見えなかったです。
55が桂なら44合の一手になるので解けた可能性もあるかも。
おそらく44合しかない時点で読みを打ち切ると思いますが。
☆ 筒井さんも即日解答。
実は私は意味づけの重複はあまり気にしません(それが主要な狙いなら別ですが)。それに銀を復活させるだけなら42〜47のどの地点でもいいので、意味づけが重複しているという意識自体がありませんでした。
44角の筋は結構面白そう。双裸玉などで表現できるか考えてみます。
mirさん
初形に28飛や22角21桂31銀を置いて考えるという邪道な解き方で攻略。すごい密度の手順。逆に言うと好手そうな手を探す手筋もの?
☆ 確かに、本作は一言で言うと「手筋もの」だと思います。
キルケのば自だと「取ると逆王手になる合駒」から読むと詰上りが見える場合が多々あるので、そういった手から先に読むのが有力な解法かもしれません。
もずさん
玉を41に移動させる手順は、玉の22への利きがなくなるのでにわかには思いつきにくいです。
詰め上がりそのものは玉がいなくても成立するだけに、他の手段で詰まないのが不思議に思えます。
☆ キルケに限らず「ば自」では玉と王が同じ筋や同じ段にいると詰みにくい場合が多いです。それは飛の使い方が不自由になるせいなのですが、逆に言うとそんな条件下でどう詰ませるかがネタになることもよくあります。本作の場合は単純に玉位置を変更するという手段を使うのですが、それが心理的効果を生み出したとしたら、想定外の収穫ですね。
いのてつさん
ここ最近、指将棋を全くやってないので、角は82に復活するものと思いこみ、悩んでいました。
おかしいなーと思い、看寿賞作品集を引っ張り出して内藤作を見てみると・・・!!
キルケ入門にはぴったりの作品だったようですね汗
ちなみにキルケルールは指将棋派に結構人気がありました。
第三回氾濫の5手の組曲なんか、面白がってくれましたね。
しかしそこで調子にのって、「安南キルケ将棋をやろう」と言ったのが大悪手。
駒が復活しまくるため、700手(!)を越える大熱戦となり、最後は玉を素抜かれて負け。
ああ・・・失った時間の大きさを知って、思わず涙が。。
☆ 安南キルケ将棋!?
キルケ将棋ならまだしも、安南ルールまで付けるなんて…。700手を越える将棋なんてとても指す気になりませんが、見るのは面白いかもしれないので、棋譜があれば送ってもらえませんか? このページで掲載させて戴きます。
須藤さん
ルールを見て怯んだ後、初形と持駒で解く気を起こしました。
が、今度は慣れないルールに数日ぼんやりと悩む……取った駒は自分と相手、どっちに戻るんだっけ??
真剣に過去のパラを出してきて例題でルールを確認、やっと本腰を入れることができました(^-^;
飛車を離して打って合駒を強要すると、成生非限定が生じるのでくっつけて打つ。
あとはぼんやりと悩んでいた間に考えていた詰上りを無理やり実現させて、なんとか答えを出しました。
1問にこれだけ時間をかけたのも久しぶりで、解いたあと充実した気持ちになれました(^-^)
☆ キルケはオプションの多いルールで、ルールに悩むのも無理ないと思います。キルケの元祖のチェスなんかだと、復活の仕方等によって、ありとあらゆるバリエーションがあるのですが、とりあえず日本では普通のキルケルールとPWCがあれば10年くらいは余裕で楽しめるんじゃないかと思います。
大串さん
これは易しかったです。
成り生限定のため、飛をくっつけて打つしかないので初手が21飛、41飛の2択に絞れ、後はなんとなく解けました。
一手の緩みもない初心者向けの好作だと思います。
どうも、ご無沙汰していました。文章から伝わる、実力者にもかかわらず偉ぶらない姿勢には頭が下がる思いです。
