【出題時のコメント】
物というのは、長く使うと汚れてくるものです。
私のパソコンのキーボードも例外ではなく、約7年間使っているあいだに、すっかり煤けてしまいました。ただ、どのキーも一様に汚れているというわけではなく、よく使うキーはその表面だけは比較的きれいになっています。例えば、「X」とか「L」とかあまり使わないキーは汚れていて、「O」とか「A」とかは白いままという具合です。
私のキーボードで特徴的なのは、「Z」と「/」という使用頻度が高いとは思えないキーが特にきれいなことです。勘の良い方はこれでピンと来たかもしれませんが、これはWindowsに附属している「Pinball」というゲームでよく使うキーです。実は私、この単純なゲームに結構はまっていて、ほぼ毎日やっているんですね。自分の嗜好がキーボードに反映されてしまうというのは、ちょっと怖いものもありますが、毎日使っているものですから、持ち主のクセが外見に表れてしまうのは自然なことなのでしょう。
詰将棋でも、その人の作風や価値観が配置や手順に表れてくるということがあります。ときどき詰パラなどで「作者当て」の余興が行われることがありますが、それも作者の個性が作品に表れるからこそ成り立つ遊びなんでしょうね。
と、最後に無理やり話を詰将棋に結びつけた所で出題です。今回の作品は神無太郎氏による簡素な配置のばか詰。この簡潔志向は、やっぱり太郎さんらしさが表れていると私は思いますが、皆さんはどうですか?
【ルール説明】
【詰手順】
41桂成 61玉 51圭 62玉 52圭 63玉 53圭 64玉 54圭 73玉
64圭 62玉 53圭 51玉 52圭 まで 15手
【解説】
攻方の桂香2枚と玉が一つおきに並んだ簡素な初形の作品。初手は桂成りの両王手しかなく、合駒をすることもできないので、成桂と香でなんとか詰めるより仕方がありません。香も成って2枚の成金で詰めるのは手順としては容易なのですが、そうなると手順の非限定が避けられないので「神無太郎さんならそんな作品は出さないはず」と気付くでしょう。実際、成桂と成香2枚で追ったのでは手数オーバーになってしまいます。
作意は初手で作った成桂1枚で香筋に沿って追い、玉を玉座に還元させて詰ませます。ここまでの手順はもちろん完全限定。初形と詰上りを対比して見ると、まるで桂がひとつ前に進んで成ったように見えます。15手をかけて53桂を52成桂に変えるマジックでした。
【正解者及びコメント】 (正解者11名:解答到着順)
泉真理さん
久々にやさしい問題なので解答します。
ばか詰以外のルールになると急に難しくなりますね。
☆今回の解答一番手は泉真理さん。出題日の夜8時頃の解答でした。
夜更かしして、深夜1時ごろ解答を出す人がいるんじゃないかと予想していたのですが、皆さん健全な生活をされているようですね(^-^;
マプさん
簡素な形から屈伸運動が面白く、また「胃にやさしい」問題で好感持てました。
最近、解けなかったのでたまにこういう私向き?の問題もあると有難いですね。
☆確かに今回の問題は「胃にやさしい」かも。なるべくこういう素直な問題を
選びたいとは思っているのですが、在庫の関係で難しいのが実情です。
もずさん
桂馬が前に進んでしまいました。
これだけシンプルならもう言うことはありませんね。さすがです。
☆強豪もずさんにも納得して貰って一安心。
なお、泉さん、マプさん、もずさんの3人は即日解答でした。
mirさん
これは同一作?を思いついたことがあるので一瞬でした。
これが唯一解なんですね。
今回は解答者数新記録かも。
☆なんと! 同一作を作っていたのですか!! 投稿していただければ即採用したのに・・・。
なお、解答者数記録は残念ながら更新できませんでした。
