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解答

 


第71回(2003.5.5)出題 の解答

 


【出題時のコメント】

 昔からWindowsに附属しているゲームに「ソリティア」があります。最近「イラクお尋ね者ソリティア」なる悪趣味な変種も出回っているようですが、オリジナルのソリティアは、ルールが覚え易いので皆さんも遊んだことがあると思います。
 ソリティアは少し慣れるとゲームクリアすることはそんなに困難ではないので、飽きてしまった方もいるかもしれません。ところがこのゲーム、ちょっと遊び方を変えるだけで、結構スリリングなゲームに早代わりします。それはオプションで、得点の付け方を「金額方式」にし、「次のゲームに得点を繰り越す」にチェックを付ける設定を採用することです。こうすると一回のゲームごとに52ドルが「ショバ代」として差し引かれ、ゲームの中でそれを取り戻さねばなりません。1枚の札を組札に移せば5ドルが獲得できるのですが、通常の点数方式と違い、山札をめくる回数に制限が設けられているため、容易にはお金を取り戻すことはできません。うかうかしているとすぐに借金まみれになり、破産状態になってしまいます。まだやったことのない方は、ぜひこの方法でソリティアをプレイしてみてください。デフォルトの設定では味わえない面白さ(借金の怖さ?)がありますよ。
 さて、ちょっと遊び方を変えるだけで普通と違った面白さが味わえるというのは、フェアリー詰将棋にも言えること。普通詰将棋との差分が少なく、それでいて起きる現象が大きく違うというのが、フェアリー詰将棋のひとつの理想像ですが、このページでもそんな作品を出題したいですね。
 今回の出題は、普通の詰将棋とは逆に打歩詰以外が反則なるという「打歩詰」と、お馴染み「ばか詰」の合成ルールです。盤面無防備飛角図式の趣向と合わせてお楽しみください。

 

【ルール説明】

 

【詰手順】

68角 38玉 15角 48歩 同飛 27玉 29飛 36玉 37歩 まで 9手

【解説】

 打歩ばか詰は玉を打歩詰で詰めなければいけません。そのためには玉を囲い込む必要があり、通常は玉を端に追い込む詰上り型が多くなります。しかし、この作ではそうした定跡の逆を行き、中空で玉を捕捉します。この目的のため、2つの角の空き王手の移動場所が限定されます。最初の角は35に利かすために小さく開き、後の角は邪魔にならないよう大きく開きます。
 「端玉でない詰上り」と「短く使う角と、長く使う角の対比」の2つがテーマの作品でした。
 欲を言えば、全体を一段上げて、歩合の時期を選択させるようにしたいのですが、今度は本当に端玉の余詰が出てきてしまいます。詰将棋は、なかなか作者の思い通りにはなってくれないものです。

 

【正解者及びコメント】 (正解者7名:解答到着順)

 

もずさん

最終的にどこで詰むのかが見えにくいですね。
角の利きに入らない地点ということでいくらか絞れますが、18,16,56と考えてからやっと正解にたどり着きました。
飛角がすべて玉から離れている詰め上がりが目新しいです。

ところで、リンク先を見て英語で solitaire と綴ることを知ったのですが、読みは「ソリテア」の方が近い気がします。
少なくとも「ソリティア」ではないような気がしますが、どうしてそうなってしまったのでしょうね。

もずさんは、いつものごとく即日解答。玉の詰上り位置でいろいろ悩んでもらうと、作者としては狙いどおりで嬉しいですね。
ところで「ソリティア」がなぜ「ソリテア」でないのか、ネットでちょこっと調べた範囲では分かりませんでした。その代わり「『ソリティア』で高得点を出す方法」などというページを見つけたりしました。その方法とは、要するに「考えずに運にまかせて早く並べろ」だとか(ちょっとがっかり)。点数方式の欠点ですね。

 

 

若林さん

詰形がなかなか見えず手が狭い割に苦戦しました。
角を一回ずつ動かす、歩合を取る、歩を打つで4手使うのであと1手。
初手の効きを考えてようやく詰め位置が浮かんだら一瞬。

本作の大きなポイントは初手68角にヤマを張れるかどうかですね。この初手は収束に直結しているので、これが分かれば解けるのも早いと思います。
ところで若林さんはプロブレムパラダイス24号に結果の載った拙作についてもコメントをしてくれました。誌上での反応が皆無だっただけに嬉しいです。

 

 