ちょっと反応が遅いのですが、前回の出題文に関して私見を少し。
私は、作品の内容さえ面白ければそれでいいと思うので、ルール名の呼称は基本的にどうでもいいと思っています。
ただ、「ばか」と「自殺」は無くしたいです(キッパリ)。世の中には気の毒な方がいらっしゃるもので、身内に知能障害者や自殺者がいる方がいるもので、そういった方には「ばか」や「自殺」は快い言葉でないと思います。私自身はそういう立場ではないのですが、そういう立場にある方が世の中にいることを知っていて、そのことが気にかかります。パラダイスでは色々な方(気の毒な方も含めて)が楽しめるべきだと思います。
そんなこと言っていたら、「詰める」という言葉等問題ある言葉はたくさんある、とか言う方もいるかと思いますが、「ばか」や「自殺」ほど短刀直入に”負の概念”を帯びた言葉は無いと思います。
「自玉詰」は正直しっくりこないのですが、「協力詰」は好きですね。二人で一つの目標を達成する、、、。
「コード化」については、私には(いいのか悪いのか等も含めて)よく分かりません。現行のコミュ二ティーの整頓だけでなく、将来の海外進出、社会における地位の確立などを目指した意欲あふれる提案だとは思います。そうした意図はすばらしいし、その意図に根ざした行為が身を結ぶことは私自身強く願っています。ただ、なんか「コード化」について特に強い感情が湧かないんですね。私のフェアリーへの興味がその程度だということかも知れません。
☆ 大串さんには前回提唱した「コード化」についての貴重なご意見を戴きました。こういった声が反映されてフェアリーの世界が少しでも良い方向に向かえば良いですね。もちろんこのページでも、そのための努力や実践を積み重ねていきたいと思います。
たくぼんさん
いきなり飛車を渡すのがキルケならではですね。暗算で結構考えていたのですが、この初手がなかなか浮かびませんでした。結局盤駒を出して・・・年を取ると頭の柔らかさがなくなりますので、根気強くいくしかないですね。
類似作問題では、やはり「詰将棋データベース」の価格が高いのが問題でしょう。私も手が出ません。
作家各々が持つのが難しい今の状況では、各担当者にお願いいただくしか仕方ないと思います。
たとえば現在パラの各高担当者の方はどうなのでしょうか?担当者サイドもしくは編集部(検討陣←今もあるのでしょうか)での検閲?で類似作出題は減るとは思いますが、難しいのでしょうか。仕事が増えて大変かも・・とは思います。
☆ 詰将棋データベースの問題は、全詰連にもしっかり考えて戴きたいです。
一番最近では、詰パラホームページの出題作で、前全詰連会長が同一作を出してしまうという失態を演じていました。これは詰将棋データベースが実質的に機能していない証拠です。全詰連は詰将棋データベースを「小遣い稼ぎの道具」として扱うのではなく、本来の目的である「同一作・類作の未然防止」に役立てるよう考えて欲しいと思います。
北村太路さん
出題図から2二、4二地点に玉が効いていたので
玉を動かしずらく、この手順を見落としました。
3一地点も埋まっていたので銀打も気付きにくかったです。
☆ 北村さんの日記に「解けた」ということが書いてあったのに、なかなか解答が届かなかったので、不審に思っていたのですが、まさかこちらから督促するわけにもいかず、2月5日に解答が届いたときには、ほっと胸をなでおろしました。詰パラの「パソコン奮戦記」にもありましたが、他人の日記が読めてしまうと、普通と違うことが起きますね。
川並洋太さん
42角はすぐ分かりました。44飛で22もふさぐのがうまいです。
ルールの質問ですが、戻せない駒はどちらの持ち駒になるのですか?