(現在までの最高は第42回出題の16名。7手のばか詰のときでした。)
keimapyonpyonさん
香は動かさない方針で解いていきました。詰み上がり図が一通りしかあり得ないことに気づいた後は一直線。詰みの直前に問題図の桂が成桂になった局面がでるのがいいですね。
☆そういえば、詰みの1手前の局面で桂が裏返ってますね。
詰上りに気を取られて気付きませんでした。
ぽこさん
最終形が見えたので解くことができました。
こういうシンプルな作品は考える気が起きますね。
☆ぽこさんは初解答。いつもはROMしてくれているそうです。
解答は出さなくても見てくれている人がいるんですねぇ。
地道にHPの更新を続けてて良かった、と思います。
いぬたさん
楽しい作品。
ぼくなら2筋に配置してしまいそうです。
☆なるほど、これなら初手に右に成るか左に成るかの選択肢ができますね。
妙案だと思いますが、左右対称の美とどちらを採るか悩ましいところ。
mtmtさん
はじめは成桂と成香で玉を隅に追い込んでいくよりないと思っていたのですが、それではどうしても手数オーバーなので、ずいぶんと悩みました。
☆mtmtさんも初解答。こうして初解答者や久しぶりの解答者が増えると嬉しいものです。
今後も解けたときだけでいいですから解答してください。
酒井博久さん
還元玉で、初形・終形ともに左右対称になるのが美しい。
☆申し分のない形式美を備えた本作への的確な短評ですね。
spacemanさん
隅に追いやることばかり考えていましたが、
香車を動かさない手を考えたらすぐに出来ました。
本当に簡潔でいい問題だと思います。
次の問題も頑張ります。
☆次の問題は変身物のば自になる予定。
ハードルは高いですが、頑張って解いて下さい。
神無六郎さん
桂馬が金に化けたら1手詰。
14手後に、それが実現してしまう。
単純だからこそ、狙いが生きてくる。楽しい。
この主題、逆に、うんと複雑化して、何百手もかかるようにするのも面白そう。
そういう作品は、森 茂さんの守備範囲かな?
☆普通のばか詰ではこの主題を長手数化するのは難しそうですね。
マキシルールなんかと組み合わせると案外いけるかも。
えっ、本ページの出題に神無一族が解答するのはいいのかって?
いいんです!
☆解答者数はいつもより増えました。しかも、初解答が3名も。
易しくて気の利いた問題を提供してくれた太郎氏と解答者の皆さんにに感謝。
(2002.3.4 七郎)
【出題時のコメント】
今年は午年です。
それにちなんで年賀詰には馬にちなんだ詰将棋が氾濫するんだろうなぁ、と予想していました。ところが実際にはそうではありませんでした。自分のところに送られた年賀状や「詰めマガ」に載った年賀詰を見ると、馬を主役とした作品も確かに多かったのですが、平成14年にちなんだ14の曲詰や西暦の下2桁(02)にちなんだ曲詰など、意外とバラエティに富んでいてちょっと驚かされました。皆、いろいろ考えているんですね。
私? 私自身はちょっと手抜きさせてもらって、午年にも年号にも関係ない、普通の易しい作を年賀詰にしました。というか、普通詰将棋で馬と玉だけを配置して作品を作れと言われても、あんまり良い手順が出てこないんですよね(言い訳)。
でも舞台をフェアリーに移せば話は別。盤面を馬と玉だけに限定しても、いろいろなルールと組み合わせることにより、無限に作品が出てくるような気がします。で、今回はその中の一局を出題。ルールは「ばか自殺ステイルメイト」です。「ステイルメイト」は「詰」と違い、“王手が掛かっていない”のに指す手がない状態のことを言います。平たく言えば「手詰まり」状態にせよ、ということですね。このルールで出題するのは初めてなので、このページ内には例題がないのですが、もずさんのホームページもずいろ−風変わりな将棋の部屋に良い作品とルール説明があるので、ぜひそちらの方を参照してください(他力本願)。
