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6月号 結果
第13回
神無一族の氾濫
担当 神無七郎

☆事前に易しいと宣伝したせいか、今回は5番のみに解答が集中。他のも良い作なのに〜(心の叫び)


@ 神無右京
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28飛、27飛、79角、34玉、78飛、45歩、13角生、23飛成 まで 8手

☆初手28飛は、右京氏が最近凝っている「中途半端な遠打」。盤の端から打つ最遠打よりも味わい深いものがあります。意味付けは作意手順を追えばわかるように、これより近くては最終手で飛が成れないし、遠くては角の頭に飛車を廻れない、という理屈です。

西輝人―79角〜78飛に気づいてよかった。

秋元節三―詰上りが見えて一気に解けた

☆玉を本来の玉に戻す歩の移動合い、角不成も見事に決まっている好短編です。


A 神無右京
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19香、18香、同香、17角、16香、15飛、同香、14飛、53飛、同角成 まで 10手

ゼブラ(縞)…2対3の八方桂

☆ いきなり4連続の合駒が登場する華麗な手順。双方のゼブラが不動で詰上ります。

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☆ 本局のパターンは比較的珍しいものですが、それでも普通のば自双裸玉に同じ手順の構造の作品があります。

95飛、85飛、同飛、75角、65飛、55角、同飛、45香、48角、同角成 まで 10手

☆ 形が横型で、飛が香に変わっていますが、同じ手順の構造をしています。

宮谷保可楽―先手のゼブラ王の逃げ道をどうふさぐかが問題。いろいろ試してみて、出した結論がこれ。

☆ 「縞馬は馬で詰みやすい」という知識の有無で、解図に掛かる時間は違ってくると思います。


B 神無太郎
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17角、26飛、同角、35桂、94飛、84香、同飛、74香、49香、48飛、74飛、64角、46香、45桂 まで 14手

駒井信久―合駒7+1回。盤上にどんどん駒が増えていく。

☆ 玉と王が不動のまま次々と合駒が現れる特異な問題。皆さん、この感触に憶えがないでしょうか? そう、第5回氾濫で出題されたあの神無三郎作『謎姫』です。『謎姫』と違い、この7回の合駒は飛角桂香でできています。最初の盤面も詰上りも金銀を使わない貧乏図式。『貧乏な謎姫』なのです。

☆ 盤面わずか6枚の簡素形でこの手順を実現したのには感心。作者に拍手を送りたいと思います。


C 神無大九郎
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33角生、62玉、51角生、52玉、62角成、42玉、52馬、33玉、42馬、44玉、33馬、45玉、46歩、54玉、44馬、65玉、66馬、74玉、84馬、65玉、66歩、55玉、56歩、44玉、45歩、35玉、36歩、46玉、48飛、57玉、65歩、66角、58飛、67玉、68飛、57玉、48銀、46玉、37銀、47玉、58金右、38玉、47金、48角成 まで 44手

【全取禁】最終手を含め、手順中の駒取りを全て禁止するルール

☆ 詰将棋には様々な約束事があり、それを守らないといけません。中でも手順の唯一性はフェアリーでは特に厳密に適用されます。しかし、それに余りにもこだわると、豊かな表現が失われるのも事実でしょう。本局も、非限定にさえこだわらなければ、実に楽しいパズルではないでしょうか。

大和敏雄―65歩の手順非限定は致命的であるが、A

駒井信久―これで非限定・手順前後4箇所なら上出来

☆ 非限定は次の4箇所です。

  1. 9手目51馬でもよい
  2. 12手目から54玉、44馬、…(中略)…44玉、45歩と手順前後できる
  3. 31手目から58飛、67玉、68飛、57玉、65歩、66角と手順前後できる
  4. 43手目67金でもよい

☆ 作者も非限定を気にして、パズルとしてこの作品を出題しようとしましたが、担当の判断で詰将棋として出題しました。


D 神無三郎 『かごめかごめ』
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91金、同玉、81金、92玉、91金、同玉、92歩、81玉、91歩成、71玉、81と、同銀、72香、同と、53馬、62金、同馬、同歩、61金、同玉、51と、同玉、41と、同玉、31と、同玉、23桂生、21玉、12歩成、同玉、11桂成、13玉、12圭、14玉、13圭、15玉、14圭、16玉、15圭、17玉、16圭、18玉、17圭、19玉、18圭、29玉、19圭、39玉、29圭、49玉、39圭、59玉、49圭、69玉、59圭、79玉、69圭、89玉、79圭、99玉、98金、同玉、89圭、97玉、98圭、96玉、97圭、95玉、96圭、94玉、85圭、同桂、95歩、93玉、94歩、92玉、93歩成、91玉、82と、同銀、92歩、81玉、91歩成、71玉、81と、61玉、71と、51玉、61と、41玉、51と、31玉、41と、21玉、31と、11玉、21と、12玉、22と、13玉、23と、14玉、24と、15玉、25と、16玉、15と、17玉、16と、18玉、17と、19玉、18と、29玉、19と、39玉、29と、49玉、39と、59玉、49と、69玉、59と、79玉、69と、89玉、79と、98玉、89と、97玉、98と、96玉、97と、95玉、96と、94玉、85と、93玉、84と、同玉、76桂、74玉、66桂、65玉、57桂 まで 145手