☆ 取った方の持駒です。取られた方の持駒にしても良いのですが、それだと「駒数の変動が起きないので余り面白い作品が作れないだろう」という判断で、こちらを標準にしています。もちろん、別の設定(取られた方の持駒になる、とか、どちらの駒にもならず消えてしまう等)で面白い作ができたら、それで発表するのも良いと思います。
鳥本敦史さん
飛車が44まで来て王の逃げ道を塞ぐのに役立つとは意外でした。
それにしても密度の高い手順ですね。「易しい」ってありますがこれぐらいの難度だと十分楽しめます(^^;
今後も「易しい」のを期待しています。
☆ 本ページの役割を考えると、こういったフェアリーの「手筋もの」を出題して、愛好家を増やすのが本道なんでしょうが、どうも管理人の趣味でマニア路線を突っ走っています。次は…申し訳ありません、ちょっと難しいかも。
☆ 今回は初形曲詰の手筋もので、11名の解答を戴きました。多くの方に楽しんで戴けたようで良かったです。
次回もキルケば自の予定。ちょっと手数が長くなります。
(2004.2.9 七郎)
【出題時のコメント】
詰棋人の間には年賀状に詰将棋を載せる「年賀詰」という風習があります。ところが、困ったことにフェアリー詰将棋は「年賀詰」に向いていません。フェアリーをやる人が少ないのも理由のひとつですが、もっと重要な理由は「ルール名の縁起が悪い」ということです。私自身はルール名など何でもいいと思っているのですが、新年早々「ばか」とか「自殺」とか書いた葉書が舞込んできたら、受け取る側が気分を悪くするかもしれません。というわけで、私の年賀詰は今年も普通詰将棋です。
フェアリーでのルールの表記についてはパラ11月号で片岩氏が「コードでルールを表すようにしたらすっきりすると思う」と述べていますが、私もこれには賛成です。具体的に素案を作って有志の意見を求め、一定期間の試行期間を設けて読者の反応を見る…というようなやり方で、これを実行に移すよう期待しています。
私の持っているルール表記の具体案は、ルール(「ばか詰」「自殺詰」「最悪詰」「悪魔詰」「千日手」等)にコードを割当て、条件(「安南」「背面」「キルケ」「マドラシ」等)を括弧で添えるというやり方です。例えば「マドラシばか自殺詰 10手」なら「HS 10手(マドラシ)」という具合です。これは服部敦氏が担当の頃のカピタンで採用されていた表記をモデルにしています。
コード化の目的は「ばか」や「自殺」などの不吉な言葉を表面から消すこと以外に、「呼称の自由」を確保するという側面があります。例えば「H」で表されたルールを「ばか詰」と呼んでも良いし、「協力詰」と呼んでも良いのです。ある名称を他の名称に強制的に置き換えようとすれば、1990年代の改名論議の二の舞になるでしょう。複数の名称が並存することを許容し、「ルールは自分の好きなように呼んで良い、ただし絶対に他人に強制してはいけない」という姿勢で互いを受け入れることが大切です。その上で、ルールの呼称が自然にひとつに定着すれば、それはそれで良いのです。
念のため断っておきますが、これは私・神無七郎の個人的意見であって、神無一族としての統一見解ではありません。一族の中には従来の名称に愛着を持っている人もいますし、コード化を積極的に唱える人もいます。私自身は最初にも言ったように「名前など何でもいい」という人間ですが、コード化による「実益」を重視して、こういう意見を書いています。
さて、いつも以上に前置きが長くなりましたが、今回の作品はフェアリー愛好家向けの年賀詰「1」です。少し難しいかもしれませんが、年末年始のお休みを活用して解答を送ってください。
【ルール説明】
【詰手順】
34飛 37飛 35角 44銀 同飛 53玉 54銀 65銀 46飛 54玉 まで 10手
【解説】
本作は恒例の年賀詰「1」ですが、いつもの出題と違い、今年は形だけではなく、手順もかなり凝っています。そのため、解答も激減してしまいました。
初手は飛での王手しかありませんが、これに対する応手の37飛が第一の難関。この石化状態を35角という別の駒の割り込みで解除するのが本作のメインの狙いです。種を明かせば、これは第76回出題時の「角の睨み合いに飛を割り込ませる」パターンの変形です。主役と脇役の駒を入れ替えるのは、よくある創作のパターンですが、こうしたアレンジに新しい発見が加わると、作品価値はぐっと上がります。本作ではその直後の銀合がその「発見」にあたります。実は最初の図は上下逆で、4手目の合駒も金だったのですが、銀合にして、後の飛の限定移動にも味を出すことができました。
