【出題時のコメント】
第50回の記念すべき出題は、前回ただ一人の正解者であったもずさんの作品です。もずさんはご自分のHPであるもずいろ−風変わりな将棋の部屋や中将棋入門で、作家としての腕前を披露してくれており、今回の作品もその実力の一端を示してくれていると思います。なお、神無一族以外の作品がトップページを飾るのは、第27回のいぬたさんの作品(1999.11.15)以来のことになります。今後も作品の公募は続けますので、皆さんもこのページに載せたい作品がありましたら、ぜひ投稿してください。
今回の作品のルールは前回と同じ「獅子王ばか詰」です。前回惜しくも正解できなかった方は、ぜひ本作を解いてリベンジしてみてください。なお、前回の結果がアレだったので、ちょっとヒントを出しておきましょう。普通、獅子を詰めるには両王手か、桂打ちの詰上りを目指すのですが、本作はそのどちらでもありません。さて、どんな詰上りなのでしょう?
【ルール説明】
【詰手順】
33飛生 36金 同飛引生 25獅 15金 23獅 26飛右 13獅 14金 まで 9手
【解説】
筆者は前回の出題時に「金銀歩合いは除外して考えて」とのヒントを出しました。それだけ、これらの駒が獅子王を詰めるのに役に立たないからなのですが、本局は「金合い」を敢えて作意に据え、その金で詰上げるという、極めて意欲的な作品です。
この金合いが成立するからくりは、1筋の香の配置にあります。普通、金で獅子王に王手を掛けると、獅子王は金を「居喰い」してしまい、唯で金を取ってしまいます。ところが本局は、金の背後に香が控えているため、最終手で仮に獅子王が金を取って元の位置に戻ったとすると、今度は香で獅子王が取られることになります。
このように飛び道具を支え駒にする詰上りは、「両王手」「桂打ち」に続く第3の詰上りであり、獅子王を詰めるパターンとして、記憶に値するのではないでしょうか。
【正解者及びコメント】 (正解者7名:解答到着順)
北村 太路さん
50回おめでとうございます。
途中からこのページを見させていただいていますが、毎回更新日が待ちどうしくて、すぐ見に来てしまいます。(前回は早く解答が知りたくて結構悶々としました。)
月並みですが100回、200回と続けていってください。
前回のヒントで「金銀歩の合駒は除外して考えましょう」というような文があり、天邪鬼な私は、なんとか金銀歩を合駒にするような問題はできないだろうか、と考えました。
1−3筋に香をならべて、1一獅、1ニ歩から逆算しようとしたのですが。(結局全然うまくいかず断念しました)
今回3枚縦にきく駒があったので「もしや」と思ったのですが、解いてみたら見事に綺麗にできている!!
胸のつかえがとれました。もずさん、ありがとうございました。
☆今回の最速解答者は北村さん。出題後3時間での解答でした。
最初の出題時に「持駒:なし」を記述し忘れたのですが、そこは推理で補って解答を寄せて下さったようです。
感想からすると、北村さんも作図にチャレンジされていたのですね。
今度はぜひ作品を完成させて、本ページにご投稿ください。
mirさん
今回は出題時の大ヒントと、初形で13で詰むのが見当がつくので、多少は楽でしたが、それでも難しい。
王手駒を居食いした場合の飛び道具のヒモをつけるという発想になかなか至りませんでした。
作品としては不成2回でよくできていると思います。
☆その不成についてですが、本作の2三飛の配置は結構微妙な位置。
これ以上近いと不成が入りませんし、遠いと今度は桂合いが出てしまいます。確認してみてください。
Spacemanさん
桂馬でも両王手でもないってことは、居食いしても王手がかかる状態ということに着目して、飛車、香車のような走り駒を背にした頭金か頭銀で詰みになるのではないかと思い、考えていたら出来ました。
私も中将棋で詰め将棋を作っているので、獅子の弱点などを学習するのに前回と今回の問題は非常に有効でした。
前作も「もし鳳凰が敵の持ち駒にあったら」というルールで解答を発見しましたが、やっぱりそれでは駄目ですね。
結局桂馬をつかうなんて発想が思い浮かばなかったので解けませんでした。