筒井浩実さん

端玉の詰め上がりにいつまでも未練を残してしまい苦戦した。
初手の角移動が限定になることを考えれば、端ではないことは容易に想像できるのに。

端玉を一回でも考えて貰うと作者としては満足。非限定が無いことを前提に「初手が限定になるためには68角しかないだろう。ではその角を活かす詰上りは…」と読めば早く作意に辿り着くのでしょうが、紛れも一通り読んだ方が解けたときの感激も増すのではないかと。

 

 

谷口翔太さん

角の動きの2度の限定。
2手縮めるのに30分。
あぁ疲れた。

2手縮めるのに30分ということは、30分と少しで解けたということでしょうか。それでしたら、なかなかの解図力だと思います。

 

 

大阪市の住人さん

二枚飛車、横利きから縦利きへの移行がみごと。

言われてみれば最初は横利きを使って王手していた飛車が、最後は縦利きで玉を囲っていますね。大阪市の住人さんの短評は、作者も気付かない独自の視点があって面白いです。

 

 

北村太路さん

なまじ盤端まで動けそうなので、空中で詰む詰め上がりに気づかず苦労しました。
ちゃんと大駒4枚とも動きますね。
全部の駒が動いたことも詰め上がりの想定に手間取った一因です。
これだけ攻め方が強力だと余詰そうですが、そんなことは勿論無く、移動場所が限定される理由付けも簡潔で、美しい好作と思います。

「美しい好作」…じぃ〜ん、いい響きだ!
解答者に誉めて貰えるのが詰将棋作家にとって一番の喜び。次作を作るエネルギーにもなります。もっと誉めてぇ〜(←甘えるな)。

 

 

泉真理さん

馬を作るとうまくいかない。
生飛車、生角の網の中に王を追い込んでいく手順はいいですね。
特に68角と35に効かせておくところがなかなか気がつきませんでした。

泉真理さんは締切最終日の解答で、見事ラストをゲット。
そういえば、ここ何回か「いつもラストを取る」いぬたさんからの解答がありませんね。常連からの解答がないと何かあったんじゃないかと心配になります。

 

来月は「神無一族の氾濫」のある月です。今度の「氾濫」はばか詰特集。そこで、このホームページでも次回は純粋なばか詰を出題します。易しい趣向作なので、ぜひ解答を!

 

(2003.5.26 七郎)


第70回(2003.4.7)出題 の解答

 


【出題時のコメント】

 みなさんは「ライフゲーム」をご存知でしょうか?
 これはゲンブリッジ大学のコンウェイが1960年代の終わりに考案したシミュレーションゲームで、初期配置から簡単な規則に従って変化していく局面を楽しむものです。その規則は非常に簡単。升目に適当に石が配置されているものとして、石が無い升の周りに3個の石が配置されえている升目には新たに石が生じ、それ以外では升目はそのまま。逆に石が配置されている升は、周りに2個か3個の石があればそのままだが、それより少ないか多いと、石が取り除かれるというものです。石を生命体に見立てると、過疎でも過密でも死んでしまい、適度なスペースがあると増えていくことができるというわけです。動的にパターンが動く所や、初期配置によってその石達の行く末が決まる所は、詰将棋によく似ています。
 私は大学時代にこのゲームを知ったのですが、一時期は本業(?)の詰将棋に負けないくらいのめりこみ、面白い初期配置を探して頭をひねったり、シミュレーションのためのプログラムを自分で組んだりしたものです。
 当時はライフゲームの文献なども限られたものでしたし、自分の使えるコンピュータも性能の限界がありましたが、今ではインターネットでいろいろなリソースに触れることもできますし、パソコンの性能も上がって、自分のコンピュータ上で充分にスムーズなシミュレーションを楽しむことができます。国内のホームページでは例えば
ライフゲーム保存会などがありますので、ぜひ訪れてみてください。
 さて、今月の出題は神無太郎氏の簡素形ばか詰。この形はライフゲームでは「グライダー」と呼ばれ、4手サイクルで斜めに1つ移動していく、とても特徴的な初期配置です。これが「ばか詰」だとどんな形に変化していくのか…これは解いてのお楽しみですね。

 

【ルール説明】

 

【詰手順】

33歩 31玉 32歩生 41玉 31歩成 42玉 41と 32玉 31と 22玉
21と 32玉 23銀 21玉 12銀生 22玉 21銀成 12玉 22飛 まで 19手

