■ 神無一族の氾濫 [問題][前回][次回][目次]/[トップページ]
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上田安夫―難難度順では?
☆出題時「難易度順」ではないと書いたのは、難解なCを意識してのことでしたが、他の作品も結構難しかったようです。解答数激減。
@ばか自殺詰 16手
神無七郎
37角、18玉、17飛、同玉、
28角、26玉、39角、27飛、
48角、37飛打、同角、17玉、
15飛、16角、28角、同飛成
迄16手。
☆手順を見ていただければ分かる通り、角が王の周りを回転するミニ趣向。易しい作品だと思ったのですが、正解者はわずか3名でした。
工藤聡明―角の風車ですね。宝石箱にしまっておきたいような小品。
☆解答者数が少なかった原因は次の短評が示している?
加賀孝志―角の回転が面白い。詰上りが見つけづらかった。
Aばか自殺詰 42手
神無太郎
a)出題図
39と、同と、28と、同玉、
38と、同と、27と、同玉、
37と、同と、26と、同玉、
36と、同と、25と、同玉、
35と、同と、24と、同玉、
34と、同と、23と、同玉、
33と、同と、22と引、24玉、
23と、34玉、24と、43玉、
42と、同玉、32と、同と、
33と、31玉、22と上、同と
21と、同と迄42手。
b)49と→ 39
28と寄、19玉、18と、同玉、
17と、28玉、38と、同玉、
37と、28玉、38と、同と、
18と、37玉、28と、同と、
27と、同と、36と、同玉、
26と、同と、35と、同玉、
25と、同と、34と、同玉、
24と、同と、33と、同玉、
23と、同と、32と、同玉、
22と引、同と、31と、同玉、
21と、同と迄 42手。
☆
ツインの傑作登場。
磯田征一―後半型のaと、前半型のbが、と1枚の位置の違いで、しかも同手数で実現できたことがすごい。傑作ツイン。
駒井信久―これは不思議。との位置一つで玉ととが見事に入れ替わる
☆
aの方はごく普通の手順。収束だけちょっと考えさせられますが、趣向部が必然なので比較的見つけ易いと思います。
☆ 問題はb。手数が44手ならaと同様な手順で詰むので簡単ですが、どうやって2手縮めるのでしょうか?
☆
答えは「序を工夫する」。
序でと金を2筋に、玉を3筋に持ってきて、収束で大幅に手数を短縮するのです。その実現の鍵は7手目からの「38と、同玉、37と、28玉、」の4手。これで36とを消去することにより、と金と玉の入れ替えが実現します。
☆
結局、aは3筋をと金が昇り、収束で玉とと金が入れ替わる。bは序で玉とと金が入れ替わって2筋をと金が昇って行くという対照的な構成でした。
☆
ツインという表現形式はもともと短編向きのもの。中長編で実現するのは至難の技です。この至難な条件を「と金煙」という枠の中で実現した作者の手腕には脱帽のほかありません。
某氏(aのみ解答)―こんな場合は「1/2題」正解になるのかどうか心配です。
☆aのみの解答が多かったため、ab各1題として扱いました。
B安南ばか自殺詰 52手
神無太郎
16桂、25玉、17王、34玉、
26桂、25玉、27王、24玉、
36桂、25玉、37王、34玉、
46桂、45玉、47王、44玉、
56桂、45玉、57王、54玉、
66桂、65玉、67王、64玉、
76桂、65玉、77王、74玉、
86桂、85玉、87王、84玉、
76桂、85玉、77王、95玉、
87桂、96玉、88王、85玉、
97桂、86玉、98王、76玉、
88桂、77玉、89王、67玉、
79桂、66玉、78王、77玉
迄52手。
【安南】味方の駒が縦に並ぶと上の駒の利きは下の駒の利きになる。
☆
王と桂を使って横這いして行く趣向作。安南ばか自殺詰での作例としては、加賀孝志氏作「鬼ゴッコ」(99年4月)がありますが、本作は使用駒わずか8枚。しかも、普通は下段でないと実現できない手順を、中段を舞台に実現しています。
☆
これを実現可能にしたのが、飛び石状に配置された3枚の金。最少の配置での横追いが実現したばかりでなく、途中で下段に追う早詰も消しています。横追い手順の単調さを消す役割も果たしており、まさに一石三鳥の配置です。
宮谷保可楽―収束に入りやすいように、9筋へと玉を送っていく。どことなく瀬戸大橋のイメージ。
☆
横追いの趣向部から収束は桂の上に王を載せる例の形を目指して縦追いに変化します。この切り替えも94歩1枚で実現されており、実に効率良く、自然にまとまっています。
☆
まずはこの趣向のひとつの究極の姿。完成品と言えるでしょう。
C全取禁成禁ばか自殺詰64手
神無大九郎
33角、62玉、51角、53玉、
62角、64玉、53角、74玉、
75歩、65玉、66歩、55玉、
64角、45玉、46歩、44玉、
45歩、33玉、55角、42玉
64角、51玉、42角、62玉、