今取り組んでいるのは、spacemanが勝手にルールを作った、玉将、太子問題です。王手をかけ続けながら両方取るという構想ですが、初回作はあえなく失敗しました。
将来は、中将棋のフェアリー詰め将棋を作ってみようと思います。
☆私も将来は中将棋の“普通”詰将棋を作りたいと思っているのですが、
なかなか時間が取れなくて(言い訳)、まだ鑑賞専門です。
大西鉄矢さん
ヒントを見たので、直ぐに詰め方が、判りました。
これがなきゃ、23角成りまでとかしてしまいそう・・・・
☆「11香12歩」の代わりに攻方「11と」にすれば角合い〜23角成の手順が
実現しますね。それに作者自身から提示があったのですが、次のように
一段下げればば銀合も出てきます。本局はかなり柔軟な素材なんですね。
たくぼんさん
とにかく飛車を2列並べたら何とかなるだろうと考えてなんとかたどり着きました。
しかし2手目の普通の金合いがなぜだか思いつきにくかったです。
今回も解けなかったら、獅子王アレルギーを起こしそうでした。ふう。
☆本HPの解答王たくぼんさんも本局にはてこずりましたか。
でも意地で解答するところはさすがですね。
いぬたさん
50回おめでとうございます。
ヒントと11香、12歩の配置のおかげで、詰め上がりを思いつくのはそう難しくはありませんでしたが、飛車2枚を互いの効きでガードしようとしてかなり苦労しました。
☆詰上りが分かっているのに、そこに辿り着けないといもどかしさ。
でも、それを克服したときは気分が良いものですよね。(無理やり同意を求める)
マプさん
とけてみると綺麗で素直にみえますね。すんなり解けた人はすんなり解けたのではと思います。しかし、私はまってしまいました。
はまった原因は獅子方の香車や歩が余詰防止であるのでは?と前回の呪い?にかかったからです(笑)
もずさんも今後、作家としてドンドン活躍していってほしいですね。
期待してます。
☆受方の香と歩に幻惑されましたか。
深く考えすぎると却って解けなくなるものですよね、詰将棋って。
もずさんの作家としての活躍は、私も大いに期待しています。
そのうち詰パラ誌などでも旋風を巻き起こしてくれるのではないでしょうか。
☆次回も、中将棋駒シリーズ!
(2001.9.17 七郎)
【出題時のコメント】
前回に引続きの中将棋の駒を詰ませる作品。今回は獅子の登場です。
獅子は普通の玉の2手分の動きができる駒と考えれば大体その性能が把握できると思います。名前に負けずかなり凶暴な駒で、普通の将棋の駒でこれを捕獲するのは極めて難しいことです。例えば金銀歩のような近接戦闘しかできない駒は、紐が付いていても獅子にタダで食われて逃げられてしまうのがオチです。
一方が獅子王1枚と歩のみで、他方が普通の将棋駒一式の「獅子王将棋」などでも、結構いい勝負になると言われているくらいですから、獅子の強力さが分かるというものです(正確に指せば普通の将棋駒一式の正規軍の方が勝つそうですが)。
本局は受方が攻方に協力する「ばか詰」ですが、それでも獅子を捕まえるのはひと苦労させられるでしょう。先に申し上げたように、この設定では金銀歩の合駒は手に入れても役に立たないので、頭から除外して考えて差し支えありません。
【ルール説明】
【詰手順】
36角 56獅 53飛 34獅 31飛 33桂 同飛寄成 12獅 24桂 まで 9手
【解説】
非常に強力で、詰めにくい獅子という駒ですが、それを無理やり詰ませる問題。むかし「巨人の星」で「大リーグボール2号は雨に弱い」というセリフがありましたが、無敵に見える獅子にも弱点はあります。すなわち「獅子は桂に弱い」。金銀歩などの近接攻撃の駒だと、獅子に取られた上に逃げられてしまいますが、2間離れた所からの桂ならば、ヒモが付いていれば取られずに済むのです。本局はその桂打ちまでの詰上りを目指し、大駒で獅子を僻地に追いやりながら周辺の退路を埋めていく手順の作品でした。作り方としては詰上りからの逆算の作品です。
あと、獅子は両王手にも弱く、この作品を作っている最中も、両王手での余詰がいっぱい出てきました。過去の作例を見ても、獅子を詰ませる作品というのは、桂打ちまでの詰みか、両王手の詰みが多いようです。
【正解者及びコメント】 (正解者1名!)