【ルール説明】
【詰手順】
39馬 47玉 49香 48飛 同香 同馬 27飛 37銀 38馬 同玉
28飛 同銀生 まで 12手
【解説】
この図、普通のばか自殺詰なら 39馬 37玉 28馬 同馬 の4手で詰みますが、ルールは残念ながらステールメイト。もっと手順を尽くす必要があります。基本的な方針としては、まず「攻方王の退路を塞ぐ」手順と「盤上の攻方駒及び持駒を捨てる」手順の2つを行うことによって、攻方に手の無い状態を作り出します。
本作の場合は、まず攻方王の退路を塞ぐことを考えます。退路を塞ぐ駒を合駒で発生させなければいけませんが、盤面の馬も持駒の香もその目的には余り都合が良くありません。持駒の香を飛と交換しておくのが好手で、これで攻方王の退路を塞ぐための銀合を発生させます。後は、盤上の攻駒をうまく捨てながら、最終形に持っていけば出来上がりです。
本局、田舎の曲詰ながら、初形も詰上り(ステイルメイトなので「詰上り」というのは本当は変なんですが)も「一」となっており、本来ならば年賀詰にぴったりなのですが、ルール名が「ばか自殺」ではさすがに年賀状には使えません。妙な名前が定着してしまったフェアリーの宿命ですね。
【正解者及びコメント】 (正解者2名:解答到着順)
もずさん
初めは6手目を57玉と逃げ、46香と開き王手するような筋を考えていましたが、後手方の馬が詰め上がりに参加しないとは意表をつかれました。
考えてみると、後手方は駒取りが3回、合駒が2回必要ですから、2手目で玉が動くと、あとは無駄な手は一つも指せないことになりますね。
作る側から見ると12手という手数は、普通のば自と比較してかなり短く感じられるのではないかと思います。
☆確かにステイルメイトは普通の「詰」と比較して、手数が長くなり易い
傾向があります。もずさんはご自分でもステイルメイトを作られるので
この短評も作家的ですね。
北村 太路さん
馬(年)だけでなく一月一日になっているとは。
(問題図を見てきづかなかったのは私だけ?)
最近2題に1題くらいの割合でしか解けず、
解くのにも時間がかかり苦労しています。
☆もずさんの解答が届いてから、全然誰からも解答が届かなかったので、
危機感を募らせていたのですが、北村さんからの解答を戴いて、ほっと
しました。最近はちょっと手数が長い問題が続いて大変ですが、見捨て
ないで解答を出してくださいね。
☆初めてのルールを出題したせいか、それとも手数が長かったせいか。
解答者はわずかに2名という結果になってしまいました。
本当は易しくて気の利いた問題が良いのでしょうが、どこかに転がって
ませんかね、そんなネタ。
(2002.2.4 七郎)
【出題時のコメント】
最近、柿木将棋Yが発売されました。
前バージョンの柿木Xは強力な解図機能と、余詰検討機能を持っており、我々詰将棋作家が待ち望んでいた素晴らしいツールでした。また、そのようなプログラムが通常の市販ソフトと同等の価格で手に入るということも画期的だったと思います。
今回のバージョンでは詰将棋の解答力が向上しており、柿木Xでは解けなかった「ミクロコスモス」も解けるようになっています(もちろん、それ相応のCPUとメモリを搭載したマシンは必要ですが)。また、変別の除去能力も強力になっており、解答の精度も向上しています。今回新たに添付された「詰将棋データベース」というユーティリティも、研究者には役に立つことでしょう。ついでに指し将棋をする機能も付いており(←普通は逆)、暇なときにはコンピュータを相手に将棋を楽しむこともできます。
えっ、何でそんな宣伝じみたことを言うのかって?