【解説】

 まず歩を使って銀を取るのは見え易いと思います。このためには1段目にと金を作らねばならず、3手目は不成で行きます。この「と金を作るための不成」は、ばか詰ではよく出てくる筋なので憶えておいて損はないでしょう。
 さてこの問題、銀を取ってからの収束が意外と厄介です。普通に上から押さえようとすると中々うまく行きません。正解は23銀から12銀不成で飛車を取って、玉を端の方に呼び込む手順です。分かってみるとなぁんだという感じですが、飛を横に小さく使う収束は意外と見えにくいのではないでしょうか。

【正解者及びコメント】 (正解者8名:解答到着順)

 

若林さん

ライフゲームがネタになっている時点で全てを許容します。懐かしい。
といっても、私がライフゲームで遊んでいたのは80年代ですが。
PC-8801mkIIでシュミレータを組んだと思います。
収束かせめて途中図でグライダーのもう一つのかたちになると嬉しかったのですが、それはないものねだりでしょうか。

ライフゲーム云々は私が勝手に言っているだけで、作者は全然意識していませんでした。
でもせっかくのリクエストなので、グライダーのもう一つの形が浮かび出る立体曲詰を作ってみました。簡単なので解は略します。

なんかこういう「分かる人にだけ分かる曲詰」というのも面白いですね。
ダイイングメッセージとしてミステリのネタにも使えそう(^^;

 

 

筒井浩実さん

飛を取るまではほぼ必然なのに、なぜか最終4手がなかなか見えなかった。

解説にも書きましたが、収束は案外盲点になりやすいところだと思います。筒井さんをてこずらせるくらいですから、ここで行き詰まってしまった人も多かったのではないでしょうか。

 

 

谷口翔太さん

12銀生が盲点で苦しんだ。
実戦型の好作です。

谷口さんは初解答。
お名前に見覚えがあったので調べてみたら、詰パラや詰将棋劇場のホームページなどでも解答を出されているんですね。かなりの熱心家とお見受けしました。これからも宜しくお願いします。
なお谷口さんの指摘の通り、この作品は初めは実戦型を意識していたものでした。不要駒などを省いて簡素図にしたらこうなった作品なのです。

 

 

泉真理さん

導入部分の手順が第66回の問題と似ていますね。
(もっとも最初の2手を省くと極端に紛れが減ってしまいますが。)
銀が最後まで不成ならよかったですね。

意識して選んでいるわけではないですが、どうも持駒歩の作品を多く出題する傾向があるみたいですね、このページは。そのせいか歩不成の手筋がよく出て来ます。新格言「持駒歩を見たら不成と思え」。

 

 

もずさん

銀入手まではこれしかないところですが、
そのあとあっさりと金を取らせるのが見えませんでした。

もずさんにもこの収束は見えにくかったですか。尤も本気を出せば、もずさんならいつものように即日解答できる作品だとは思いますが。
そうそう、今回の即日解答は若林さん、筒井さん、谷口さんの3名でした。

 

 

大阪市の住人さん

銀を取るのはすぐ分かったが、飛歩交換とは。
清涼詰。

簡素図に気を取られて清涼詰には気が付きませんでした。解答者からの短評があると、こういう新しい発見があって面白いですね。

 

 

でこぽんさん

ライフゲーム、中学の頃に流行りました。
当時は鑑賞専門でグライダー発射機がグライダーを生み出すのを延々と眺めていたりしました。
今思えば、詰将棋の趣向手順を眺めているのとよく似てますね。

でこぽんさんもライフゲームをご存知でしたか。
ライフゲームのソフトはWindows環境でしたら、
Johan Bontes氏のLife32がダントツのお勧め。事実上無限の大画面、高速な描画、鑑賞や研究に便利な多くの機能のサポートなど、文句なしのソフトです。このページではいろいろなパターンファイルのダウンロードも可能で、小さくて気の利いた「手筋物」のようなパターンから、壮大な「構想作」のようなパターンまで色々なパターンが鑑賞できます。

 

 

北村 太路さん

12手目で再度グライダーの形になりましたね。
玉方2つ駒取で2つ不動なのはちょっと予想に反してました。
どこかに飛んでいくのかと思ったのですが密集してしまいましたね。
きっとライフゲームを意識されて作られた訳ではなかったと思いますが、できれば最後は2X2のお団子にして欲しかった!?

そう、初形と12手目の両方でグライダーの形になるんで、私が勝手にライフゲームの話を持ち出したんです。作者は全然意識していません。
上ではグライダーの変形パターンの立体曲詰をお見せしましたが、壁にぶつかったグライダー(2×2のお団子)の立体曲詰はこのページの読者への宿題としておきましょう。

しかし、こんなにライフゲームのファンっているんですね。意外でした。
やっぱり詰将棋と相通ずる所があるのでしょうか!?