もずさん
1九に追い込んで両王手の詰め上がりとばかり思っていたため、
初手も2手目も全く予想外でした。
私がこれまで解答した中で最も苦労させられました。
☆今回の出題はちょっと難解すぎたようで、解答者はもずさん1名のみ。
本作が難解なのは、もずさんの評にもあるように両王手の紛れがあることと、金を取らせてしまう意外性があったせいだと思います。実はこの金は獅子の動くコースを限定させるためだけの配置なのですが、このせいで解答者が減ったとすれば、非常に罪作りな配置です。
☆解答者減にめげず、中将棋駒シリーズはまだしばらく続けます。
次回は意外な作者が登場?!
(2001.8.20 七郎)
【出題時のコメント】
フェアリー詰将棋では普通の将棋にない駒(フェアリー駒)が使われることがあります。その多くはチェスプロブレムから「輸入」されたものです。代表的なフェアリー駒としてはクイーンやナイト、グラスホッパーと言ったものが挙げられ、これらはfmでもサポートされています。
しかしフェアリー駒はチェスの専売特許ではありません。純国産のフェアリー駒もfmではサポートされています。中将棋の獅子、麒麟、鳳凰がそうです。
中将棋は成りのルールが複雑で、やたら利きの大きい駒が多いので、詰将棋には不向きな面もあるのですが、初代宗看や三代宗看が詰中将棋の作品集を残しているところをみると、案外有望な分野のようにも思えます。もしかすると21世紀は中将棋復権の世紀になるかもしれませんね。
さて、今回の出題は玉(王)が中将棋の麒麟の利きになったばか自殺詰です。麒麟はきれいな対称形の利きを持つ駒で、慣れるのは比較的容易だと思います。貴方もこの詰将棋を解いて、中将棋の道に一歩踏み出しましょう。
なお、この問題では本物の中将棋の麒麟と違い「成り」はないという設定になっています。
【ルール説明】
【詰手順】
32飛 22金 13飛 32麒 21角 同金 まで 6手
【解説】
麒麟王が2つ並んだ双裸玉。王の利きが変わっているとはいえ、6手のばか自殺詰ですから、普通のばか自殺詰双裸玉の典型的パターン(2手目合駒、4手目玉移動、6手目合駒移動)を適用することができます。
初手の32飛に、2手目は金合い(飛は売り切れ)。この飛車は、後手の麒麟王で取れるようにわざと32の地点から打ちます。合駒で発生させた金を21に移動させれば、王手を掛けながら31と22の利きを塞ぐことができるので、あとは13の地点を埋めるだけ。このため3手目の飛車短打が成立します。最後の角打ちも短打。大駒を派手に使うのではなく、あくまで短く短く使うのがこの作品のテーマでした。
【正解者及びコメント】 (正解者6名:解答到着順)
もずさん
最近、詰中将棋を作っていたのですが、持駒が使えないので合駒の感覚を忘れていました。
しかし、駒余りを考えなくていいので変化が割り切りやすく創作は割合楽だと感じました。
中将棋で二千手、三千手を目指してみてはいかがでしょう。>七郎さん
☆いや〜、中将棋の駒の動きとか、成りの規則とかまだ憶えてないので、
創作はまだ私には無理です。
噂では、三代宗看の詰中将棋には二千手の作品があるとか。
まだ、その手順は解明されていないようですが、いつの日か三代宗看の
詰中将棋の全貌が明らかになる日が来て欲しいですね。
mirさん
麒麟は金で詰みやすいのかも。
ルールに比べて、フェアリー駒は相当新手筋が
埋まっている気がします。
どうでもいいですが、最近24にいって指将棋を15年ぶりぐらいに
やっていますが、このページでいろんな手を考えているせいか
昔より手が見えるようになってる気がします。
感謝!
☆おっしゃる通り麒麟と金は相性が良いようで、麒麟を金で詰ましたり、
金で追ったりする作品は、割合作り易いように思います。
しかし、このページが指将棋の実戦にも役に立つとは・・・。
変な手ばかりが見えて、却って弱くなりそうな気もしますが。
大阪市の住人さん
持駒3枚。 大駒・前駒・ハス駒を順に活用する。
大 駒 − 飛・角
前 駒 − 飛・金・銀・香・歩
ハス駒 − 角・銀
麒麟よりも(合駒ができる)象棋の相・象の方が詰ませやすい?
