■ 神無一族の氾濫 [問題][前回][次回][目次]/[トップページ]
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@神無太郎
12歩、21玉、22歩、同龍、11歩成、31玉、32歩、同龍、
「21と、同玉、22歩、11玉、12歩、22玉、23歩、31玉、22歩成
同龍
32歩 21玉、31歩成、同龍、22歩、同龍、11歩成、31玉、32歩、同龍、」×2
21と、同龍、32歩、22玉、23歩、11玉、12歩迄55手。
【打歩】打歩以外で詰ませる手を禁手とする。
某氏(57手解)―最後12歩に対して同龍が「打歩詰でない詰」の禁手となるように持駒をなくしておくのがポイント。(後略)
☆ 初形ではとても打歩詰になるように見えませんが、双玉のため、打歩ルールが受方にも適用されることに気付けば道は開けます。右の評にあるように、12歩を同龍と取れないよう持駒を消去すれば良いのです。
☆ ところが、これは法則問題特有の詰上りを利用した、ただの目くらまし作品ではありません。
須川卓二―歩の消去にもいろいろなパターンがあり悩まされました。詰上がりからの逆算解法で解きましたが繰り返し手順が入っていて趣向的、持駒は歩だけ盤面使用駒は龍と桂のみというのも趣向的で完成品ですね。
市村道生―連立方程式を解く感じの作品。傑作。
今川健一―ルールを良く読まないと解けない。大道五目の法則問題に似ています。持駒歩21枚でも大丈夫。
☆ 手数の短縮と収束へのつなぎを工夫すると、不思議なことに全ての非限定が消え、20手で6歩を消費する複雑な繰り返し手順が現れます。歩を3枚ずつ増減させても唯一解になるので、枚数は作者のお好み次第でしょうが、やはり歩は18枚が一番ですね。
作者―法則問題は好み。単調ではない趣向的手順、コンパクトな使用駒・配置と相まってまずまず。
A神無七郎「純度95.1」
81金、72玉、71金、62玉、…(10手略)…11金、22玉、
12金打、31玉、21金打、32玉…(18手略)…71金打、82玉、
81金打、92玉、72飛、82金上、91金打、93玉、92金打、94玉、
93金打、85玉、84金、75玉、74金、65玉、…(10手略)…
14金、25玉、15金打、34玉、24金打、35玉…(18手略)…
74金打、85玉、84金打、95玉、75飛、85金打、94金打、96玉、
95金打、97玉、96金打、98玉、97金打、99玉、98金打、89玉、
99金打、78玉、89金打、67玉、77金、68玉、78金打、57玉、
…(18手略)…28金打、19玉、17飛、18金迄134手。
【全取禁】駒を取る手を禁手とする。
【ばか自殺ステイルメイト】先後協力して最短手順で攻方をステイルメイト(指し手のない状態)にする。
☆ 最終図を見れば狙いは一目瞭然。後は皆様の短評にお任せしましょう。
井上順一―使用駒数から狙いは明確。左辺の方向転換部がうまくできている。
須川卓二―考えるのに駒数が足りなくて弱りました(笑)。内容も単純ではなく折り返し部でちょっと考えさせる所などユーモアだけの作品ではないと感じます。記憶に残る作品。
名越健将―コメントと、81枚の駒を見てやる気になった。
桑田倫彦―考え所は1回目と2回目の飛打の前後だけで5作の中で1番易しい。
市村道生―夢でも良いから、こんな風に暮らしてみたい。
B神無三郎「鶯狩」
53歩成、74玉、79香、78歩、同香、77歩、同香、76歩、同香、75歩、
同香、85玉、89香、88歩、同香、87歩、同香、86桂、同香、95玉、
96歩、同玉、97歩、87玉、99桂、78玉、79歩、68玉、69歩、58玉、
59歩、47玉、48歩、同玉、49歩、47玉、48香、同杏、同歩、36玉、
27と、同と寄、39香、38桂成、同香、37香、同香、46玉、47歩、37玉、
39香、26玉、38桂、36玉、26桂、38香、同香、37桂、同香、同と、
48桂、同と、39香、38香、同香、37桂、同香、同玉、39香、38香、
同香、同と左、49桂、26玉、29香、28香、同香、27桂、同香、同玉、
29香、28香、同香、17玉、29桂、16玉、17香迄87手。
市村道生―桂香の緻密な手順で、玉を徐々に1筋に追い込む。玄人好みの好局。
☆ 連続合いを繰り返す前半と、繊細な手順から成る後半の二部構成の作品。全編で歩桂香が大活躍し、他の駒は一貫して沈黙を保つことで、独特の魅力を醸し出しています。特に後半は香打への応手が多彩で、コクのある手順です。
