神無一族の氾濫 [問題][前回][次回][目次]/[トップページ]


6月号 結果

第15回

神無一族の氾濫
担当 神無七郎

山田 剛―1と4が飛び抜けて易しいと思うのですが(あくまで私見)。

☆ 出題時、AとDが易しいとの私見を述べたのですが、結果から見るとBが飛び抜けて難しかったようです。参考までに各題の解答状況を載せておきます。

   正 誤無
@ 14 1 8 
A 10 0 13
B  1 1 21 
C 10 0 13
D 11 1 11

☆ 今回、7名の方がE-mailによる解答でした。詰棋界のIT化も着実に進んでいるようです。

@安騎ばか詰 7手
 神無大九郎

58歩、56玉、37香、57飛、 同歩、47玉、49飛迄7手。

【安騎】騎(ナイト)の利きの位置に味方の駒があれば、その駒の性能になる。味方の駒が複数あるときは、それらの利きを合成した利きになる。

☆ 初手は香で合駒を稼ぎたいところですが、ここをじっと我慢して歩を打っておくのが妙手。詰上りは鮮やかな3重王手が出現します。

工藤聡明―両王手ならぬトリプル王手。初めて見ました。

山田 剛―すぐに合駒をさせないと間に合わない、という先入観を脱すれば大丈夫。詰め上がりは「飛飛桂を配置して55玉の詰め上がりを作れ」という問題をフェアリーで解いた感じ。

原岡 望―サムロイドのQKQの詰を思い出す。

☆ どんな作なのか私は知りませんが、なんとなく想像できますね。本作はさしずめ飛飛香詰でしょうか。

Aナイト王成禁ばか詰 53手
 神無六郎

29歩、16騎、17歩、37騎、 38歩、56騎、57歩、48騎、 49歩、27騎、28歩、15騎、 16歩、36騎、37歩、55騎、 56歩、47騎、48歩、26騎、 27歩、14騎、15歩、35騎、 36歩、54騎、55歩、46騎、 47歩、25騎、26歩、13騎、 14歩、34騎、35歩、53騎、 54歩、45騎、46歩、24騎、 25歩、12騎、13歩、33騎、 34歩、52騎、53歩、44騎、 45歩、23騎、24歩、11騎、 12歩迄53手。

【ナイト王】通常の玉の利きでなく、騎(ナイト)の利きを持った玉を詰める。

【成禁】詰手順中駒を成る手があってはならない。

佐藤宣多―10手一組で1〜5筋の歩が1つづつ上がっていく趣向は美を感じます。

☆ 今年の年賀状作品。非常に美しいので、氾濫に採用させて貰いました。

林 泰伸―W詰め!!

☆ 騎を歩で追う場合、3歩を使ってV字型に追うのが一般的ですが、本作は5歩を使ったW字型の追い手順が出現します。この趣向を51騎一枚の追加で実現したのは、ある意味奇跡的ですらあります。

工藤聡明―易しいという話でしたけど随分考えました。結局完全逆算で解いたんですが、確かにこれだと一本道ですねえ。

☆ 詰上りを11に決め打ちして逆算で解けば易しい作品なのですが、まともに正算で解こうとして苦労された方も多かったようです。

作者―奇抜なルールもフェアリーの魅力の一つですが、攻方取禁、全取禁、成禁、禁欲のように、盤や駒の性質を変えない地味なルールの中にも、黄金がぎっしり詰まっているような気がします。この作は単なる砂金一粒ですが。

Bナイト王成禁ばか詰 91手
 神無七郎

19歩、26騎、27歩、38騎、 39歩、57騎、58歩、76騎、 77歩、88騎、89歩、67騎、 68歩、75騎、76歩、87騎、 88歩、66騎、67歩、74騎、 75歩、86騎、87歩、65騎、 66歩、73騎、74歩、85騎、 86歩、64騎、65歩、56騎、 57歩、37騎、38歩、25騎、 26歩、17騎、18歩、36騎、 37歩、55騎、56歩、63騎、 64歩、42騎、43歩、54騎、 55歩、35騎、36歩、16騎、 17歩、24騎、25歩、43騎、 44歩、64騎、65歩、72騎、 73歩、84騎、85歩、63騎、 64歩、44騎、45歩、23騎、 24歩、15騎、16歩、34騎、 35歩、53騎、54歩、45騎、 46歩、33騎、34歩、52騎、 53歩、44騎、45歩、32騎、 33歩、24騎、25歩、43騎、 44歩、51騎、52歩迄91手。

☆ 隣の六郎氏作に感激して、「もっと歩を目一杯使った作を作ってみよう」と取り組んだのがこの作品。出来上がってみると、とんでもない難解作になってしまったようで、正解は上田安夫氏唯一人。惜しかったのは駒井氏で93手解でした。

☆ 決して誤無解狙いの作ではないのですが、残念な結果になりました。

筒井浩実―ところで成禁ルールだと二段目の歩は事実上行き処のない駒といえます。三段目の歩も次に動けない駒を作るだけなので動かせない!?こうして順に追っていくと桂香歩はどこにあっても動かせない?