☆大阪市の住人さんは今回の作品のツインを考えてくれました。
b)持駒 飛角角。
3四角打※、2三飛合、1三飛打、3二麒、2一角打、同飛引まで6手。
(※4五に駒を置けば限定打。)
初手が限定になれば私も飛合いの方を選択したかもしれません。
たくぼんさん
32金がなかなか暗算では思い浮かばないなあ。飛車角の限定打の味がいいです。
☆取られる位置に打つ32飛はなかなかいい味でしょ?
北村 太路さん
4手目は3ニ玉と書くべきなんでしょうか?
王様の効きが違う問題を解いたのははじめてだったかもしれません。
合駒をするために使っておきながら、その駒を取るとは麒麟王というのは欲張りな駒ですね。
☆解答は3二玉でも3二麒でもかまいません。分かるように書いてあれば
正解にします。
いぬたさん
いつもながら、うまくできてるなぁと感心します。
ピンの外し方が麒麟ならではですね。
☆普通の玉だとピンをはずすのに「逃げる」ことはあっても、
「取ってしまう」ことはないので、感覚的に面白いと思います。
☆やはりフェアリー駒を出題すると解答は減るようです。
個人的には中将棋駒絡みで出題を続けたいのですが、さあどうするか。
(一週間迷いそう・・・)
(2001.7.23 七郎)
【出題時のコメント】
のっけからお詫びでなんですが、第24回出題のb(背面ばか詰5手)には同一作がありました。カピタン26号(1982年1月)の出口信男作です。この間、とあるきっかけで昔のカピタンに目を通していたときに見つけたのですが…そうですよねぇ、話がうますぎると思ったんです。裸玉から詰上り「1」の字という実に都合の良い作がポンと頭に浮かぶなんて…。きっとこの作のことが意識下にあったんですね。とにもかくにも今後こういうことのないように気をつけていきますのでどうか読者の皆様、そして元祖作者の出口様、どうかご容赦ください。
さて(気を取り直して)神無太郎氏による今回の出題は「安騎」などとというゲテモノではなく、フェアリーとしてはばか詰と並んで由緒ある「安南」です。ばか自殺詰と組み合わさっていますが、趣向作ですから1サイクルの秘密が分かれば、収束まで一気に解けると思います。え?受方の駒が玉ひとつしかないのにどうやって詰ますかって?それが実は趣向の鍵なんです。どうか皆さん、この楽しい趣向を味わってみてくださいね。
【ルール説明】
【詰手順】
82歩左成 92玉 84と 91玉 72歩左成 82玉 74と 81玉 62歩左成 72玉
64と 71玉 52歩左成 62玉 54と 61玉 42歩左成 52玉 44と 51玉
32歩左成 42玉 34と 41玉 22歩左成 32玉 24と 31玉 12歩生 22玉 まで 30手
【解説】
歩が並んだいかにも趣向作という初形。いちばん単純に玉を追うとすれば、92歩成 同玉 84と 81玉 82歩成 同玉 74と 71玉… というような手順が浮かびますが、これでは玉が移動するだけで攻方の王が自殺することはできません。攻方の王が自殺するためには、詰上り図のように歩を生で12に送り込んで、11王の利きを歩に変えてやる必要があります。そのため趣向手順も複雑化し、上記手順のように歩の頭にと金を作り、歩の移動によってと金の利きが復活して王手を掛けるような手順となります。
一見単純な初形ながら、巧妙な趣向が楽しめる作品でした。
【正解者及びコメント】 (正解者7名:解答到着順)
もずさん
と金・歩・と金と3段重ねにしなければいけないことに気づくまでが大変でした。
「歩左」と書いたのは初めてです。
☆安南は駒の利きの変化があるので「伝統的表記」は大変です。
fmでは駒の利きが交錯した場合「○○□跳」(桂の利きになった駒が跳ねた)という表記が現れることがあります。
妙な表記が現れる例題を作ってみるのも面白いかも。
須藤さん
とりあえず詰み形の推測から始めました。
合駒はあり得ないので、玉をと金にするか歩にするか……。
「11玉12と13歩」を作るよりは「11玉12歩」を目指す方がよい?と決めつけて収束形を探し、あとは逆算を歩の数だけ進めて手数ぴったし。
パズルの王道、頭の体操にちょうど手頃な難度でした。
☆ちゃんと収束から考えて頂いて、出題意図にピッタリです。この解き方は模範的というか、正統的というか、他の方にも参考になるのではないでしょうか。
マプさん
詰ますには▲1二歩不成が王手にならないといけないので▲22との効きが復活する形。
この▲22とがどうやってきたのか考えて一気に趣向のサイクルがひらめきました。解けてみると収束をみこした見事なサイクルになっていますね。余計な手順がない分謎解きとして楽し
めました。
☆本作は「趣向の最終サイクル=収束」という構成になっているので収束手順で悩まなくて済んだようです。軽趣向に難しい収束というアンバランスな作品も巷では散見されますが、そのような作よりは本作のような構成が望ましいのではないでしょうか。
大阪市の住人さん
30手だから、1サイクル4手。
不動王の雪隠詰。
1枚詰(スーパー清涼詰)
玉鋸(ぎょくのこ)・・・・逃げる軌跡が鋸。
歩も斜めに誘う。
Kマドラシ安南ばか詰31手?