 

今回は純ばか詰の効果か、解答者数もやや回復。次回の出題は未定ですが、候補作はいろいろあるので、これから決めたいと思います。多分難解な問題は出ないかと…。

 

(2003.4.28 七郎)


第69回(2003.3.10)出題 の解答

 


【出題時のコメント】

 チェスプロブレムのテーマのひとつにExcelsiorというのがあります。これは指し始めの位置にいたポーンが成ることを言います。最低5回はポーンが動かないといけないので、長編に向いたテーマでしょう。実は、私が初めて作ったチェスプロブレムもExcelsiorをテーマとしたものでした。
 このテーマ、日本の詰将棋に直訳すれば「3段目にいた歩が7段目で成る」となるのでしょうが、これでは移動回数が少なくてちょっと物足りませんね。そこで、日本向けの拡張Excelsiorとして「1段目にいた歩が7段目で成る」という概念を導入しましょう。これなら、条件作として適当な難しさだと思います。
 条件だけならもっと難しいものが考えられます。「1段目にいた歩が(7・8段目では成らずに)9段目で成る」という超Excelsiorです。更に難しくして、「1段目に打った歩が(7・8段目では成らずに)9段目で成る」という超絶Excelsiorも考えられるでしょう。普通詰将棋でこんな超Excelsiorとか超絶Excelsiorが実現可能かどうか相当怪しいですが、とりあえず「どなたか作って下さいな」ネタとしておきましょう。(フェアリーでは実例があるらしい。)
 さて、ここまでゴタクを並べれば今回の出題のテーマは分かったも同然ですね。歩王を使ったり、騎を使ったりして、ルール的にはとっつきにくいかもしれませんが、手順は難しくないはずです。
 ところでExcelsiorって何、と思って英語の辞書を調べてみると「かんなくず」と言う訳語が出てきてビックリしました。神無八級氏によると、どうやらラテン語で「高い」を意味するexcelsusの比較級だそうです。「なおも高く」という意味で、米国ニューヨーク州の標語ともなっているそうです。「なおも高く」…うちのホームページにはこの標語、あまり適用しないほうが良さそうですね。

 

【ルール説明】

 

 

【詰手順】

13騎 22玉 34騎 23玉 15騎 24玉 36騎 25玉 17騎 26玉
38騎 27玉成 19騎 37宝 38歩 36宝 37歩 35宝 36歩 34宝
35歩 33宝 34歩 23宝 33歩成 24宝 34と 15宝 27騎 14宝
35騎 13宝 23と まで 33手
(成王を「宝」と表記)

【解説】

 今回のコメントの中で「拡張Excelsior」と呼んだ趣向(最下段の歩が進んで成る)を受方と攻方の両方で行った作品です。
 まずは受方のExcelsiorから始まります。攻方は騎を動かしていくしか王手が無く、それに対して受方も歩王を進めていくしか手がないので、序盤は自然に手が進みます。つまり2筋でのExcelsiorの登場です。歩王が7段目で成ると、今度は3筋で攻方の歩でと金王を追う手順により、攻方のExcelsiorが出現します。3段目で攻方のと金ができると、収束部になります。ここでは、最初の趣向で、9段目に取り残されていた騎を呼び出し、と金との組合せで詰上りを実現します。
 なお序の趣向は「騎」でなく、下の図のように「歩」で追う事も可能です。「騎」の方が手順が趣向的で面白いと思ったのですが、その分難しくなってしまった面は否めません。

31歩成 42玉 32と 43玉 33と 44玉 34と 45玉 35と 46玉
36と 47玉成 37と 57宝 58歩 56宝 57歩 55宝 56歩 54宝
55歩 53宝 54歩 43宝 53歩成 44宝 43と 35宝 36と 34宝
33と 24宝 25と まで 33手

【正解者及びコメント】 (正解者3名:解答到着順)

 

もずさん

13手目で46騎と中央に向かう手が自然に見えてしまったため、読みを19騎の筋に切り替える決断がなかなかつきませんでした。
「と金玉」(?)が斜め後ろに下がれないことが直感を裏切る原因かもしれません。