なお、55角は55桂でも同じなのですが、視覚的効果から角にしています。久々に自分でも満足できる作品になりました。
【正解者及びコメント】 (正解者2名:解答到着順)
若林さん
かなり苦戦しましたが、美味しそうな手順を追いかけていって
なんとか解決しました。予想以上に濃い手順。好みです。ルールの記載方法は、私も思い入れがありません。
ただ、コード化が万能だとは思っていません。
チェスだってレトロになると結局ルールをそのまま書いているように、コードにはどうしたって限界がありますから。
また、縁起云々を言い出してしまうと、玉を召し捕るなんてこと自体にも言いがかりを付ける事ができてしまうので、それをもってコード化を推奨するのはあんまり賛成できません。
♯年賀状に記載するときに、都合のいい命名をしてしまえば良い話かと。
ところでコード化の際、サイトの記載にはルールと条件、とありますが、"目的"も明示した方が良さそうです。ルールと条件、という表記も言葉の検討の余地がありそう。
目的: #,S,=(チェスト同じ)、∞(千日手)P(roof Game)……
ルール: 無印(かしこ)、H(elp)、D(aeamon)、W(orst)
条件(重複可なものが多い):マドラシ、キルケ、阿南、……
私が生きているうちにいわゆる詰将棋がオーソドックスと呼ばれるようになったら凄いな、と思います。
さすがに「○手」が滅びて「#○」になる可能性はないと思いますが。
♯でも個人的にはそれはそれで依存はありません。
☆ 最初の解答者は若林さん。受信したのは12月25日でした。
この難問に解答を戴いたのもありがたいのですが、ルール名のコード化に対する貴重なご意見も戴きました。特に「コード化は万能ではない」という見解はまさしく正論で、コード化を考える際に、避けては通れないところでしょう。
ただ、「"目的"も明示した方が良さそうです」の下りは、私の説明が舌足らずで誤解を与えたせいかもしれません。私は「ルール」という言葉の中に次の3要素を含めたつもりでした。
- 手順を選択する論理
- 目的の対象
- 目的
1.は「ばか詰」や「悪魔詰」と言った、手順の選択論理を示します。省略時解釈は「かしこ詰」でしょう。「最善次善詰」などの拡張ココセもここに分類されます。
2.は一般的には相手玉を詰ますか自玉を詰ますか。もちろん、3.が「ステイルメイト」だったら相手玉をステイルメイトにするか、自玉をステイルメイトにするか、というように読み替えられます。もちろん3.が「千日手」だったら、2.の表記は不要です。省略時解釈は相手玉。
3.は最終目的で「詰」「ステイルメイト」「千日手」等。省略時解釈は「詰」。「1.手順を選択する論理」のコード化については、神無三郎氏も有力な提案をしています。次のような英語表記をもとにコード化をするのです。
かしこ詰=directmate
協力詰=helpmate
最悪詰=anti-directmate
悪魔詰=anti-helpmate
またこの問題に関してWeb上で意見や感想を述べてくださった方もいらっしゃいます。
もずさん
http://d.hatena.ne.jp/mozuyama/20031223#p4
北村さん
http://d.hatena.ne.jp/ponchol/20031224#p1
フェアリーランドの反応はまだですが、これらの意見を踏まえて建設的な議論が成されることを望みます。
たくぼんさん
正月中どこに行くにもこの図面をポケット入れていました。難しかった。3手目まではすんなりだけど、銀合いから銀打ちが思考外でした。思いついたときは飛び上がりました。
久しぶりに解けた喜びを感じた一作でした。
今年はまた解答していきたいと思いますので、よろしくお願いします。
☆ たくぼんさん、待望の復活宣言! 前回も解答を戴きましたが、今回は自ら復活を宣言されているのが心強いです。今後もぜひ頑張って解答上位争いを面白くしてください。
またこの作について、これだけ真剣に考えて戴いて、なおかつ喜んでもらえるとは、作者としては本望です。
☆ 今回はちょっと難しかったせいか、解答者は2名に止まりました。解答減は予想できたのですが、お気に入りの作品だったので、出したい欲求の方が勝ったのです。
次回はかなり易しくなる予定です。
(2004.1.12 七郎)
【出題時のコメント】
他人の作品の批評というのは難しいものです。これには2つの理由があります。ひとつは批評自体が他人に見られ、自分の鑑識眼が試されることです。看寿賞の選考委員などをやっていると、特にその点でプレッシャーを感じます。
