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12月号 結果

第18回

神無一族の氾濫
担当 神無七郎

@神無大九郎

56香、55歩、44桂、63玉、35桂迄5手。

【安騎】騎の利きの位置に味方の駒があれば、その駒の性能になる。味方の駒が複数あるときは、それらの利きを合成した利きになる。

☆ 安南系のルールでは玉を弱い駒に変身させるのが、解図のコツです。本作では玉を歩に変身させるのですが、その前後の手順がなかなか気が利いています。

宮谷保可楽―やっと歩のききに変えれた。あーしんど。

森美憲―最終手の味が良い。

はやしやすのぶ―最終手が不思議な感じ。

佐藤宣多―最終手が桂や香での王手でないところがおもしろい。

市村道生―最後の一着が解図の狭間。気を使うルール。

☆ 短評は最終手に集中。桂がそっぽに行くようなこの手で、初手の香限定打が活きてきます。

若林広―攻駒の弱体化と復活がシンプルで綺麗。水準。

kz―ルールがよくわかりません。これであってますか?

☆ 正解です。安騎は作例が少ないルールの上、駒の利きの変化がややこしいので、5手でも解くのは大変です。

A神無三郎「木霊」


15と、17玉、16と、同玉、17歩、同と寄、38角、27と、17歩、同玉、
29桂、同と上、18歩、同玉、29角、17玉、18歩、16玉、17歩、同と、
38角、27と、17歩、同玉、29桂、同と左、18歩、同玉、29角、17玉、
18歩、16玉、17歩、同と、38角、27と、17歩、同玉、18歩、同玉、
27角、29玉、38角、18玉、29角、17玉、18歩、16玉、38角、27桂、
17歩、同玉、18歩、同玉、27角、29玉、38角、18玉、19歩、17玉、
29桂、同と、18歩、同玉、29角、17玉、18歩、16玉、38角、27桂、
17歩、同玉、18歩、同玉、27角、17玉、29桂迄77手。

☆ 三郎さんお得意のばか詰長編。決して難解ではなく、狭い場所での駒繰りが楽しい作品です。

作者―森茂氏の作品をいじっていて、収束だけを繰り返すようにしてみた。「木霊」はもののけ姫のイメージで。森の中のできごとです。

今川健一―少考、詰上がり図を発見。最終局面より逆算、それでも26手目に間違えた。

原田清実―いきなり王手が途絶えてしまって往生しました。これくらいしか解けそうにないので必死になって29角からのはがし手順を見つけました。

☆ 基本的に詰上りは29桂を打つ型しかないので、それを狙って桂を補充しながら、と金をはがしていきます。ただし、あまり雑にやると途中で手が切れたり、手数オーバーになったりするので注意が必要です。

佐藤宣多―81手から短縮できませんでした。くやしい。

佐藤善起―珍しくこんな長手数が解けてうれしい。

☆ 明暗の分かれた両佐藤さん。

若林広―ばか詰めはこれくらいだと私には良いですね。暗算でだいたい読めて、盤に並べたらぴったり歩がなくなりました。とても楽しめました。

歩詰香平―と金が右往左往するのがおもしろい。

佐々木寛次郎―実際に詰めてみると、そう難しい手はありませんが、59手目の19歩は、シッカリ考えました。

天津包子―角合として早いと思ったら逆王手だった。

☆ これが双玉配置の意味。作者は合駒制限の配置が不満なようです。

北村太路―駒繰り楽しい。誤記してないか心配。

☆ 多少誤記している方もいらっしゃいましたが、解けていると思われるものは正解としました。

B神無太郎

99香、98金、97香、96金、82角、同玉/88角、71角、同玉、79香、78金、
77香、76金迄12手。

【キルケ】取られた駒が最も近い指し始めの位置に戻される。戻せない場合は持駒になる。(復活後の位置を/で示す)

【ステイルメイト】王手は掛かっていないが、合法手のない状態にする。

北村太路―前回の問題の見事なパロディ!(金を角香で囲む→角香を金で囲む)

市村道生―ユーモアに溢れた愉快な作品。

森美憲―角を囲っていく手順が趣向的。

佐藤善起―巧いステイルメイト型。

桑田倫彦―手順の趣向的な匂いと必然性の高さから、例題として最適だろう。

☆ 前回の氾濫の太郎氏作をご覧になった方には一目で解ける(?)ユーモア作。攻方の王の位置の関係で、合駒の金を取れない形になっているのを利用して、88に復活した角を香で囲い込んでしまいます。