もずさんは当然のように即日解答。
確かに「騎」を19に残す手は、後の活用が難しいように見えるので、やりにくい手かもしれません。46騎は一見有力ですが、と金王の移動先を邪魔するという副作用もあるので、本筋にならないんですね。ただ、次のような図にして騎を横に跳ぶ手を本筋とする手もあります。図がやや拡がるのが気に入らなかったのですが、手順はこちらの方がコンパクトですね。

23騎 32玉 44騎 33玉 25騎 34玉 46騎 35玉 27騎 36玉
48騎 37玉成 56騎 27宝 28歩 26宝 27歩 25宝 26歩 24宝
25歩 23宝 24歩 14宝 35騎 13宝 23歩成 まで 27手

 

 

若林さん

一段めで詰ませる解ばかり追ってしまって大変でした。
解けてみると19桂が成立するのが気持ち良かったです。

先ほどのもずさんと同様に、若林さんも19騎の一手をポイントに挙げてくださいました。手順の流れだけ追うと自然な一着に見えるのですが、解図の上ではかなり抵抗のある手だったようです。

 

 

北村 太路さん

Excelsiorの話を聞いて「歩王がExcelsiorするんだろうなー」って思って解きはじめました。・・・もう1枚歩がありましたね。
超絶Excelsiorを(フェアリーで)作図しようと考えてたのですが、やはり失敗しました。超Excelsiorは考えてみました。
あまり検討してないですが。
「ばか自殺ステイルメイト 30手詰」
攻方:1八王、1九と、2三〜2九と、4三〜4九と
受方:3一玉、1六歩、2一歩

・・・失礼しました。

なるほど! ばか自殺ステイルメイトなら簡単に受方の超Excelsiorが実現するのですね。手順もfmで簡易検討してみましたが、どうやら完全みたいです。
実はフェアリーで超Excelsiorや超絶Excelsiorの例があるらしい、とコメントしたのは間違いで、実は2段目からExcelsiorする例しか今まではなかったようです。そうすると北村さんの作は、受方超Excelsiorの1号局かもしれません。
では、攻方の超Excelsiorや超絶Excelsiorが本当に創作困難かというと、さにあらず。攻方の超絶Excelsiorは普通のばか詰で簡単に実現できてしまうんですね。次の図を見てください。

99歩 97玉 98歩 96玉 97歩 95玉 96歩 94玉 95歩 93玉
94歩 92玉 93歩生 91玉 92歩生 82玉 62香成 81玉 91歩成 まで 19手

こうも簡単に実現できてしまうと「超絶Excelsior」という名称も考え直さなければいけないかもしれません。受方の超絶Excelsiorも登場するのは時間の問題?

 

 

今回はそれほどの難問でもないはずなのに解答者激減。やはり「騎」や「歩王」を使ったせいでしょうか。それでも解答を下さった3名様には感謝感激です。
しばらく変な(?)ルールの問題が続いたので、次回は普通のばか詰を予定しています。これで解答数が復活すれば良いのですが・・・。

 

(2003.3.31 七郎)


第68回(2003.2.10)出題 の解答

 


【出題時のコメント】

 突然ですが、「橋本孝治 普通詰将棋作品集」を今までの@niftyから、ジオシティーズに移転しました。これは@niftyを退会することにしたためです。
 思えばNIFTYにはいろいろお世話になりました。私がパソコン通信を始めたのは、約10年前のNIFTY-Serveであり、FSHOGIやSOFTVの会議室などで様々な発言や詰将棋の出題をしたりしたことが思い出されます。もちろん神無一族とのメールのやりとりも、メインはNIFTY-Serveで行われました。今でも私のパソコンのHDにはそのやり取りの膨大な記録が残っています。
 インターネットが普及して、コミュニケーションの手段がBBS以外に様々な形で提供されるようになってからも、神無一族とのメールだけは@niftyを通じて行っていました。しかし、もはや@niftyのフォーラムに参加することがなくなったのと、Yahoo!BBに加入して、メールアカウントも取得し、ホームページも“広告なし”(これは大きい。私は広告の入るホームページは嫌いなのです)で持てるようになったため、もはや@niftyにこだわる必要はなくなってしまいました。というわけで、冒頭に述べたHP移転となった次第です。さらば、思い出のNIFTY-Serve!