もうひとつは批評がその作者に与える影響です。誰しも自分の作品が褒められれば嬉しいし、貶されれば気分が悪くなります。特に作者が新人の場合は気を遣います。新人の作品は得てしてアラが多く、欠点が目に付きやすいのですが、それをストレートに指摘するのは躊躇しなければなりません。新人に限らず、誰かから作品を見せられて、それを批評する立場に立ったとき、そしてその作品に不満を感じたとき、それをどうやって相手に伝えるかは非常に難しい問題です。
私は「神無一族の氾濫」の担当者をやっている関係上、作品の批評をせざるを得ない立場にあります。しかし、この仕事は私の重荷にはなっていません。なぜなら、神無一族の面々はベテラン作家ばかりであり、遠慮会釈なく相互批評を行える関係にあるからです。選題の期間も充分あるので、改良の依頼や、作品の差替えなどで、不満のある作品は最初から出さないことが可能なのです。このページに投稿をしたことのある方は知っていると思いますが、私は投稿作に対してかなり多くの注文を付けます。投稿から掲載まで、何の改変もない作品の方が少ないのです。これは「神無一族の氾濫」の選題スタイルをこのトップページ出題作に対しても適用しているからで、これが作品公募している割に投稿が極めて少ない原因の一端になっているかもしれません。これから投稿しようという方がもしいたら、その点は覚悟しておいてください(←脅してどうすんだよ)。
さて、今回の作品は前回までとは趣が異なり、極めて軽い趣向作です。ある意味、これは第75回出題時の自分の言葉を否定するような作品ですが、これもば自ステイルメイトのひとつの表現だと思います。もしこれを他人から示されて批評を求められたら…あまりのばかばかしさに沈黙するか、笑うかどちらかでしょうね。
【ルール説明】
【詰手順】
12歩 同玉 13歩 同玉 14歩 同角生 22銀 同玉 23歩 同玉
24歩 同玉 25歩 同角 33銀 同玉 34歩 同玉 35歩 同玉
36歩 同角 44銀 同玉 45歩 同玉 46歩 同玉 47歩 同角生
55銀 同玉 56歩 同玉 57歩 同玉 58歩 同角生 まで 38手
【解説】
ここ数回「ばか自殺ステイルメイト」をシリーズで出題してきましたが、今回は完全なお遊び作品。軽い指の運動です。
解くのは全然難しくありません。手数38手、持駒19枚で、このルールですから持駒を消去して、11玉を57に持ってくれば良いことはすぐ分かります。玉だけではなく、角も動かさないと持駒を消去できないことに気付けば、正解にたどり着くのは時間の問題でしょう。こういう玉に他の駒がお伴をしながら移動する趣向を「夏木立型趣向」と言いますが、これは玉だけが移動する送り趣向より面白く、フェアリールールでこうした趣向に気付くと、貴重な発見をした気分になります。
なお、このルール(ばか自殺ステイルメイト)では、こういった「攻駒消去もの」がひとつの分野として成立します。私もいくつか作ってみたのですが、本作のような軽趣向作から、頭が痛くなるような難解作まで様々な作品が創作可能です。ちょうどfmの機能追加で検討も容易になったことですし、他の作家の方々にも研究して欲しい分野です。
【正解者及びコメント】 (正解者12名:解答到着順)
泉真理さん
やさしい問題ということで久々に解答します。
(今までのステイルメイトの問題は詰め上がりの形が全然予測できませんでした。)
今回の問題は持駒が少ないほうが簡単という不思議な問題ですね。
☆ 今回は即日解答がなんと5通! その中で一番乗りが泉さんでした。
受信時刻は1時7分。解答を頂けるのは嬉しいですが、夜更かしも程々に(出題する私も夜更かししているのですが(^^;)。
筒井浩実さん
私がばか自殺ステイルメイトを鑑賞する際に重視していることは、ばか自殺詰でできないことをやっているのかどうかということです。
この問題では、ばか自殺詰ならば最後に駒が残っていてもよいが、ステイルメイトでは動ける駒を残してはいけないという、最も単純な相違点を活用しています。
それによってばか自殺詰ではできなそうな手順を表現しているので、十分に存在価値はあると思います。
前2回はぎりぎりまで色々考えてみたのですが、解けませんでした。
ので、「少なくとも3人」ではなく「少なくとも4人」が支持しています。
しかし、2回とも正解のお三方は強い。
私も解図力をつけなければ。
☆ 私もフェアリーで作品を評価するときに「そのルールを活かしているか」ということを重視します。もちろんルールを余詰消しとか駒数削減などに使うことも否定はしませんが、作品への評価はどうしても低くなってしまいますね。