実は私は柿木Xのモニターをやっていた関係で、柿木Yをタダで貰ってしまったんです。まあ、ここで宣伝しても効果があるかどうかは分からないのですが、せめてものお礼ということで。さて、今回の出題は前回の続きで大道棋風ば自第2弾です。盤面配置をシルエットにして見ると前回とまったく同じですが、駒の種類は微妙に違っています。また持駒が1枚増え、手数も2手長くなっています。これでどんな展開の違いが見られるかは、解いてみてのお楽しみ、というところでしょうか。
【ルール説明】
【詰手順】
72歩 81玉 71歩成 91玉 94香 93角 同香生 92金 81と 同玉
63角 72桂 82歩 同金 まで 14手
【解説】
初手は72歩しかないところ。それに対する応手も81玉しかないので、実質はここからの12手が問題です。すぐに84香と合駒を稼ごうとすると、攻方の王が近いのが災いして、合駒を有効に活用することができません。特に問題なのが、攻方の王の逃げ道がたくさんあることで、これを効率よく塞がなくてはいけません。
それを実現するのが本譜に出てくる63角、72桂合の2手です。これで広い王の逃げ道を一遍に封鎖することができます。従って本手順は3手目に71歩成とし、9筋で逃げ道を塞ぐための角ととどめの金を連続して合駒する筋となります。
本局は63角、72桂合の形が見えればほとんど解けたも同然なのですが、手数が14手とちょっと長めいため手をだしづらかったかもしれません。
【正解者及びコメント】 (正解者5名:解答到着順)
もずさん
前回の苦労と比べるとやけにあっさりと解けてしまいました。
61の駒が歩になった分、王が自由になって、
そのかわり詰みそうな手段が減ったということでしょうか。
☆手数を見て敬遠した方が多かったのでしょうか、解答数は減りました。
もすざんの感想にもあるように、実際にはむしろ前回より易しくなっていると思います。
accelerationさん
攻方玉の逃げ道を塞ぐことを考えて簡単に解けました。
残念なのは、伝統ルールでは作品として成立していないことです。
一瞬、ツインになってるんじゃないかと思ったので(^^ゞ
次回はその線でお願いします(?)
☆普通ルールとのツイン!?
うーむ、やってできないことはないんでしょうが、難しそうですね。
大阪市の住人さん
玉頭桂打がなんとも対面チック。
7四と なら豆腐図式?
☆確かに74とでも成立しますね。
持駒に香があるので普通の豆腐図式でなく、盤面豆腐図式でしょうか。
なお、豆腐図式を「ひよこ図式」と呼ぶと神無三郎さんが喜びます。
(歩兵=ひょこ だから。神無三郎さんの命名。)
spacemanさん
玉の逃げ道である、8四と6四をふさぐために9二に桂馬をおいたり、6二や8二に飛車を置いたりしてみましたが、手数がかかりすぎてしまい困りました。
しかし、7二桂を発見してからは、すぐに答えがわかりました。
ところで8五の歩は、どのような余詰めの筋を消しているのでしょうか。
フェアリーは初心者なのでそこまではわかりませんでした。
☆85歩がないと例えば3手目より、
85香 84角 同香 83銀 71歩成 同玉 35角 44飛 72歩 同銀
という早詰があります。
今ではこんな早詰もfmで簡単に検出できるのですが、昔は苦労しました(遠い目)。
いぬたさん
63角、72桂で一気に退路を塞ぐことができるんですね。
☆いぬたさんのコメントは本作のキモの部分を端的に表しています。
この形が浮かぶかどうかが、解けるかどうかの分かれ目ですね。
☆解答を集計していて何か物足りないと思ったら、たくぼんさんの解答が
ありません。E-mailの事故でないとしたら、これは珍しい事態です。
これでいぬたさんの解答成績はトップのたくぼんさんに1差となりました。
今年は解答成績の首位争いも面白いかも。
(2002.1.7 七郎)
【出題時のコメント】
みなさんは大道棋を見たことはありますか?