 さて、今回の出題は長編趣向作。攻方の王が金の利き、受方の玉が銀の利きという「異王」ルールでの出題です。第65回出題でも「異王」を出題しましたが、このときは攻方が王である意味が無かったというおマヌケな出題でした。今度はその点は問題はないので、素直に手順を楽しんでもらえればなぁ、と思っています。皆様、解答よろしく。


 

【ルール説明】

 

 

【詰手順】

92王 71玉 81王 72玉 82王 61玉 71王 62玉 72王 51玉
61王 52玉 62王 41玉 51王 42玉 52王 31玉 41王 32玉
42王 21玉 31王 22玉 32王 11玉 21王 12玉 11王 13玉
14歩 22玉 21王 23玉 13歩成 32玉 22王 41玉 31王 42玉
32王 51玉 41王 52玉 42王 61玉 51王 62玉 52王 71玉
61王 72玉 62王 81玉 71王 82玉 72王 91玉 81王 92玉
91王 93玉 94歩 82玉 92王 71玉 81王 72玉 82王 61玉
71王 62玉 72王 51玉 61王 52玉 62王 41玉 51王 42玉
52王 31玉 41王 32玉 42王 21玉 31王 まで 87手

【解説】

 特に序奏もなくいきなり92王から趣向が始まります。攻方の金王の王手に受方の銀王が王手の続くような位置に逃げることにより、自然に金鋸で追い銀鋸で逃げる趣向手順が出現します。(上記の手順、王と玉ばかりで非常に見難いと思いますが、頭の中で金と銀に変換してください。)
 さてこの金鋸銀鋸、右辺でターンするのですが、その手順が問題。31手目14歩に22玉と逃げた後、12王から作意と同様に追うのが自然に見えますが、それだと手数オーバーになってしまいます。ここで21王〜13歩成として、と金を作っておくのが巧い手段で、以下金鋸銀鋸で左辺に追い、再び折り返すと13とを作った効果でで玉が21で詰み、手数を短縮できるのです。
 ところで右辺と違い、左辺のターンは非常に素直なので、「なぜ左辺と右辺のターンを同じにしなかったのか?」という疑問が当然湧くと思います。実は、右辺のターンを左辺と同じにすると、最終手が12王でも11王でも良いという非限定が生じてしまい、うまくこれを消す手段がないのです。つまり右辺のターンは、わざと破調を入れているのではなく、唯一解にするための苦肉の策だったわけです。
 なお、金王で銀王を追う手順ができるなら、当然その逆もできるわけで、銀王で金王を追う作品も作りました。その作はOnline Fairy Mateに発表したので、興味のある方は解いてみてください。(まだ解答募集中なので、Online Fairy Mateをご購読の方は、ぜひ解答を神無三郎氏に送ってください。)

神無七郎作 異王(銀/金)はか詰 107手

 

【正解者及びコメント】 (正解者6名:解答到着順)

 

筒井浩実さん

折り返しの手順がわかった当初は歩成まで出来るのを見落としていたので、手数が長くなってしまいました。追い手順は短くしようがないので、折り返し部分に立ち戻って考えて、と金が作れることに思い至りました。
25歩、33歩の配置をを23歩にすると単純な一往復半になると思いますが、本図に比べて謎解きの要素が少なくなってしまいますね。
どちらの方がいいと思うかは人それぞれだとは思いますが。

25歩、33歩の配置をを23歩にすると、解説で述べたとおり最終手の非限定が発生します。ですから謎解きの要素を入れるために本図を選んだわけではありません。
ところで、長編の出題にもかかわらず、筒井さんは即日解答。さすがです。

 

 

北村 太路さん

シンプルな構成で1往復半を実現しているところがうまいなあ、と思います。
初めは左側と同じ機構で右側も回ってしまって1二銀王、2二金王、1四歩の形で93手になって迷いました。
異王詰は調子に乗って追いかけてると、よくみると逆王手になっていたりするので、うっかり者の私はよく注意しないと危ないです。

本作、逆王手を利用して手順を成立させているところが随分あります。左右でのターンの部分など、逆王手がなかったらこんなに簡単にはできなかったと思います。
また王を追う駒に使うのは余詰防ぎもしやすいです。北村さんも駒詰を作ってみてはいかがですか?

 

 

 

でこぽんさん

実は第65回の初解答以来、常に最後の解答者になろうと思っていたのですが、第66回で解答提出を忘れるわ、第67回であっさりいぬたさんに負けるわなので、改心して解いたらすぐに解答を送ることにします。

双方の王の動きが異なるルールはおもしろい趣向ができそうですね。
本作も金らしさ、銀らしさがでていてよい作品だと思います。
初形も銀と歩だけできれいきれい。(91の駒は金?