今川健一―苦しんで序を抜ける。詰上り図は予想通りでした。
須川卓二―51手目3九香から3八桂が気付きにくかった。林の中で鶯(歩桂香)がさえずるが如くの駒の動き…命名が見事です。
作者―当初は簡潔に収めるつもりでしたが、一族のテーマに沿って序を作ってみました。初手の伏線は手なりで通過してしまうでしょうね。『鶯狩』という日本語はありませんが、『小鳥狩』よりは感じが出ていると思います。
☆ 今回の「氾濫」は、前半が攻方の持駒、後半が受方の持駒が主役なので、本作は双方のブリッジと位置づけられます。なお、初手桂成は59歩が二歩。また2手目同飛は11角による逆王手を喰います。数名がこれで誤解。ご用心ご用心。
C神無太郎
85金、84金、95銀、94銀、97銀、96銀、89香、88飛、同香、87香、
16飛、26角、同飛、21飛、31角、42香、22角生、36金、77角生、11角迄20手。
【マドラシ】同種の敵駒が互いの利きに入ると利きがなくなる。ただし、玉は互いの利きに入ることはできない。成駒と生駒は別の駒として区別する。
☆ ずばり「受方10連打」を主題とした作品。今回の最難問で、唯一の正解者はこの方。
市村道生―前半は地味な小駒のマドラシ、後半は派手な大駒での鏡造り。
☆ マドラシで王を囲う手段のひとつに、飛対飛や角対角の睨み合いの形を作るという方法があります。利きは一時的に消えた状態になりますが、王が睨み合いの間に入ると、消えていた利きが復活するため、結局はそこに移動できません。
☆ 本作はその原理を利用した華麗な後半10手に、前半の5連打を付加し10連打としたものです。手順が進むにつれ、盤上の駒がどんどん増える異様な光景は、マドラシルールの特性を遺憾なく発揮したものと言えるでしょう。
作者―久しぶりに機械とたっぷりどっぷり戯れた作。簡単にいうと、新手法+新機能+新機能+新マシン+処理改善+新機能‐終日運転。
☆ fmを普通に使っていたのでは、一生掛かってもこの作品の検討は終わりません。詳細は割愛しますが、本作を検討するために太郎氏は様々な新機能を提案し、次郎氏も多忙の中、その要求に応えてくれました。クリエータとエンジニアの理想的な協調の実例でしょう。
D神無七郎
42金、21G、29香、28歩、同香、27歩、同香、26歩、同香、25歩、
同香、24歩、同香、23歩、同香生、22歩、31金、43G、44歩、13G、
14歩、33G、43歩成、31G、42と、53G、54歩、55G、52G、11G、
55G、23歩、22歩、33金、21歩成、15G、25歩、42G、15G、44金、
33歩、45G、42G、43金迄44手。
【G(グラスホッパー)】クイーン方向に駒を1つ飛び越えその直後の位置に止まる。
【グラスホッパー王】玉(王)がグラスホッパーの性能になる。
須川卓二―後手の持駒と香の持駒で歩の連続合いを予想して解きました。途中G王が追いかけっこをするような動きがユーモラスで、この初形からは想像を超える手順の出現に驚きました。
市村道生―主題はすぐ推定できたが、その後が大変。33金辺りの数手が山場。
☆ テーマはずばり歩の7連合。普通詰将棋でもいくつか有名な作品がありますし、ばか詰では、神無三郎氏が歩の7連合2回という離れ技を見せてくれています。(第12回氾濫の「飛行船」と「真夏の夜の夢」。)
☆ 本作はこの主題を双裸玉で実現したものです。当初は初手香打や、歩を全部取ることにこだわったので、うまく行きませんでした(欲張り過ぎは禁物)。また、ヒントのため受方持駒を「歩7」にしようかとも考えたのですが、さすがにそれはちょっと露骨過ぎますね。
〔総評〕
今川健一―頑張りましたが、2題しか解けませんでした。頭の固い老人には、新しい?ルールを理解するのが大変、その上に難問と来ては手が出ません。それでも「打歩ばか詰」は初挑戦でなんとか解けて、嬉しかったです。
☆ 「氾濫」では2題解けると解答上位に入ります。ルールがいろいろあって大変だと思いますが、解けた分だけでも解答をお願いします。
〔解答成績〕(太字6名当選)
【全題正解】 | 市村道生 |
【4題】 | 須川卓二 |
【2題】 | 今川健一 |
【1題】 | 天津包子、井上順一、名越健将、桑田倫彦、kz、佐藤宣多、川並洋太 |
【0題(コメントのみ)】 | 市原誠 |
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