|
☆今回の「氾濫」は易しい問題が多く、多くの全解者が出ました。
(1) TETSU 作 [029-7] | ||
☆動ける箇所が常に一つなので、動く駒のみ示します。
☆前後にしか動けない「仲」という中将棋の駒を使用した入れ替えパズル。
不自由な動きしかできない「仲」の隙間を縫って、飛と金が巧妙に動き回ります。
田月伽弦 ― やり繰り算段するのも仲々大変だが、独特のリズム感を会得できれば楽。
宮谷保可楽 ― 37手進めたところで上下対象な形が現れて「しめた!」。
☆鋭い!これをもっとアカデミックに表現すると。
神無太郎 ― 唯一解という前提に王泉氏の『双対解定理』を適用すれば実質37手の問題?
☆『双対解定理』=左右対象の入れ替えパズルの解には、左右対象解のみならず反転解が存在するという定理。王泉氏の発見です。
天光正 ― 楽しい絶連。逆は18手が最短?
☆なるほど。戻す方も同時に出題するべきでした。この場合、次の図で出題すれば良かったのです。
☆選題・出題にも推敲が必要だと痛感しました。
☆さてA〜Eはキルケばか詰。まずはルールの復習です。
【キルケ】(94年12月号参照)取られた駒が最も近い指し始めの位置に戻される。戻すべき位置に既に駒があるか、戻すと二歩になる場合は取った方の持駒になる。
(2) 神無太郎+神無次郎 作 [003-1] | ||
(手順中の/は駒の復活位置) |
(3) 神無太郎+神無次郎 作 [003-1] | ||
田月伽弦 ― 玉で紐付き駒を一瞬取れるのは凄い水平思考!
☆普段は意識しない常識。この2作はそれを打破することが要求されます。
西村 詩 ― 盤上に左右があるとは。右上隅ではできないマジック。
☆これもキルケの特徴の一つ。
野々原姫子 ― 玉位置の違いだけで成立しているところがいい。
市川博規 ― 私は先に (3) を解いた。それを見ていた友人が即座に (2) を解いた。感動の一言に尽きる。
☆創作の方は太郎氏が (2) を作り、それを見た次郎氏が (3) を作ったそうです。
☆この組局はキルケルールの「古典」として将来に残るかもしれませんね。
(4) 神無六郎 作 [018-6] | ||
☆六郎氏好みの簡素図。復活した駒が全て働く綺麗な手順です。
藤澤秀樹 ― 今回の作品では一番完成度が高いと思う。
西村 詩 ― 82飛まで働くのが素晴らしい。
田月伽弦 ― 美しい手順と無駄の無い魅惑の詰上りに感嘆。FLへもご投稿を宜しく!
☆フェアリーランドではキルケは取扱わないそうです。
(5) 神無六郎 作 [018-5] | ||
☆前問と似ていますが、こちらは最も誤無解が多かった難解作でした。宙に浮いた角が取れないことを見越した詰形の想定が困難なためです。
野々原姫子 ― これで詰んでることになかなか気付かなかった。
田月伽弦 ― 作意は理解できるが、61金を残すので解後感は悪く、何とかして欲しい。
☆Cのように復活駒も活用できれば というところ。
(6) 神無七郎 作 [004-3] | ||
「15歩、 「25歩、 「35歩、 「45歩、 「55歩、 「65歩、 75歩、 |
田月伽弦 ― 美しく楽しい趣向。車輪みたいに回転しながら移動する様子はユーモラス。
市川博規 ― 金と歩が1列づつ寄っていく所は感動を通り越して爆笑である。これも一種の先打突歩詰?
宮谷保可楽 ― 序で少し苦労したが、後は簡単な送り趣向。ラストはこれで詰みとは思えないかっこう。
☆ルールが何であろうと送り趣向は趣向作の原点。多くの方に楽しんで頂けたようです。
(7) 神無太郎 作 『百万石』 [006-1,020-9] | ||
☆手順を追っていくにつれ、飛行機雲のように金銀の列が伸びて行きます。ぜひ、盤に並べて鑑賞して下さい。
赤木誉幸 ― 冗談でやっていたら本当に詰んでしまった。
駒井信久 ― 豪華なベタベタ。
作者 ― 加賀作の収束がここまで最大限に敷衍できるとは。一族の協力に感謝。
☆発想の原点は93年12月の加賀氏作。『百万石』の命名も同氏に敬意を表したものです。この形での完成には、一族の他のメンバーも関与していますが、何よりもこの手順を純粋抽出できることに気付いた、太郎氏の感性が光ります。
〔感想など〕
田月伽弦 ― 今回は前回と違って易しかったので、楽しめました。今後も楽々コースをよろしく。
宮谷保可楽 ― 3回目にして初めての全題解答となりました。初めて見るキルケルールでしたが、仲々面白かったです。次もまた楽しみにしています。
☆次回もよろしく(七郎)
(当選)OFM001〜050号 市川博規、藤澤秀樹、魚住貴範
Copyright(c) 2000 KAMINA Family