本作の場合はルールを活かしてはいても、それ以前に内容が…。
川並洋太さん
はじめ歩が五枚あまりましたが角を使えばうまくいきました。
角のおかげで手順が限定できて、きれいな答えになって面白いです。
☆ 川並さんは第75回からの解答ですが、難しい問題も解いて下さるので、非常に期待しています。本サイトでも解答上位を狙ってください。
北村太路さん
玉が5七に来ればステイルメイトになる出題図だったので最初は何も考えず銀や歩を連打して、歩が余り困りました。
角を動かせば歩を無駄に浪費できたとは。
軽快な趣向で解けてよかった。
ステイルメイトは人気がないのではなく、難しいから解答が少ないのではないのかなあ。(いえ、ただ単に前2回私がヘボで解けなかったからからだけなんですけど)
☆ 北村さんの仰るとおりですね。今まで解答数が少なかったのは、ステイルメイトが人気がないからではなく、単に難しかったせいだというのが、今回で証明されました。
今後も“時々は”こんな肩のこらない作を出したいと思います。
もずさん
持駒を使い切らなければならないという制約があると格段に考えやすくなりますね。
歩を玉に取らせるのは10回しかできないので、後手の角は5回動く必要があります。
☆ 「歩を玉に取らせるのは10回」というのは、「玉が1段目から7段目に移動するのに6回」と「銀で玉を引き戻すのが4回」という意味ですね。最終形で57玉を想定した上での、論理的な解法です。
いぬたさんがいない(?)今、もずさんは本サイトの解答番付で一位を独走中。果たして追いつく人は出てくるか!?
若林さん
清く正しく打ち捨てですね。
こういうのも気楽で楽しいです。
☆ 実は持駒歩18枚を捨てるだけのお気楽作品をいくつか作っています。
このページでは登場しないかもしれませんが、OFMあたりで発表するかもしれません。
mirさん
2年ぶりぐらいですかねえ・・。
もずさんのページに触発されての解答で、氏にはお礼申し上げます。
本作は大将棋の盤面でやったほうが面白い?(笑)
☆ お懐かしやmirさん。第56回(2002.2.11)以来の解答ですね。ぜひ以前のような活躍をお願いします。
さて、大将棋盤を使うかどうかはともかく、本作では持駒銀6枚とか、通常の制限を越える駒数を使っても良かったですね。加藤徹さんの「歩50枚を使った作品(ナイト玉ばか詰)」みたいに、異常で且つ美しい作品が作れたら最高です。
鳥本敦史さん
持駒19枚38手なので打って取るだけ。
最終形が見えやすく非常にわかりやすかったです。
いざ解いてみると歩がどうしても処理できず苦戦。
角で歩を処理できるのに気付いてやっと解けました。
非常に楽しい作品ですね。
☆ 鳥本さんは初解答。詰パラなどでも拝見するお名前ですので、フェアリーでの活躍も期待しています。それから、鳥本さんのホームページをリンクに加えたいと思うのですが、宜しいでしょうか? OKでしたらメールか掲示板でお返事をください。
須藤さん
普段ならルールを見てさよならするところでしたが、最終形が見えているのと、持駒&手数で全部打ち捨てればよいのに気付いて取り組むことにしました。
最初は玉しか動かしていなかったのでどうしても歩が消化しきれず苦戦。
角が動くのか?と考えた瞬間に解けました(^-^)
☆ 詰パラホームページのリニューアルご苦労様でした。Try Everydayの1500回達成も偉業ですね。同じような企画をして、挫折した人も多い中、この持続力は見習いたいと思います。1525回にはぜひ「ミクロコスモス」にちなんだ作品を…って冗談です。
あんどれさん
38手で持ち駒が19枚なので、すべて持駒を打つ手である。
ばか自殺ステイルメイトなので、その持駒はすべて取られなければならない。
(王以外の攻め方の駒が盤上にあったら、その駒を動かさなければならないので)
王が動けなくなるには、玉が57に来ていないといけない。
11の玉が57に来るには(全部同玉で応じるとして)最大銀4枚、歩10枚必要である。
残りの歩5枚をどこで消費するか…そうか、角に取らせて後で58に戻せばよいのか。
こう考えて上の手順にたどり着きました。
今回の作品、最後を同角成にしたら普通のば自になると一瞬思いましたが、角の成り場所だけでなく、銀の打ち場所も非限定になるので無理でしたね。
歩もいっぱい余るし。
☆ あんどれさんも初解答。今回のように新しいフェアリー愛好家に出会えると、ホームページでの活動をやってきて良かったと思えます。今後も宜しく!