☆玉の軌跡を玉鋸と捉える発想は面白いですね。
詰上りも確かにKマドラシっぽいですね。
でもKマドラシ安南ばか詰だと3手詰では?(身も蓋もないコメント)
酒井博久さん
久しぶりに解答します。
さざ波が寄せるような美しい趣向です。
最後だけ歩生なので、作者は13歩を置いて歩成にする案も考えていたようですが、どうなんでしょう?
☆私もこの図を見たとき「13歩も置けるなぁ」と思いました。
でも無くてもすむものは無いほうがいいですよね。
というわけで本図に1票。
北村 太路さん
本当に楽しい趣向です。
しかし危なく最後1ニ歩左成と書くところでした。
☆北村さんは4手一行での解答。これで書くと趣向のサイクルが良く分かりますね。
その反面カット&ペーストで手順を書いていると誤記の危険も…。
まあ明らかに誤記と分かる場合は正解扱いしますが。
たくぼんさん
いやー難しかった。詰めあがりを想定できても、なかなか趣向手順が思い浮かばない。
普通詰将棋の感覚で考えると、と金の利きにはいるようで指しにくいからだろう。
逆モーションのような趣向手順もなかなか魅せてくれました。歩の頭に歩が成るのは2歩ではないのですね。
☆「と−歩−と」の3段重ねを作る形が意外に盲点になったのでしょうか?
たくぼんさんにしては苦労されたようですね。
☆本作、収束形の想定とその実現手段が結構凝っていて、解くのは意外に難しかったようです。しかし、手順自体は楽しいものなので今回解けなかった方々も、解答を見て鑑賞していただくようお願いします。
(2001.6.25 七郎)
【出題時のコメント】
今回の出題は「安騎ばか詰」です。とは言っても「安騎って何?」という方が多いでしょう。要するに、騎(ナイト)の利きに味方の駒があるとその駒の性能になる、というルールなのですが、その実例を見たことのある方は稀ではないでしょうか。私自身も「安騎ばか詰」が公式に発表されたのを見たことは一度しかありません。確か、フェアリーランドで、石黒誠一氏の作が例題として解付きで出題されたのが唯一の例だと思います。(余談ながら、その作品は不完全であったことがfmを用いた検証で確認されています)
そんなマイナーなルールの作を持ち出してきたのには事情があります。というのも、6月出題予定の「神無一族の氾濫」で「安騎ばか詰」を出題することになったためです。つまり「氾濫」に備えて今回の作品でルールに慣れて戴こう、というわけです。例えばこの作品、初形で攻方の角は飛の利きに、飛は角の利きになっています。局面によってめまぐるしく利きが変わるので、短手数ながら非常に難しいと思います。そこで、ヒントをこの下に白字で書いておきます。見たい場合はマウスで下の行をドラッグしてください。ヒント:詰上りの玉位置は2九です。
【ルール説明】
【詰手順】
36角 56玉 28飛 29玉 38角 まで 5手
【解説】
本作は収束3手からの逆算物。詰上り図のように、飛角が本来の利きに戻って両王手の詰上りというのが狙いです。そこに至る攻方の手順は全部、駒が2つ引く手、という統一性も狙いのひとつです。
詰上りが29地点であるというヒントを先に見れば、玉を46に持ってきて角に変身させ、29地点に飛ばすというルートしかないことが分かり、比較的楽に解けると思うのですが、ヒントなしで正攻法で解こうとすると、初手の膨大な紛れにはまって作意の探索は非常に困難ではないかと思います。(というか、作者自身が逆算で作っているので、まともに解いたらどのくらい難しいか分からないのです)
【正解者及びコメント】 (正解者9名:解答到着順)
もずさん