初形を完全に銀と歩だけにするのなら、ルールを異王(歩/銀)にして、91王→93王とすればいいですね。ほとんどインチキですが…。
王の動きが異なるルールは王で王手が掛けられるので、面白い手順がいろいろ出てくる可能性があります。せっかくfmでこのルールがサポートされたのですから、もっと研究していきたいと思います。

 

大串さん

来る日も来る日も、「ばか93手」か「25歩→24歩」と訂正されると思いHPを訪れていたが、32手目の22玉に12でなく21王とやればいいことに、ようやく気付きました。

(おもちゃ箱的に言うと)逆王手回数最高(?)記録作品を、十分楽しませていただきました。

フェアリーではあまり記録は意味ないですが、普通の盤駒を使ったフェアリーの既発表作品の中では逆王手49回の記録があります。第2回神無一族氾濫の4番の拙作(対面ばか詰)がそれです。自分では気に入っている作品なのでぜひ鑑賞してください。

 

 

泉真理さん

始め、右端の歩を一つだけ進めて王を左に戻してしまったので117手もかかってしまいました。
攻方の王が金だと59手で詰みますね。
私も1992年からずっとniftyの会員です。

実は攻方の王を普通の金にすると59手どころか、わずか13手で詰んでしまいます。ばか詰恐るべし、ですね。攻方を王にすると余詰防ぎが本当に楽でいいです。
ところで泉さんもNIFTYの会員だったのですか、知りませんでした。まあ、私の知っているNIFTY会員は、詰将棋関係の会議室で発言しているメンバーだけなので、知らなくても当然?

 

 

もずさん

攻方の金を玉にすることで、手順が簡単に限定できるのですね。
抜けられそうで抜けられない壁の作り方に巧妙さを感じました。

ところで、竜王戦倶楽部でお名前をお見かけしました。
色紙当選おめでとうございます。

竜王戦のホームページでは、何人ものプロ棋士が一人一題ずつ詰将棋を競作していて、とても楽しめました。この企画が気に入ったので、全部の問題に解答を出したら当選したという次第です。でも、私が当選したのはもしかしたら解答を出した人が少なかったからかも知れません。一応「このたびは、懸賞詰将棋に多数の応募をいただきありがとうございました。」と書いてあったので、余計な心配かもしれませんが…。

 

 

 

今回はやや解答者数が減りましたが、長手数にもかかわらず解答を送って下さった皆さん、ありがとうございます。最近駒詰が続きますが、次回も駒詰の予定です。今度は中編ですが、易しい問題のつもりです。

 

(2003.3.3 七郎)


第67回(2003.1.13)出題 の解答

 


【出題時のコメント】

 新年おめでとうございます。皆様、お正月はどのように過ごされたでしょうか。
 私は完全に「寝正月」。年末に大阪に帰省してから、埼玉に戻るまでの間、ほとんど寝るか、食うか、テレビを見るかしかしていません。おかげで体重も増えてしまったので(何Kgあるかは秘密)、何とか減らさなければいけません。そういえば、去年も一昨年も一年の目標に「体重の軽減」を掲げたような記憶がありますが、入院して一時的に体重が減った時期を除けば、この目標が達成されたことはありません。今年は何とか健康なまま痩せたいですね。

 さて、今回の出題です。もう1月もほぼ半ばとなり、正月気分も抜けてしまったかと思いますが、今年最初の出題はやはり「1」の字で始めましょう。思えば昨年は横型の「一」の字、一昨年は縦型の「1」の字でしたから、これで3年連続年頭出題は1絡みの作品ということになります。来年以降もこの路線を続けていくかどうか定かではありませんが、1月の出題には、やはり「年賀詰」っぽい作品を出題していきたいと思います。今回は特に「安南」と「ばか詰」という、フェアリーでは人気のあるルールの組合せ。皆様の解答をお待ちしております。

 

【ルール説明】

 

 

【詰手順】

47桂 56玉 48角 55玉 93角成 58玉 94馬 67飛 同馬 59玉
49飛 まで 11手

【解説】

 初形ですでに玉が香になっているので詰め易そうですが、攻方も頭の丸い角と桂なので、なかなか詰ましにくい形です。特に、初手から3手目までは他の着手だとすぐ手が切れてしまうので、見易い所でしょう。4手目は玉が横に移動する紛れもありますが、これは手数オーバー。55玉と戻ってからが本局のハイライトで、最遠地点の角成と58玉という中途半端な地点への玉のジャンプの応酬が出てきます。
 残念ながら安南らしい手順が続くのはここまでで、残り5手は普通のばか詰と同じ手順で詰みます。やや物足りない収束ですが、初形曲詰の条件作なので、58玉の一手が入っただけでも収穫としておきましょう。

