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1.神無ガイ | ||
(変化)6手目41玉は、
(紛れ)3手目51歩成は、
【5五詰】5×5の盤を使い、使用駒は玉飛角金銀歩が各二枚、駒が成れる位置は敵陣一段目
たくぼん ― 一段目しか成れないというのは、慣れない感覚で、頭を切り替えないと混乱する。作品は、これは煙詰ですね。中合も入って傑作でしょう。
☆その昔、カピタン誌上で出口信男氏が5五詰の煙詰を量産していたことがありました。密集形の煙や初形「9」の字の煙詰等の好作が思い起こされます。しかし、この分野では他に有力な作家が輩出せず、カピタン30号(1981年12月)の出題を最後に、5五詰は姿を消してしまいました。
☆それが復活したきっかけはインターネット。5五将棋のホームページ(http://www.geocities.co.jp/Playtown-Spade/8662/)で5五将棋の存在を知ったガイ氏がほんの試作品のつもりで作ったのが本作。ところがこれが思いの他好作。煙詰である上に5五詰の史上最長手数も更新してしまいました。
高橋耕之助 ― なんと!煙詰。42歩中合が入って引きしまった。
☆手順中で光っているのは、やはり42歩中合。この捨合は3手目の紛れにも登場しています。
☆普通詰将棋で才能を見せる作者ですが、フェアリーへの適応能力も充分にあることを示した作品だと思います。
2.神無三郎 『青姫』 | ||
【打歩詰】打歩詰以外の詰を禁手とするルール
池田俊哉 ― 79を生角で埋めるまでの攻防がポイント。なかなか面白い手順。
作者 ― 序で桂を趣向的に消していくのは、桂が後で加えられた駒だとすぐわかるでしょう。詰め上がりは基本的に角が79に来る1通りしかないので逆算すれば楽だろうと思い込んでいましたが、いろいろと罠があったらしいです。
☆当初作者が「詰上りがひとつしかないから易しいと書いておいて下さい」と言っていた本作。しかし私は、とてもそうは思えませんでした。案の定、皆さん手数短縮で苦労されていました。
某氏 ― 53手からどうしても2手縮まらず残念。「79角で埋めて69歩打」の形と思うんですが、51手にならず。
工藤聡明 ― 59飛から69角の発見に手間取った。
駒井信久 ― 最初の十数手が難しい。手数短縮の工夫が要る。
☆本作の原図はこれ。単純な素材も推敲すると、この作のように立派なパズルになるという好例でしょう。
3.神無次郎、神無大九郎 | ||
【対面詰】敵駒と向かい合うと、互いに利きが入れ替わる
☆神無一族は「対面ば自双裸玉持駒1枚」の全検を完了しています。その結果をもとに断言します。本作はこの条件の下での最高傑作です。
池田俊哉 ― 角頭桂の詰め上がりに持ち込むまでが難しい。特に98飛から角を銀で取りに行くところは何とも言えない妙手順。
☆筆者が大九郎氏と初めて出会ったとき、見せて貰ったのが本作でした。おそらく最高の自信作だったのでしょう。しかし、私はスラスラと答えを並べてみせました。すでに次郎氏の発見を知っていたからです。その時の彼の落胆は想像に余りありますが、それに挫けることなく彼が活躍を続けているのは皆さんご存知の通りです。
☆結局、次郎氏の「発見」と大九郎氏の「創作」がどちらが早いかは分かりません。ある意味どちらでも良いでしょう。この作品は、このルールが定められたときから暗黙的に存在していたものであり、とにかく人間はそれを発掘することが出来たのです。人為を越えた自然の造形を讃えましょう。
☆なお、26銀、36玉、25銀、24飛、27銀、26飛打、37銀、47玉、36銀、57玉、27銀、35飛の解がありましたが、これは最終手36銀で不詰です。
4.神無大九郎 | ||
【キルケ】駒が取られると最も近い将棋での指し始め位置に駒が戻される。戻せないときは取った方の持駒になる。(以下の手順表記では復活後の駒位置を/で示します)
☆本作と次の作は「3連合」がテーマ。キルケですから2連合は当然ですが、3つ目には狙いが秘められています。
たくぼん ― 最後の1手がしびれる。
石井秀幸 ― 86の歩が飛車のカベになるのは気付きにくい。
☆これに気づくかどうかが本作攻略の鍵。
岩本 修 ― 復活する駒も打場所限定や最終手成立のためにしっかりと役立っている。
☆今回の出典の中では一番易しい本作ですが、狙いがはっきりしていて好評でした。
5.神無太郎 | ||
作者 ― プロブレム流の複数解にはなかなかなじめないが、これは2解の極みだと自負している。余談だが本作、キルケは不得意という大九郎氏の結婚披露パーティーの席で、お祝いの言葉と共に贈ったもの。
mir ― 持ち駒が増えないルールなので、詰ませるには連続合。桂馬は無理そうだというのに、相当の試行錯誤の末たどりつきました。ツインとしての対比も完璧で、傑作だと思います。
池田俊哉 ― 2解ともに三連続合から宙ぶらりんの詰め上がり、とうまい対比。
☆銀と香の3連続合からキルケ特有の詰上りに至る2解物。見事な対比です。
工藤聡明 ― これでいいとは思うが、あまり納得のいかない詰め上がり。
☆これは香の解のことでしょうか。フェアリーでは「すかし詰」を詰みと認めないのが一般的です。
☆ここで問題をひとつ。88玉は余詰防ぎの配置ですが、これ以外にも、駒1枚の配置で余詰を防ぐ方法があります。さて、何でしょう?
6.神無七郎 | ||
駒井信久 ― 29桂を発生させないよう気を使う。急がば回れで、88とのまわりを回転。
☆これが作意だったのですが、余詰でした。fmで検討しきれないので、慎重を期したつもりでしたが…申し訳ありません。
☆余詰解は花田氏と工藤氏。代表して花田氏の解を載せます。
★総評 等
たくぼん ― ネット上でいつもお世話になっておりますので解答させていただきます。しかし難しかった。時間がいくらあっても足りません。5五詰はなかなか面白かったです。
宮谷保可楽 ― キルケルールの(補足3)ですが、戻す位置の選択は取った側が行うべきだと思います。なぜならキルケのかしこの場合に後手側に不利が生じるからです。
☆他にも同意見あり。「取った側」でも「取られた側」でもどちらとも、それなりのルールができると思いますが、もう一度検討して、次回の氾濫までには一族の方針を明確にしたいと思います。
☆最後に5で出した問題の答えを。答えは受方24龍です。わかりましたか?
太字5名当選
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