ヒントを見ずに頑張るぞと考えて、初手53飛成や48飛に惑わされましたが、解けてみればすっきりと二目下がり×3。
面白いルールでした。
☆もずさんは1時45分の即日解答。しかもノーヒントというから驚きです。
Online Fairy Mateなどにも解答を寄せていますし、もはや強腕解答者と呼んでいいでしょう。
たくぼんさん
ヒントがなければ絶対詰ませられない。暗算で解こうとしたが利きが全然判らなくなる。29の詰上がりから王のルートは確定できるが、その手順がなかなか見つからない。
まさか28飛からの詰上がりが変則(?)両王手とは・・・参りました。
PS。氾濫は解けないでしょう
☆この作品は暗算で解くにはきついでしょう。
氾濫に出てくる安騎ばか詰は意外と易しいかもしれませんよ。
大阪市の住人さん
ただ引くだけ。昔から暗記物は苦手。
☆暗記では安騎は解けない(格言)
大阪市の住人さんは攻方の手に全部「引」をつけて解答してくれました。
もちろん無くてもいいんですが、なんとなくその方が感じが出ますね。
須藤さん
1秒だけ迷ってヒントを見てから解きました。
3手目に角を動かして苦戦しましたが、飛車を動かしても王手になるのを発見して落着。
ヒントを見てよかった……と、心の底から思いました(^^;
☆2秒以上迷わなかったのは賢明だと思います(^-^;
いぬたさん
駒数が少なくて助かりました。(ヒントは見ました)
面白い手順は作れそう(本作もそう)ですが、解くには厄介なルールですねえ。
☆解くのも厄介ですが、検討も厄介です。
fmがなかったら本作も完成することはなかったでしょう。
ただ、安騎が解けるfmは正式公開されていません。
このルールが人気が出て、需要が高まったら(あり得ない?)正式公開されるかも。
金田拓海さん
難しかったです。ヒントのおかげでわかりました。
☆確かにちょっと難しくなり過ぎたかもしれません。
最初は例題級の作品を作る予定だったのですが・・・
mirさん
恐ろしいルール。むきになってノーヒントでやったため、
結局しらみつぶしに近くなった・・。12龍の意味を考える
元気はないです。
☆12龍がないと、53飛成 56玉 31角成 12玉 13龍 の余詰が生じます。
12飛では 71飛成 35玉 75龍 24玉 25龍 の余詰。
飛角図式にこだわったため結構苦労しました。
北村 太路さん
「ヒントを見ずに解こう」と決めてやったので大変苦労しました。
(解いた後ヒントをみました)
最初2九玉での詰めあがりは「2八飛、3八角でしか詰まん。・・・そんなのは無理だな」と捨ててずっと考えていました。(フェアリーセンスがない・・・)
3手目2八飛が全然見えませんでした。
結局考えられる手を全て試みてみるつもりで考えてやっと気づきました。
いつもながら美しい初形(飛角図式)と他の方向に手を進めたくなる図面のバランスは感嘆いたします。
☆飛角図式は作者がこだわった点のひとつで、ここを誉められると嬉しいです。
図面のバランスは・・・余詰との闘いの痕跡でした。
マプさん
ヒントをみて解きました。ヒント無しでは解けません(^-^;
安騎ルールは初めてですがいろいろと面白そうなことが起こりそうですね。
今後も期待しています。
☆次回の「神無一族の氾濫」で安騎ばか詰が出ます。
本作とはまったくタイプの違う作なので期待してくださいね。
☆今回はマイナーなルールで、手順も難しい割に多くの解答を戴きました。
毎回解答を送ってくださる皆様には感謝します。
6月は「氾濫」もあり、こちらにも解答を送って戴けるようお願いします。
(2001.5.28 七郎)