私は残念ながら見たことはありません。とは言っても、街で大道棋屋さんが実際に出題しているのを見たことがないという意味です。大学時代に将棋部の人が「新宿でこんなのが出題されていた」と言って双玉で角合の出てくる基本的な大道棋の問題を見せてくれたことがあったんですが、そこへ出掛けてみようとは思いませんでした。まあ、当時は電車代も惜しまねばならないような貧乏学生の身分でしたから仕方ないんですが、今にして思うと、話の種に一回くらい覗きに行っても良かったんじゃないかと感じます。
大道棋の問題自体はいまでも詰パラの大道棋教室やおもちゃ箱のHPで見ることができるのですが、大道で出題されていなくても、やっぱり大道棋なんでしょうかね。これって絶滅に瀕した動物を人工的に保護しているような妙な感じを受けます。といいつつ私も結構好きで、おもちゃ箱の出題にはほぼ毎回解答を出したりしています。大道棋の賭け事的な要素にはまったく興味はないのですが、余詰OK・駒余りOKという大道棋の大らかな設定は、普通の詰将棋のウルサイ形式に縛られている身にとってはうらやましい限りです。話がまとまりませんでしたが、そいうわけで今回は大道棋風の初形の問題。香歩問題に捧げるオマージュです。
【ルール説明】
【詰手順】
72歩 81玉 84香 92玉 83桂成 81玉 93圭 82飛 92圭 同玉
83香成 同飛 まで 12手
【解説】
大道棋風の初形が特徴的な本局。手順の方も紛れが結構あります。
もし初形で桂が95でなく75にあれば、初手63桂生 81玉 84香 83銀以下8手で詰むのですが、残念ながらこの形では初手83桂生となって、後の84香ができなくて失敗します。また初手に攻方王を動かすのも合駒が稼げて有力ですが、王の逃げ道が広くなるので失敗します。
作意は初手72歩。これ自体は普通ですが、この後3手目84香に対してすぐに合駒せずに、92玉と逃げるのが意表の手順。結局成桂の開き王手の形を作って、8手目にやっと合駒の飛が登場します。これだけ手間を掛けても、6筋が塞がっていることを生かした方が差し引き得になるというわけです。少し難しい作品でした。
【正解者及びコメント】 (正解者6名:解答到着順)
mirさん
大道棋は3年ぐらい前に横浜で見ました。
横浜市立図書館の近くに場外馬券売り場があって、あやしげなおじさんが休日たむろしています。「大道詰め将棋やデンスケ博打で金銭を巻き上げる被害が寄せられています。ご注意ください」というような警察の張り紙がある中、堂々とその中でやってました。
こ汚いおっさん3名ぐらいが覗いていて、私も覗いてみました。
簡素な配置の82玉型双玉問題で、初手93銀か71飛成かという問題で、少し眺めて93銀から詰むと読みました。
かといって手を出すほどの蛮勇さもなく、この型はちょっとした配置の差で83銀とか71飛成でないと詰まないとも思った上、ちょうどその頃「やってみませんか?」と誘われたので「あ〜、いいですいいです」と、逃げるようにその場を後にしたのでした。規定がやたら細かい字で書いてあり、1手いくらだったのかとか景品が何だったのかを見てなかったのが心残りですね。
今でもやってるのかな?
余談ですがここに休日いくと、馬券取ったおっさんは近所の風俗街に繰り出し、負けたおっさんはとぼとぼオケラ街道(風俗街と反対側)を駅まで戻るという面白い光景が見られます。
☆詳細な報告ありがとうございます。
大道棋の実物はまれにしか見ることはできなくなったとはいえ、絶滅は
してないわけですね。mirさんの見た作はおそらく「おもちゃ箱」の
ページに載っているこれだと思います。私が大学時代に見せられたのと
同じ図ですね、きっと。
ちなみに、見るだけで手を出さなかったのは賢明だと思います。
大阪市の住人さん
6筋は壁なので、8筋側から迫る。
☆本局の攻略のポイントはここですね。
あくまで攻方の王は動かさずに6筋の壁を生かすのが鍵です。
もずさん
あと一歩あれば、
72歩 81玉 84香 83銀 71歩成 同玉 72歩 同銀
で詰むなあと思ってしまったのが苦労の始まりでした。
83桂不成から入ってみたり、香を9筋で使ってみたりと
紛れ(というのでしょうか)をたくさん読みましたが
どれも14手より短くなりませんでした(当然)。
4手目に合駒をしないことに気づくまでにどれだけかかったか。
大道棋らしいのは形だけではありませんでしたね。
☆私の知人も「もう一歩あれば8手で詰むのになぁ」と言ってました。
紛れを一通り読んで貰って、作者としては満足です。
いぬたさん
大道棋で実際にばか自殺詰が出題されていたら...などというおばかな想像をしてしまいました。
4手目すぐに合駒するんじゃなくて、成桂を作らせるのがうまいですね。
☆大道棋でばか自殺詰の出題するとしたら、攻めも受けも両方お客さんが
やるんでしょうね。大道棋屋のおじさん暇そう。
(その前に客が寄り付かなくて暇か・・・)
北村 太路さん
8四香の瞬間に合駒を打たないとは思いませんでした。
びっくりしました。かなり斬新なのかな、と思ったのですが、どうでしょうか?
