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☆いきなり最初がマドラシ、最後は通常のばか詰ながら超難解作。何人の解答者が集まるか心配しましたが、19名の解答を戴きました。
(1) 神無六郎 | ||
☆今回出題のマドラシと対面には共通点があります。どちらも「合駒」以外に駒を打つ受けがあるのです。この作では金の「打駒」が主題になっています。
宮谷保可楽 ― 玉方が持っている金3枚をいかに吐き出させるかがポイント。
秋元節三 ― 美しい初形にマドラシがたっぷり。
☆fmがなければ、このような簡素な作でもかなり検討期間が必要です。創作にコンピュータを使用することが傑作を生むことに直結するわけではありませんが、好作を得るチャンスを増すことは確かです。
(2) 神無太郎 | ||
吉村信雄 ― 誤植と思っていたらビックリするような詰みがあった。
☆六郎氏と同じルールでも、全く内容が変わります。太郎氏らしい構想作。マドラシの性質を利用した復活両王手の作品です。
西村 詩 ― 至近距離両王手
秋元節三 ― 余韻がいつまでも続く詰上り。
☆狙いに気付かないと紛れの中で立ち往生します。意外な無解者がいました。
吉田直嗣 ― わかりません。
☆5を正解しているのに‥‥
駒井信久 ― 91.10 小林看空作の改良図か。
☆当事者(太郎・三郎氏)は気付いていませんでした。おかげでちょっとした収穫を得たと言えるでしょう。
(3) 神無三郎 『星姫』 | ||
縫田光司 ― すばらしいパズル今まで見た作品の中でも最高級のものと思う。
☆近頃は源泉館で有名ですが密集形は芸風の広い作者の得意分野のひとつ。かつて「箱男」のPNで前衛賞を受賞したこともあります。
佐藤善起 ― 難解な構想で巧妙な手順。
某氏 ― 詰上りの形は一つしかないと思うんだが(無解)
☆本作は肩の力を抜いた比較的易しい作だと私は思っていましたが、意外に無解者が出ました。18地点を埋める手段を考えたとき、27角の形が思い浮かぶかどうかで難易度が変わります。
☆この作はミニコミ誌「将」に載ったある作品の余詰筋をヒントに作られたものですが、できあがった図面は似ても似つきません。元の作は入玉形でさえなかったのです。
☆今回の5題の中でfmでの検討時間が最も長かったのが本作でした。(私のパソコンで17分38秒)「ば自」が苦手なのは人間だけではないのです。
(4) 神無七郎 | ||
☆手順を一見すると馬鋸のように見えますが、実は鋸を引いているのは金。馬と銀は明き王手の形を作るためごちゃごちゃと動いているだけなのです。昨年9月の「氾濫」14番を複雑化した作品です。
☆さてこの趣向を何と呼ぶ?
小論簿 ― 馬のスイッチバックエスカレータ+銀の単純エスカレータ+金の鋸引
吉田直嗣 ― 二歩進んで一歩下がる馬+エスカレータ銀+金鋸
☆‥‥。「複式金鋸」とでもしておきましょう。
☆先後あわせて逆王手49回。誰も言及してくれませんでした。
☆これを検討できるように改良を加えたのがきっかけで長手数版fmが生まれました。fm進化史(?)と深く関わる作品です。
(5) 神無十郎(再出題) | ||
☆発表時は早詰。その修正図にもfmが余詰を指摘。普通ならここで話が終わるところですが本作には意外な結末が待っていました。
某氏 ― バックナンバーの山をくずして、第23巻第10号をやっと探したが・・・・
☆今回出題した図。実は原図そのままなのです!
某氏(続き) ― 当時の加藤徹氏も西田尚史氏も発見できなかった順では、とてもだめだとあきらめた。
☆結論を言ってしまえば手数を発表時の125手から117手に縮めただけ。しかし手順内容は恐るべきものです。
☆駒をはがせるのは74地点のみ。と金をはがして馬を74まで呼び出して取るというストーリーは容易に思いつくところでしょう。
☆ところが、難しいのはここから。馬を74に持ってくるために、と金を全部はがす必要がないことに気付くだけでも相当の思考の飛躍が必要になります。
☆さらにもうひとつの関門が待っています。簡単に言えば手数の短縮です。
☆ポイントの一つは25手目。ここは54歩を打って44とを寄せたいところです。実際 54歩としても、119手までは到達できるので、なおさらこの筋をあきらめるのは困難になっています。
☆左の方で折り返し、手数を短縮する手順は副作用を伴います。44とが残るため馬を寄せにくくなるのです。そのため以降の手順も各種の工夫が必要となり、54歩を打った場合と全く異なる展開を見せます。
吉村信雄 ― 2手短縮に苦しむ 49手目54歩には感激した。
吉田直嗣 ― 秀逸な謎解き問題。まともに、と金を消去するとどうしても125手かかる。
☆正解者された4名の方はもちろんですが、この問題に挑戦された全ての解答者に敬意を表します。
【総評など】
吉村信雄 ― fmソフト呈賞につられて適当に解答のつもりが、全作完全限定の充実した内容で、全コーナを通して一番楽しめました。
秋元節三 ― 氾濫というより傑作選ですね。
☆こう言って戴けると、出題した甲斐があります。またお目にかかれると思いますので宜しくお願いします。
☆創作や解図にコンピュータを使うことに関してもいくつか意見を戴いています。
西村 詩 ― 「コンピュータを使った詰将棋創作」に関する私見を言えば、検討だけを任せるのは大いに賛成だが、大部分を任せるのは、そうして出来た作品が、作者名を冠され、懸賞出題される意義があるのか?という点で疑問である。
☆創作過程の大部分を機械に任せた際、人間は必ずしも「作者」ではありませんので、創作への関与に応じて「作者」とか「発表者」等の使い分けが必要になるでしょう。ただ、懸賞出題は鑑賞に耐え得る作品ならば大いに結構だと私は思っています。機械を使おうが、人間の頭で考えようが駄作は駄作、好作は好作です。
☆今回当選されなかった方でfmをご希望の方は、90円切手2枚を添えて下記へご連絡下さい。fm最新版を送付します。ただし、対応機種はPC-9801系かPC/AT互換機です。
〒464名古屋市千種区若水 2-3-17 A503 神無次郎
(太字当選)
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