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☆「ばか詰の諸相」と題してばか詰とその組合せルールを出題した今回の氾濫。BCDが難解で、白旗組が続出しました。
@ 神無太郎 作 | ||
【マドラシ】 同種の敵駒が互いの利きに入ると利きがなくなる。
☆2×4に納まるコンパクトな初形から9×7のダイナミックな手順が現れます。構想、配置、手順共に隙のない佳作です。
弘光弘 ― 玉方飛角の遠打がよい。
山岸幸徳 ― 「焦点」というものが端的に表現されていて印象的。
宮谷保可楽 ― この詰め上がりはよくあるが、連続角生はそんなにない?
赤木誉幸 ― 持駒の桂にまどわされた。
☆持駒が金銀香なら余詰。飛角歩なら作意不成立。特に歩の場合は最終手で打歩詰になります。ご確認を。
A 神無六郎 作 | ||
a) |
b) |
【駒詰】 王(玉)の性能が指定の駒の性能になる。(本局では飛の性能)
喜多眞一 ― 攻方角と馬の対比と金銀の対比、詰上り型も同一とは。実に見事なツイン作。妖精賞も有力!
☆氾濫初の2解作。妖精賞は難しいと思いますが、易しくて狙いが明確なため、解答者には好評でした。
桝田隆行 ― 初めて「成玉」という言葉を使用しました。
☆一族の間では成玉を「宝」と表しています。王様が偉くなって冠を付けたように見えるでしょう?
佐藤善起 ― 「飛を詰める」との違いは後手持駒に飛の有無ということか。
☆その通りです。
従来駒詰は「玉以外の駒を詰める」と説明されることが多かったのですが、玉を他の駒の性能ににした方が駒の種類と個数に影響を与えずに済みます。例えばDのルールを「駒(金)ばか詰」としても、この解釈なら駒不足になる不都合はありません。
B 神無七郎 作 | ||
☆双裸玉ば自の最長手数を狙った作品(従来の最長は12手)です。
☆解答者はわずか3名。難しい上、詰上りも既成では次の評もやむなしか。
赤木誉幸 ― 七郎氏にしては少々物足りない。
C 神無六郎 作 | ||
【攻方取禁】 攻方は駒を取れない。(玉方は取れる)
☆駒を取れないので飛角で詰上りを作るしかなく、しかも生の飛角なので玉方の駒を絡めないと詰みません。
吉村信雄 ― 58角を動かさないのが意外に盲点でした。
☆駒を減らすために置いた角が紛れを倍増させたようです。
藤澤秀樹 ― このルールは痒いところに手が届かないようで苦手です。
☆密室型のばか詰で表現していたことを、取禁ルールで簡潔に表現できる場合があります。結構発展性のあるルールだと思います。
D 神無金四郎 作 | ||
【天竺】 王(玉)の性能が王手をした駒の性能になる。
☆9段目に追い込むには手数が不足。金で上から抑え込む形に持ってくるにはどうするか、という問題です。
駒井信久 ― 作者名は笑えるが、作品はすばらしい。
山田剛 ― 詰め上がりから考えないと、この一見のんびりした攻めを発見するのは困難。この条件で手順完全限定なら、かなりの収穫と思う。
☆無防備金1色。発展性などかけらもあるとは思えない分野ですが、実に味わい深い作品が眠っていました。
E 神無三郎 作 『時姫』 | ||
山田剛 ― 流麗たる順列玉方6種成。こんなにさわやかに表現できるとは。
☆盤面の駒配置の多さは威嚇的ですが、実は今回の氾濫で最も易しい作でした。
桝田隆行 ― 解答を作成中に気が付きました。玉方順列成の趣向作だったのですね。
☆地味な狙いなので、多くの解答者は解いてからテーマに気付いたようです。
パブ犬田 ― 狙いを看破してからおもむろに解く。
☆すごい。
F 神無三郎 作 『白雪姫』 | ||
【打歩】 最終手は打歩で詰めなければならない。
☆「橋姫」(ばか詰41手)や「天使」(普通詰将棋39手)で、7種合を見せてくれた作者。今度は打歩ばか詰で最短手数の7種合を見せてくれました。
秋元節三 ― 七つの小人ならぬ合駒達との楽しいメルヘン。
藤澤秀樹 ― 手順に無理がなく流れるような7種合。歩合が最後になるのもよい。
山田剛 ― 最後に移動合が入ってしまうのが惜しいと思えるほどの見事な七種合。七種合にはこのルールが最適?
☆最短手数7種合の記録より、易しくてパズル的な手順が解答者に好印象を与えたようです。では、最後に作者からのメッセージを。
作者 ― ルールに関係なく、みなさんも7種合に挑戦してみましょう。
G 神無十郎 作 | ||
(条件)
(●は不透過不可侵の領域)
秋元節三 ― これだけ条件が加わると考えるところがなくなるはずなんだが。
☆順列7種合を狭い箱の中で発生させよという問題。
香を使って合駒を稼ぐしかありませんが、香で合駒を取ると後の合駒ができなくなるので、香をなるべく動かさずに攻めなければいけません。
赤木誉幸 ― 非限定があるのは非常に残念だがパズルとしては大変面白くできている。
桝田隆行 ― 非限定は惜しいが、それを補って余りある素晴らしい条件作だと思う。
☆作品の完成度には難があり、誉め評も「条件付」。本作の欠点を指摘した評は、
吉村信雄 ― 面白いけど還元玉、駒余り禁の2条件が余分。
筒井浩実 ― はっきりいって面白くない。17と27の歩が目障り。
☆ではなぜこれを出題したか?選者の意図に最も近い評がこれです。
パブ犬田 ― 出来不出来は別として、こういう条件付きもたまには面白い。
☆ということ。こういう個性的な作品を、毎回ひとつは入れたいと思っています。
◆総評
桝田隆行 ― 全題解答を送ることができないのは残念だが、好作品が多く楽しめました。次回の登場を心待ちしてます。
塩田洋 ― 全体的にテーマが古く難解に向かう傾向を感じる。
☆個々の作は超難解ではないのですが、全体ではかなりヘビーだったようです。
喜多眞一 ― 「ばか詰+α」の企画に大賛成です。嬉しくて解答しました。
☆次回もこの路線で行く予定です。またご解答下さい。
☆山田氏からは電子メールで解答を頂きました。速達よりも早く着くので皆さんも活用して下さい。
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