☆合駒を出したい形で合駒が出てこないので、結構気に入ってます。
斬新とは言えないまでも、珍しい部類に入ると思います。
たくぼんさん
いやーこの形で、ばか自殺の作品が生まれるとは、そのことにいたく感激いたしました。
☆むかし飯田岳一氏が「ばか大道棋」と称して、大道棋風の形のばか詰を
出題していたことがありました。それに比べればばか自殺詰の方がまだ
作り易いと思います。
☆やはり12手というのはちょっと長かったですかねぇ。解答の出足が鈍く
ひやひやしましたが、締切日に3通の解答が届いて、ほっと一息。
実は次回の出題予定作品は14手詰だったりするんです・・・(^-^;
(2001.12.10 七郎)
【出題時のコメント】
今回は音楽の話から。皆さんはリゲティの「100台のメトロノームのためのポエム・サンフォニック」という曲をご存知でしょうか。100台のメトロノームが一斉に動き出し、全部のメトロノームのネジが止まったらそれでお終い、という20分ほどの曲です。
面白いのはその「楽譜」。作曲者曰く「スコアはタイプで打った1ページで、どのようにメトロノームを調達して配置し、調節してネジを巻くかについての指示からできている。・・・もし調節が厳密に行われるなら、結果として生じる曲はほとんどいつも同じになる。」──これって、まるで詰将棋みたいだと思いませんか? 詰将棋は最初の局面のセッティングが全て。後の進行はルールによって自動的に決まり、介入の余地はありません。ちょっと違うのは、「ポエム・サンフォニック」が、メトロノームのセッティングの物理的な誤差により、演奏の誤差を生じる可能性があるのに対し、詰将棋の場合のセッティングは論理的なもので「結果として生じる手順は必ずいつも同じ」になるところでしょう。詰将棋と音楽の類似性については、ときどき語られることがありますが、この「ポエム・サンフォニック」ほど“詰将棋的”な曲を私は知りません。
なお、「ところでその曲って面白いの?」という質問は当然予期されますが、その答えについては敢えて保留しておきましょう(^^;さて今回はフェアリーの基本に戻って純粋な「ばか詰」です。見事なセッティングの初形からどのような手順が紡ぎ出されるかお楽しみに。
【ルール説明】
【詰手順】
52金 同玉 44桂 42玉 32桂成 51玉 41圭 52玉 51金 62玉
61金 52玉 51金打 まで 13手
【解説】
初手に42金(62金でも同じ)と52金の2手段があります。前者はこの金で玉を追って行けるのですが、1段目と3段目の配置に挟まれた回廊が長すぎて手数オーバー。後者は少ない持駒を更に減らすようでやりにくい手ですが、実はこれが正解。玉を端に追うのではなく、中央でやり繰りすることを考えればうまくいきます。「左右対称中央に手あり」という囲碁の格言が当てはまる作品というわけですね。
ついでに詰上りも左右対称形。実戦型とも相俟って、趣向味に溢れた一局でした。
【正解者及びコメント】 (正解者11名:解答到着順)
いぬたさん
久しぶりのホッとする出題です。
詰め上がりも面白いですね。
☆久々に純粋なばか詰を出題したこともあって、解答者の出足は好調。
いぬたさん、もずさん、keimapyonpyonさんが即日解答でした。
もずさん
端に追い込むとうまく詰まない。
42金 同玉 と始めて見ても手数が足りない。
結局、52金を考えたのは最後の最後でした。
☆一度42金を考えて貰えば作者としては満足でしょう。
そのための持駒金であり、この横長の配置ですから。
keimapyonpyonさん
これは驚きました。絶対間違いないと思っていた初手が違っていたのですから。
端の方に追い込む筋ばかり見ていて「詰むわけない」とあきらめかけた時、ふと頭から金を打ってみたら楽に詰んでしまいました。
あの桂馬もただの飾りではなくて銀を取っての余詰みを防いでいるわけですね。2三や3三の歩にはどういった意味があるのでしょう?
☆うっ、痛い所を突かれました。
23歩は初手62金以下の詰みを防いでいますが、実は33歩は不要駒。
当然73歩も不要駒なので、2枚省けます。
初形が綺麗でなくなりますが、やはり省くのが筋でしょうね。
大阪市の住人さん
金の向きを変えれば詰む?