スピカさん
久しぶりに解けました。
なかなか角が動かせませんでした。最終形はすぐ分かったのですが・・・
☆ スピカさんは第59回以来の解答。今回は初解答の2名の方の他に、古参の解答者の復帰もあり、とても嬉しいです。
たくぼんさん
久しぶりに解答します。
軽い趣向ということで、軽い気持ちで暗算で取り組んだのですが、なかなか解けない。
最初は58角を動かさずに王を57まで持ってこようと・・・・。その内、持ち駒19枚で38手ということに気づいて(遅いわ!)逃げる手ないじゃんといいながら、銀で下へ落としながら・・・追っては見るものの歩が余る余る。でしばらく・・放置。
昨晩、締め切りに追われて盤に並べてみると・・・・・一瞬で解けました。
いやあ、こりゃ年かな・・・・。
今月パラの氾濫も、3番と5番が見事に残っています。
難しいわ。
☆ たくぼんさん復活! 北村さんの解答番付3位進出を阻止しました。
また以前のように本ページでの活躍を期待しています。
☆ 今回は前回までの閑古鳥状態が嘘のような大盛況。新規解答者の登場や、古参解答者の復活などもあって、管理人として嬉しい限りです。
次回はちょっと気が早いですが、新年にちなんだ「1」の出題。作品の難易度は上がりますが、年末年始のお休みを利用して解いてください。
(2003.12.15 七郎)
【出題時のコメント】
2003/10/18の風みどり氏の日記で「私は詰将棋を解くのが苦手である。」という一節がありました。もちろん風みどり氏は一流の詰将棋作家であり、詰将棋を解くのが苦手と言っても、普通に指し将棋専門の人が使うような意味合いでの「苦手」ではないと思います。かくいう私も学生のころ、詰パラの解答競争に参加したことがあったのですが、結果は3位止まり。解くのが苦手、というほどではないですが、あまり威張れた成績でもありません。
解図能力は詰将棋作家に不可欠の要素で、この能力が高いに越したことはありません。しかし、良い作品を得ることができるかどうかは解図能力という要素だけに依存しているわけではないので、ある一定のレベルさえクリアしていれば、努力とか独創性とか他の要素で解図能力の不足を補うことは充分可能でしょう。
ところがフェアリーの世界では「一定レベルの解図能力」を身に付けることでさえ、結構難しい話になってしまいます。ルールが多様で感覚が付いていきませんし、普通詰将棋と違って豊富な例題があるわけでもありません。例えば詰パラなどに出ている問題を年間全題解いたとしても、練習量としては圧倒的に不足です。むかしは「カピタン」などのフェアリー専門誌などで量的な不足を補えたのですが、今はそれもありません。Online Fairy Mateも参加者はごく少数であり、残念ながら「カピタン」の穴を埋めることはできていません。
このような環境で、フェアリーで解図能力を上げる最も有効な手段は「創作すること」だと私は思っていますが、これは取っ掛かりが大変で敷居が高いので、次善の案を示しましょう。それは「マップを作ること」。fmなどを用いて、あるルールのある一定の領域を全検して、結果を分析するのです。この作業を通じて、そのルールではどんな手筋があるか、何が常識で何が非常識か、といったことを把握することによって、解図・作図能力の向上を図るのです。例えばこのサイトの資料集のページにある「対面ばか自殺詰双裸玉」の全完全作リストを見てください。このマップの作成作業をやる前は、私はほとんど対面ルールの創作はできなかったのですが、このマップ作りでかなりの解図能力が付き、創作らしいこともできるようになりました。マップ作りが本当に有効な学習効果をもたらすには、適切な問題領域を選ぶことが不可欠なのですが、そういう難しい問題は後回しにして、とにかく自分が興味を持ったルールについて徹底した「調査」を行うことは、必ず自分にプラスになるでしょう。