 

【正解者及びコメント】 (正解者8名:解答到着順)

 

もずさん

5手目に角をどこに動かすかで考えましたが、93角成 が爽快な手ですね。
58玉と中途半端に動くのも面白いと思いました。

もずさんの解答の受信日時を見ると、なんと出題当日の0時18分!
驚異の最速解答でした。

 

 

若林さん

素直に相駒をさせる展開に持ち込んで解決。
派生作:安南ばか自殺詰12手 攻方56桂57角37歩19王、受方26桂55玉
動きは面白いと思うけれど、余詰め消しの歩が残念。

若林さんは本作の角と桂の動きを使って、ばか自殺詰に展開してくれました。
これ、皆さんも解いてみてください。趣向的な動きも面白いですが、私は詰上りが気に入りました。あまり書くとネタばれになってしまいますが、攻方王が桂に変身するという、安南ばか自殺詰ではよくある詰上りではないからです。

 

 

 

筒井浩実さん

フェアリーメイトになるのを期待していたので、この収束はちょっと拍子抜けしました。
とはいえ、うまく手順が限定されているものと感心しました。
全体を1段上にしてもいいのかと思いましたが、角成のタイミングが非限定になってしまいますね。

確かに作品としては58玉で終わってますね。「以下略」にしたいくらいです。
1段上に上げる案も試しましたが、非限定を消すことができず断念しました。
なお、もずさん、若林さん、筒井さんはいずれも即日解答です。

 

大阪市の住人さん

都に戻すと詰まンない。

謎の短評。最初都に戻して詰まそうと思ったが、それでは詰まなかった、という解釈でよろしいですか?
私も都に戻す詰上りを目指して、54金型等を試したのですが、うまくいきませんでした。

 

 

泉真理さん

後半の手順に安南のルールが生きてこないのが惜しいですね

これが本作最大の弱点。
普通の作なら、何か付け足してフェアリーメイト(フェアリーの条件が活きた詰上り)にする所ですが、曲詰だけに限界がありました。

 

 

大串さん

 難しかった。13角成までは5分だったが、それから角桂2枚によって安南ルールで詰まそうとしてはまりました。
 前半の駒繰りが楽しいと思います。
 人間が作ったようにも、コンピューターの力に頼ったようにも見えますが、創作過程の実際はどうなのでしょうか?

基本的には初手から13角成までを頭で考え、fmに掛けてみたら58玉以下の詰手順で唯一解だった、という経過でできた作品です。58玉の限定移動は収穫として、収束が野暮ったいのはそのせいでしょうね。もし収束がうまくいかなかったら、位置を変えたり、配置を調整するつもりでした。それで、どうしても完全作にならなければ、別の素材を試していたでしょう。実際、本作を得る前にも別の素材で「1」を作ろうと試み、5題ほど「1」の字を作っています。ネタに困ったらそんな「ボツ作」が登場することもあるかも・・・。

 

 

でこぽんさん

どうやったら王手になるかばかりを考えていて、
玉が香の動きになっていることはすぐ忘れてしまいました。2度も。

攻方の駒の性能変化は見易いですが、受方の方は能動的な変化ではなく、結果として性能が変わってしまうだけなので、結構見落とし易いと思います。実際それで誤答された方もいらっしゃいました。

 

いぬたさん

13角成〜68馬で角を馬に変換するのかと思いました。
でも、それだと成生が限定できない。
成生や馬の動きを限定させるには、13角成〜14馬しかないんですね。
最後は安南らしくなくて、びっくり。

今回もぎりぎりになってしまいました。
土曜日になると、そろそろ締切だったかも? と思い出して、慌てて解き始めるんですよね。
決して最後を狙ってるわけじゃないんですよ。

例えば本作で受方58歩を付け加えれば、角を馬に変換する手順が出てきますが、これだと成るタイミングが限定できません。こういう所、曲詰は不自由です。
ところで「いぬたさんはいつも最後を狙っている」というのは私の誤解でしたか。でも、今回も最後をキープですね(^^;

 

2003年度最初の出題は解答者8名でまずまずの出足でした。次回は清水の舞台から飛び降りる気持ち(大げさ)で、駒詰の長編趣向作を出題する予定です。難解作ではないので、敬遠せずに解いて下さいね。

 

 

(2003.2.3 七郎)

 


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