☆本局での銀桂の配置は単なる余詰防ぎですから、主役は金。
確かに詰上りでは金の向きが反対になっていますね。
瀬山士郎さん
ご無沙汰しております.久しぶりに覗いてみたら,綺麗な初形のばか詰で私にも解けそうだったので挑戦しました.気持ちよい解後感で,詰め上がりも綺麗ですね.こういうのも実戦初形と言うのでしょうか.
☆たぶん実戦初形で良いと思います。「完全実戦初形」ではないですが、
解図意欲をそそる好形ですよね。
大西鉄矢さん
金を取ってからの51金に気づけば解けました。
盤面の対比は、面白いなと思いましたが
「ニエ」?の曲詰じゃないですよね。意味わかんないし....
☆まあ単純に左右対称が狙いでしょうね。
無理に文字に見立てることもないんじゃないかと。
mirさん
隅に追いたくなるのと、初手捨駒はやりにくいという2つの心理的盲点をついた好形好作。
この問題もそうですが、左右対称の場合初手は対称軸にくるものなのかな?
☆左右対称形では不思議と中央から手を付ける作品多いですよね。
作る側の心理の問題かも。
酒井 博久さん
初手が意外と盲点。
☆もし持駒が飛桂とか桂歩だったら誰も迷わないでしょうけど、金桂ですからね。
持駒を飛桂にすると2・8筋の配置と33・73歩が省けるので、その意味では効率は良いのですが、謎解きの要素は皆無になります。
たくぼんさん
見事な初形から、詰め上がりも象形(エの字)ですね。さすがです。手順は予想どおりでしたが楽しめました。
☆「エ」というには横長すぎるような(^_^;
北村 太路さん
攻方は最後2枚だとずっと思っていたので最後のこの形が全然浮かびませんでした。
左右対称ですが、3手目4四桂からだとうまく閃きませんでした。癖、好みの問題なんでしょうか・・・
☆3手目44桂とした人7名。64桂とした人4名。
北村さんは少数派の方ですね。
須藤さん
まず最初に考えたのは、「桂馬の王手と52金はないだろう」ってこと。
で、次の瞬間「ちょっと待てよ」と。
そういう52金こそ作者としては美味しいんじゃないの?って考えて解きました(^^ゞ
2・8筋って、どんな意味があるんですか?
☆83歩がないと、42金 62玉 52金 72玉 62金 82玉 72金 83玉 73金 92玉93歩 91玉 83桂 まで 13手の余詰。
81桂がないと、62金 同玉 54桂 72玉 62桂成 81玉 71圭 同金 72銀 82玉 71銀生 91玉 82金 まで 13手等余詰たくさん。
先述した通り、持駒を飛桂にすれば2・8筋の配置は省けますが・・・。
☆さすがにばか詰の威力はすごいですね。解答者が2桁に戻り、久々の解答の方も増えました。
次回は・・・皆さんの苦手なばか自殺詰の予定。
(2001.11.12 七郎)
【出題時のコメント】
中将棋駒シリーズもいよいよ最終回。最終回とは言っても、シリーズで出題するのが終わりというだけで、今後も中将棋駒には登場して貰うつもりです。
さて、今回登場する中将棋駒は鳳凰です。鳳凰は、上下左右の他に、1間跳んだ斜めの地点に利きを持つ駒です。中将棋の駒としては比較的地味で、普通の将棋駒でも比較的詰め易い駒と言えるでしょう。次回の「神無一族の氾濫」でも鳳凰を詰める作品を出題する予定ですので、練習のつもりで本局も詰めてみてください。
なお本局は双玉で、55地点の鳳凰は攻方です。詰めるのは19地点の鳳凰ですので間違えないようにしてください。この問題は合駒が出てこないので、手数の割には易しいと思いますが、もしハマってしまったら、次の行をマウスでドラッグしてヒントを見て解きましょう。ヒント:11歩に騙されるな
【ルール説明】
【詰手順】
28銀 18鳳 27銀 17鳳 26銀 16鳳 25銀 15鳳 24銀 14鳳
23銀生 24鳳 34銀成 42鳳 43全 41鳳 52全 63鳳 62全 81鳳
72全 91鳳 82全 まで 23手