作者―前回の氾濫第3番と表裏の関係の作。最初から意図したものではなかったが、愉快な対比にできたと思う。原図は受方31玉62飛、攻方51玉、持駒香4、8手の戯作。

☆ この「戯作」も思わず笑える作品です。ルール説明にも絶好の例題ですね。

kz―これまたルールがよくわかりません。「取った駒を戻せない場合に持駒になる」との説明ですが、取った方の持駒になるのでしょうか?私はそう解釈して解答しました。取られた側の持駒になるとすると、解無しになると思うので。

☆ この解釈で正解です。誌面での説明は限界があるので、ルール説明等に疑問が残る場合はOnsite Fairy Mate(http://www.abz.jp/~k_7ro/)のホームページもご利用して下さい。

C神無六郎

32飛、33飛、同飛成/82飛、45玉、42龍、55玉、19角、42飛/28飛、21飛生、28金、
11角、22金迄 12手。

☆ 私は昔、六郎氏の未発表のばか自殺系の作品を何題か見せて貰ったことがあります。そのときの感想は、何と言うか、どれも非常に「虫の良い」手順だというものでした。虫が良すぎてfmに掛けるまでもなく潰れている作品も多かったのですが、逆に言うと完全作だったら、作者の構想を見破れなければ到底解けない作品群だったのです。

☆ この作品はそんな六郎氏の発想力が見事に完全作として具現化した例です。前問の太郎氏作と同様、合駒の金を取れない位置に攻方の王が居るので、金を利用して攻駒の封鎖を行うのですが、それを実現するために、玉をわざわざ中央に呼び寄せ、角の遠打2発でステイルメイト型に持ち込みます。手順中には飛の「魔女返し」や飛不成によるの最遠移動も含まれており、わずか12手とは思えない重量感があります。

☆ 本作、残念なことに出題時に誤植がありました。その影響もあってか、正解者は僅か1名でした。

駒井信久―1月号が年末29日に届いたので、訂正が間に合いました。玉を4筋に戻さずに42飛を実現するのがミソですね。

☆ ということは駒井氏はこの難問をわずか1日で解いたということでしょうか。毎回のことながら、その解図力には感心させられます。

作者―氾濫17の太郎さんのトリックを入玉形で出来ないか、と思い立って、試行錯誤した結果の産物。序盤は、太郎さん、三郎さん、七郎さんの合作です。サプライズ・エンディングも、巧妙な序奏があってこそ引き立つ事を、駒井さんの短評が、如実に表しています。いわば、一族の共同制作。その点でも思い出に残る作品です。

D神無七郎

【G(グラスホッパー)】Q(クイーン)の線上で、ある駒を1つ飛び越したその直後の地点に着地する。そこに敵の駒があれば取れる。

☆ 本作、詰パラHPの掲示板でもお知らせしましたが、早詰でした。作意の81手に対し早詰は最短で27手。検討不足をお詫びします。

(早詰順)
56歩、26と、27桂、57角、18歩、37G、38歩、67G、68歩、45G、
46歩、18G、19歩、36G、37歩、56G、59G、66角生、26G、76G、
45歩、48角生、77歩、78G、48G、58G、49角迄 27手。

☆ fmで検討している筈なのに何故? と思われる方もいると思いますが、今回はそのfmにも読み抜けがあったため早詰が見落とされていました。機械検討に頼り切っている弊害が露呈した形です。

☆ この作品の元ネタとなった作をいずれ出題するかもしれないので、今回は作意を伏せさせていただきます。早詰作ですので、詰む手順を解答してこられた2名の方(駒井氏と市村氏)は正解とさせていただきました。

【総評等】

佐々木寛次郎―(BCDについて)残念ながらルールが理解できないと言うよりは自己流に解釈してしまうようで、易しい例題と説明があればと思います。(後略)

☆ 例題付きの出題はぜひやりたいのですが、ページ数の関係でルール説明と出題だけで手一杯というのが現状です。出題稿を3ページ貰えれば、例題が出せるのですが、水上社長のOKが出るでしょうか?

天津包子―毎回長いばか詰を一題はお願いします。

☆ できる限りそうしたいと思います。なお、次回の氾濫はばか詰特集の予定ですので、皆さん期待して下さい。


【全題正解】駒井信久

【4題】市村道生

【3題】北村太路、佐藤善起、宮谷保可楽、若林広、森美憲、はやしやすのぶ

【2題】佐藤宣多、半裸一族、佐々木寛次郎、kz

【1題】原岡望、高橋耕之助、桑田倫彦、天津包子、今川健一、坂本竜雄、岡田至弘、原田清実、林八江子、琥瑠毬庵、歩詰香平

 (太字5名当選)

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Copyright© 2003 KAMINA Family


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