☆ 面白い解釈ですね。ここでの「成禁」は、単に詰手順中に「成」が出てはいけないだけと思ってください。

Cばか自殺詰140手
  神無太郎

24金、12玉、13金、同玉、 79角、同飛成、
「68角、57金、同角、46桂、 12金、同玉、13歩、同玉、 46角、35金、同角、24角、 12金、同玉、13歩、同角、 24桂、同角、13歩、同角、 同角成、同玉、」×6
68角、同龍迄140手。

☆ 持駒歩18枚ということから、持駒消去の構想だということは見当つきますが、その実現手段が問題。角筋に次々と現れる巧妙な合駒を処理する間に、魔術のように歩が消えていきます。

酒井博久―この合駒限定の機構は実に巧妙。序も79角の遠打が入って味よし。

工藤聡明―空間をめいっぱい利用した合駒の攻防は、結構考えさせられるし楽しい。良質なパズルです。

宇治正子―桂合が手数を短縮させる妙手。

駒井信久―@に次いで易しかった。全歩の消費や3筋に納まった初形など、とても綺麗にできている。

☆ 普通の歩の消去物だと、1サイクルで1歩を消し、長手数を実現するというのが目的となる作品が多いのですが、本作では手数を伸ばすことより、1サイクルの手順を巧妙に構成することに眼目が置かれています。従って、サイクル数は少なくても、充実した手順を実現しています。

☆ また、3筋内に収まった美しい初形もスタイリストの太郎氏ならではですね。

作者―パラ88年8月のTR銅尊作が元ネタで、受方の玉の囲い方と角の遠打からの連続合駒で歩を消費するという基本構想を借用した。4段の合駒の順序を限定する方法は作意以外にはないのではないかと思っている。1サイクル3歩消費の変則性と3筋内のコンパクトな初形も気に入っている。

Dばか詰 183手
 神無三郎「サーカスの夜」

29と、同玉、48歩、18玉、 17と、同玉、19飛、18歩、 同飛、同玉、19歩、17玉、 18歩、16玉、17歩、25玉、 14銀生、15玉、16歩、同玉、 25銀、同玉、35金、15玉、 25金、16玉、15金、17玉、 16金、18玉、17金、19玉、 18金、29玉、19金、39玉、 29金、49玉、39金、59玉、 68馬、同玉、67と、同玉、 66と、68玉、67と、同玉、 78金、66玉、67金、55玉、 66金、45玉、55金、35玉、 45金、25玉、35金、15玉、 25金、16玉、15金、17玉、 16金、18玉、17金、19玉、 18金、同玉、29金、17玉、 18金、16玉、17金、25玉、 16金、35玉、25金、45玉、 35金、55玉、45金、同玉、 44と、35玉、45と、25玉、 35と、15玉、25と、16玉、 15と、17玉、16と、18玉、 17と、19玉、18と、29玉、 19と、39玉、29と、49玉、 39と、59玉、49と、68玉、 59と、67玉、68と、66玉、 76と、55玉、66と、45玉、 55と、35玉、45と、25玉、 35と、15玉、25と、16玉、 15と、17玉、16と、18玉、 17と、19玉、18と、29玉、 19と、39玉、29と、49玉、 39と、59玉、69と、同と、 49と、68玉、59と、67玉、 68歩、同と、同と、66玉、 67と、55玉、66と、45玉、 55と、35玉、45と、25玉、 35と、15玉、25と、16玉、 15と、17玉、16と、18玉、 17と、19玉、18と、29玉、 19と、39玉、29と、49玉、 39と、59玉、49と、68玉、 69歩、同龍、59と、79玉、 69と、89玉、79飛迄183手。

☆ 回転型の追い趣向。ばか詰長編の基本とも言える構成ですが、方向転換の方法やタイミングなど微妙な綾があってとても楽しい作品です。

須川卓二―これは、楽しい。スイッチバックのところで少し考えましたが、いいアクセントです。

池田俊哉―古典的な追い趣向と思いきや、折り返し部分での手数短縮に結構神経を使う。

二股桂馬―半回転追いを繋いで行く様はまさしく空中ブランコの連携プレー。43との存在に気がついて解決に到る。

作者―タイトルとしては、西岸良平の漫画、「三丁目の夕日」より。(「夕焼けの詩」では第5巻に収録)  また中原中也詩集「山羊の歌」の「サーカス」。ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん、と揺れるブランコ…。 75とと88金の出番で、考えるところがあるが、他は平易だろう。劫々と更けゆく真闇の夜のノスタルヂアを思い起こしたまえ。

【総評など】

工藤聡明―今月はお手頃な問題が多かったので適度に楽しませて頂きました。このぐらいが疲れなくてちょうどいいです。解答者も増えるかな?

☆ 増えました。今後の出題の参考にしたいと思います。


【全題正解】なし
【4題】駒井信久、工藤聡明、須川卓二、宇治正子、林 泰伸筒井浩実
【3題】上田安夫、池田俊哉
【2題】二股桂馬、宮谷保可楽、佐藤宣多、山田 剛、酒井博久
【1題】加賀孝志、鎌谷輝裕、佐藤善起、半裸一族、原岡 望、原田清実
【0題】天津包子、林八江子、伊東史郎、Sub
(太字5名当選)

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