【解説】
序盤は銀で鳳凰を追うしかなく、やや一本道ですが、銀が成れる位置に来てから難しくなります。ここで、11地点に置いてある歩を取って詰ませようと方針を誤ると苦戦することになります(そうすると25手以上掛かってしまいます)。11歩は単に11鳳の形で詰むのを防いだ駒で、これに惑わされずに、91の方の隅で詰ませることを考えれば道は開けます。
91で詰めるという方針が立てば、後はその実現手段となりますが、足の遅い成銀が付いてこれるよう、途中41鳳と垂直に落ちるのがちょっとした考えどころ。この辺さえクリアすれば、後は容易な追い手順です。
ところで、ここで告白を。これを作ったときには「簡素な配置で鳳凰の追い方を限定できて良かった」などと思っていたのですが、実はもっと簡素な配置がありました。すなわち、55鳳・11歩に代えて、玉方73歩のみ、または攻方74歩のみ、という配置でもまったく同じ手順を実現できるのです。──うーん、なぜこんな簡単なこと出題前に気付かなかったんだろうと後悔することしきり。まだまだ未熟な私でした。
【正解者及びコメント】 (正解者6名:解答到着順)
もずさん
1一が埋まっているので9一で詰ますしかありませんが、
手数が足りなくて苦労しました。
4三成銀4一鳳凰の二手が調子を外す感じで指しにくいですね。
☆苦労したという割には余裕の即日解答のもずさん。
解答が届いたのは公開2時間後でした。
マプさん
攻方は9一まで効率よく移動するのがポイントで▽4一鳳凰と一回、真下に引く手で躓きましたがなんとか解けました。
鳳凰が斜めに1歩移動できない点でドン臭いですが詰ますとなるとピョンと逃げられるので詰む所があまりないですね。
話がズレますが、玉を鳳凰玉にする変則将棋をプレイしたら勝負がつくのかな?
なんてことを考えました。
序盤動きづらくてもやっぱり詰ますのは大変でしょうね。入玉トライ勝ちありのルールならそこそこ遊べると思いますが。どうなんだろう。うーん。
☆「鳳凰玉将棋」ですか?
鳳凰って結構詰め易いように思うんですが、どうなんでしょう。
マプさんのホームページで実戦を企画してみては?
大阪市の住人さん
鳳凰の利きから雪隠詰と断定。
1一の歩が無ければ17手で簡単(非限定)。
しかし、銀を歩に打替えると手数オーバー。
☆私も最初は19→11という単純設定で作り始めたのですが、うまく行かず、
19→91に乗り換えたらたまたまうまく行ったという次第。
でも、もう少し踏み込んで考えてたらなぁ(後悔先に立たず)。
mirさん
鳳凰というかコウモリというか・・。そんな動きに翻弄され、苦戦しました。
特に63鳳凰が思考になく、隅に追い込めないもどかしさといったらなかったです。
☆作る立場から言うと、小駒での追い手順で鳳凰らしい手を入れるのは
意外と難しいんですよね。
本作では鳳のジャンプが3回入ったので、なんとか鳳凰の顔を立てる
ことができたかな・・・などと作者は思っています。
たくぼんさん
見事な鳳凰の大移動です。ヒントからある程度詰上り位置の予想がついたのですが、盤駒で、鳳凰の替わりに王将でを使ったので、55鳳の73の利きを忘れて、何度も堂々巡りしてしまいました。しかし。このシリーズは疲れます。もうこのシリーズは終わりですよね。
☆はい、このシリーズは終わりです。
でも今度の「神無一族の氾濫」に鳳凰を出そうと目論んでいる私・・・。
本作よりはもっとマシな作品のつもりですが。
いぬたさん
飛ばし過ぎると成銀が追いつけなくなる。
16手目一旦41に落ちるのが面白いですね。
☆詰上りが分かっているのに、そこに辿り着けないといもどかしさ。
でも、それを克服したときは気分が良いものですよね。(←前回のコピー)
☆次回は基本に戻って普通のばか詰。
フェアリー駒に辟易されていた方には、解答参加のチャンスです!
(2001.10.15 七郎)