☆ 今回、解答者増に最も貢献した作。周辺巡り2回という画期的な作品です。

☆ 周辺巡り1回の作品は、森茂作(72年12月 73手詰)がありますが、それ以来の快挙です。

宮谷保可楽―グルグル回ってオニに当てられ、まん中へとやってくる。今の日本にはほとんど見かけなくなった風景。

積田隆介―易しく楽しいばか詰。詰上りも桂吊しで決まった。

☆ このような巧妙な作品を、あっさり作るあたり、作者の充実ぶりが伺えます。


E 神無十郎
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93歩成、73玉、83と、63玉、73と、53玉、63と、54玉、53と、55玉、54と、56玉、55と、同玉、66金、54玉、55金、63玉、54金、73玉、63金、83玉、73金、93玉、83金、94玉、93金、同玉、94歩、83玉、93歩成、73玉、83と、63玉、73と、53玉、63と、54玉、53と、55玉、54と、56玉、55と、66玉、56と、75玉、66と、86玉、76と、95玉、96歩、同と、86と、94玉、95と、93玉、94歩、83玉、93歩成、73玉、83と、63玉、73と、53玉、63と、54玉、53と、55玉、54と、56玉、55と、66玉、56と、75玉、66と、86玉、96と、同玉、97歩、95玉、96歩、94玉、95歩、93玉、94歩、83玉、93歩成、73玉、83と、63玉、73と、53玉、63と、54玉、55と、63玉、54と、73玉、63と、83玉、73と、93玉、83と、94玉、93と、95玉、94と、96玉、97歩、同と、95と、同玉、96歩、94玉、95歩、93玉、94歩、83玉、93歩成、73玉、83と、63玉、73と、53玉、63と、54玉、53と、55玉、54と、56玉、55と、66玉、56と、75玉、66と、86玉、76と、95玉、96歩、同と、86と、94玉、95歩、同と、同と、83玉、94と、73玉、83と、63玉、73と、53玉、63と、54玉、53と、55玉、54と、56玉、55と、66玉、56と、75玉、66と、86玉、76と、96玉、86と、97玉、87と、同と、98歩、96玉、97歩、95玉、96歩、94玉、95歩、93玉、94歩、83玉、93歩成、73玉、83と、63玉、73と、53玉、63と、54玉、53と、55玉、54と、56玉、55と、66玉、56と、75玉、66と、86玉、76と、95玉、86と、94玉、95と、93玉、94歩、83玉、93歩成、73玉、83と、63玉、73と、53玉、63と、54玉、53と、55玉、54と、56玉、55と、66玉、56と、75玉、66と、86玉、76と、97玉、96と、98玉、97と、88玉、87と、同玉、86と、97玉、98歩、同金、96と、87玉、97と、88玉、98と、同玉、99金、87玉、98金、86玉、87金、75玉、76金 まで 249手

☆密室内でのと金追い+はがし。古典的なテーマですが、甘く見ると痛い目に遭います。普通にぐるぐる廻って、普通にと金をはがしていくとどうしても手数不足になるのです。主なポイントは次の3つ。

  1. 55手目普通に95歩とすると6手長くなる。
  2. 一転、2枚目のと金は普通に取る。今度は95ととすると2手長くなる。
  3. 200手目も安直に96玉としてはいけない。4手長くなる。

駒井信久―95とを据えることで手数を短縮。ちょっとした工夫を要する所がすばらしい。非限定は2箇所しか見つからなかったが…?

☆ 非限定は92手目、244手目、245手目の3ヵ所。この作品の価値に影響を与える程のものではないと思います。


【総評】

大崎壮太郎―一題だけではありますが、「神詰大全」に感動したので解答しました。フェアリー詰将棋の奥深さは、普通詰将棋をこえていると思っています。いつか創作、投稿したいな。

☆ 「神詰大全」が新しい作家・解答者の開拓に繋がれば、こんなに嬉しいことはありません。

【全題正解】
駒井信久
【3題】
宮谷保可楽
【2題】
はやし、大和敏雄、西輝人、秋元節三
【1題】
山口 勇、林八江子、佐々木寛次郎、天津包子、加賀孝志、山中通、三好晃司、古川剛士、弘光弘、半裸一族、積田隆介、高橋耕之介、久保茂、大崎壮太郎、上田安夫

(太字5名「神詰大全」当選)

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