51角、53玉、62角、64玉、
65歩、55玉、56歩、66玉、
68飛、76玉、78飛、85玉、
77桂、76玉、85桂、67玉、
68銀、66玉、67銀、57玉、
58銀、46玉、47銀、57玉、
48銀、67玉、58銀、66玉、
68飛、76玉、66飛、77玉、
68金、88玉、78金、89玉
88金、79玉、76飛、77角
迄64手。
☆ 21、22手目は33角、53玉でもよい(非限定)。
【全取禁】詰手順中、攻方・受方共に駒を取る手があってはならない。詰みの概念も取禁を前提としており、駒を取る以外詰みを回避できない局面は詰みとみなす。
【成禁】詰手順中駒を成る手があってはならない。
☆
さて、今回の氾濫で最も難解な作品。まずは唯一の正解者の評から。
駒井信久―3種の解(85桂・86歩型68手、64金型68手、96飛型66手)から手数短縮を試みて苦戦の末、86歩のムダに気づいた。68手や66手では多かった非限定もわずか一ヵ所で、これは前回出題の全取禁と比べても驚異的。
☆
確かに作品も驚異的ですが、これに正解を送ってくる駒井氏も驚異的。
☆ 77角の詰上りが見えているので、69金をどこに待避させるのかがポイントですが、駒井氏の短評にもあるように96飛型(この場合69金は87に待避する)でも66手までしか手数を短縮できません。ましてや、他の詰上りを想定すれば白旗は間違い無しでしょう。本譜は金を88に待避させるため、前もって89桂を85に待避させる巧妙な手順です。
☆
実はこのシリーズで非限定がひとつもない作品もあるのですが、あまりに難しいため今回は選題を見送った次第。次の氾濫に出して良いものでしょうか…。
Dばか詰 73手
神無三郎「進化」
28金、同玉、19角、17玉、
18香、同角成、28角、同馬、
19香、18金、同香、同玉、
17金、19玉、18金、29玉、
28金、19玉、18金、29玉、
38角、同と、28金、39玉、
38金、29玉、39金、18玉、
19歩、同桂成、29金、27玉、
38金、17玉、27金、18玉、
17金、28玉、18金、29玉、
19金、38玉、29金、27玉、
39桂、同と、38金、18玉、
28金、19玉、18金、29玉、
19金、38玉、29金、49玉、
39金、58玉、49金、67玉、
58金、66玉、57成銀、55玉、
56歩、65玉、66成銀、54玉、
65成銀、45玉、55成銀、46玉、
47金迄73手。
☆
見ての通りの密室モノ。このような作品は切れないように手を繋いでいくと自然に答えに辿りつく場合が多いのですが、本作は密室をほぐしてからが問題でした。
天六辰年―初めはとまどったが金を入手してからは手が進む。58玉から15手で終了させるのにかなり時間を使う。
☆ 58玉と追い出してからの57成銀の紛れが強烈。これで2手長い誤答がいくつかありました。
☆
普通こういう場外乱闘が始まってしまうと、非限定なしでうまくまとめるというのは難しいものなのですが、本作では密室の壁駒までうまく活用して唯一の手順を生み出しています。
原田清実―小駒だけになったときは「退化してるじゃないか」とか焦りましたが、まさか解けるとは思いませんでした。それだけでもうれしい
☆
実を言えば、この作品は昨年私達のHPで企画した「全国大会記念握り詰」のバージョンアップ版。趣向部も収束も「進化」しているわけです。興味のある方はHP(http://www.coms.ne.jp/~k_7ro/)で、原典を探して見てください。
【総評など】
宮谷保可楽―前回の氾濫の賞品であった「神詰大全」を読ませて頂きました。感想を2点ほど挙げさせて頂き、お礼とさせて頂きます。
1.フェアリーは、かくも楽しく広大なフィールドであることを感じました。
2.しかし、自分の脳みそが単細胞であるせいか、理解するのにまだまだかなりの時間を要してしまうようです。もっと勉強しなきゃ…。
☆
勉強の必要があるのは私達神無一族を含めたフェアリスト全員でしょうね。フェアリーは人知を超えた無限の宇宙です。
☆
出題時にご案内した通り、神無一族のCD-ROM作品集「無神都市」が完成しました。今回の当選者の方々に賞品として送付させて頂きます。また、「無神都市」入手ご希望の方はKamina
Publications (http://homepage1.nifty.com/kamina/pub/index.htm)のHPで入手方法をご覧の上、お申し込み下さい。
【全題正解】駒井信久
【4題】工藤聡明
【3題】加賀孝志
【2題】上田安夫、宮谷保可楽
【1題】磯田征一、山口 勇、千葉 肇、原田清実、佐々木寛次郎、半裸一族、天六辰年
【0題】天津包子、伊東史郎、林八江子、佐藤
司、原岡 望
(太字5名「無神都市」当選)
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