今回の出題はそんな「マップ」の中の1問のようにも見えますが、実際には体系立った調査の産物ではありません。変身ルールのばか自殺ステイルメイトですが、前回の作よりは少し易しいと思います。
【ルール説明】
【詰手順】
49香 48飛 同香 47桂 26飛 36飛 47香 同玉 27桂 26飛 まで 10手
【解説】
安南ばか自殺詰でよく見かける詰上りに、攻方の王を桂の頭に乗せる形があります。ばか系・ば自系に限らず、安南では玉を歩や桂などの弱い駒にするのが、基本的な手筋です。これは安南の逆である安北でも同様で、王を桂や歩の下に置くのが、詰み易い形となるのです。
本作はその安北の基本形である「玉頭桂」をステイルメイトに適用したものです。玉頭桂で攻方の王を弱くして、その桂自身は飛でピンをすることによって、動きを縛るのです。このステイルメイトに至る手順で飛桂玉の3段重ねを作るのがちょっとした工夫でしょうか。
同じようなステイルメイトは以下のようにすれば安南でも実現可能ですが、この場合、飛は単なるピン以外に働いていないので、飛が王のジャンプを防ぐ役割も果たしている安北の図の方を選びました。この辺りの選択は、作者の趣味が現れるところかもしれません。
14飛 24桂 同飛 34飛 43金 同玉 23桂 24飛 まで 8手
【正解者及びコメント】 (正解者3名:解答到着順)
もずさん
一度この詰め上がりを目指して双裸玉にまとめようと考えたことがありました。
こうすればよかったんですね。
本質は変わらないはずなのに安南よりも考えにくかったです。
☆ もずさんはまたも即日解答。自分の作ろうとした作と同じ筋ということで、解き易かったというのもあるでしょうが、やはり強力な解図力の為せるわざでしょう。そしてこの解答で、ついに本ページでの解答成績も単独トップに立ちました。
もずさんの登場は第35回からで、それからほぼ毎回解答を下さっています。これからもよろしくお付き合いください。
若林さん
王がやたらに広いのでフェアリーメイトしかないだろう、と最終形を検討。
王の頭に丸い駒を置いてみる。桂か角。それをピンするために玉方飛車を置いてみる。
あ、これだけでステイルメイトか。決め打ちして逆算。
見つけてみるとこのルールでは基本となりそうな収束ですね。
阿南での桂化して頭銀、みたいな感じでしょうか。
王を4筋か5筋に置くほうが綺麗に感じますが、隅での余詰が無い以上は盤面をコンパクトにした方が良いのかな。
☆ 本作のステイルメイト型は基本中の基本。期せずして、太郎さんの作とぶつかったり、もずさんも同じような作を考えていたという事実からも分かるとおり、あまり奇抜な作とは言えません。太郎さんの作はOFM213号に発表されましたが、本作を知っていると、却って迷うかもしれません。
なお配置を中央にしなかったのは、作者の趣味。盤の対角線上に玉と王を配置したかったのです。
川並洋太さん
27桂で28玉(桂状態)の王手だと予想したので 飛車状態の桂で王手するのが難しかったです。
☆ 攻方の王を桂状態にする構成するやり方もありますね。実際にそうすると…(ネタばれのため自主規制)。
☆ 今回も前回とまったく同じ3名の方から解答を頂きました。人気のないステイルメイトですが、少なくとも日本で3名には支持されていることでしょうか?
なおステイルメイト推進キャンペーンは次回で一応終わり。今度は思いっきり易しい作品です(←易しい作を先に出せよ、自分)。
(2003.11.17 七郎)